第6話 内緒の婚約指輪
俺は夜の街を移動していた。久々に母親の職場に行ったり、父親の会社に行ったりして顔を拝んできた。
綺麗だな〜、あのお店。外から中の様子を覗く。見えたのは光り輝く宝石と指輪だった。
そこに一人の男性が困っている様子で指輪をじっと見ていた。
あの人何か困ってる?行ってみよう。
「うーん。どっちの方が似合うと思います?」
「そうですね....彼女さんを見てみないとなんとも.......」
「じゃあ..........この人なんですけど」
「うーん...こっちの少し水色がかった方なんてどうでしょう?」
「でも値段はこっちの倍以上.....か」
「生産率が少なくて貴重なのでお値段は高くつきますね」
「うーん....」
なるほどなるほど、婚約指輪を選んでるのか。
候補はこの水色がかった指輪と純白な指輪。
水色は値段が高く貴重だそう。純白ももちろん高いが、その差は約二十万円ほど。
デザインは水色の方が気に入っているようだけど値段が...ということだ。
この水色の指輪に似てて値段がもうちょっと安くつく指輪無いかな?
「どうしよう。一生に一度だし、いい物をあげたいけど....さすがに30万は高い.......」
─────────五分後
「よし!やっぱりこの青の指輪の方でお願いします!」
僕の彼女のためだ、貯金が結構減っちゃうけど仕方がない。
「分かりました。サムシングブルーですね」
「はい!お願いしま........この黒い箱なんですか?」
「あれ?・・ちょっと確認しますね」
「はい」
「すいません確認したところこの指輪なんですが、こちらと同じサムシングブルーなんですが、中古と表記されています。ですが新品と遜色ない色で見た目に傷は一切無く、特別仕様になってまして、リングの方にも少し青みがかっております。お値段なんと二十万円でございます。いかが致しますか?」
ふう、危ない。
奥にある倉庫から急いで見つけてきた。あって良かった。あの人の役に立てれたらいいな。
「あー.....そっちでお願いします」
「分かりました。特別仕様のサムシングブルーですね」
おっ役に立ったかも!
「二十万円となります」
「はい!」
「ちょうどお預かりします」
プルルルプルルル。
指輪を選んでいた人のスマホが鳴った。
「あっすいません電話出ても大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「あれ、雪季からだ」
あの人の彼女さん、ゆきって言うんだ。
あの指輪、めっちゃ似合いそうな名前だな。
「どうしたの、雪季?」
「どうしたのじゃないよ!家になんで居ないの?」
「まあ....ちょっと用事が」
「早く帰ってきて!夜ご飯は一緒に食べるって約束したでしょ?・・真優くんために料理.....いっぱい練習したのに......」
「ああ、ごめん。今すぐ帰るよ」
「ほんと?」
「うんすぐに」
「じゃあ料理作って待ってるね!」
「ありがとう、じゃあまた後で」
「うん!」
愛し愛されだなぁ。思わずニヤニヤしちゃう。
「すいませんお待たせしました」
「いえ、大丈夫ですよ。成功するといいですね」
「えっ...あっ...はい。ありがとうございます」
「お買い上げ頂きありがとうございました!」
ついて行ってもいいけど.....あの二人ならさっきの会話で分かる。俺の出る幕はないと。
思わぬ所で手助けをしてしまったがなかなかに上手くいったな。さあ、次の困っている人を手助けしに行きますか。・・えっ、また?!
俺の体を中心に謎の気体が出てき始め、キラキラと光りだした。・・収まった...な。
ほんとなんなんだこの現象。
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