第2話 バレンタインデー

「さあ恋する人はいないかな〜」

ってあれ?

手の甲になんか書かれてあるんだけど。


円の中心から線が広がってて十個の三角形が書かれてる。なんだこれ。


まあ今特に害は無いしいっか。


まずはやっぱり...学校だよな。恋愛の宝庫だ。


今は2月、バレンタインデーも近い。

だからちょうど良かった。めちゃくちゃ分かりやすい。と思う....



「それなーまじウケる!ていうかあいつエグくね!」


「分かるわー!」


「チョコ欲しそうにしてるの見え見えじゃん!」


「それはさすがに笑う!」


いかにも一軍ギャルって子だ。

苦手だったな〜。


「じゃちょっとあたし先生に用事あるから行ってくるね!」


「おっけー!いってらー」


急いで廊下に出て走るギャル。行き先は....トイレ?


「ねえ」


男子トイレから出てきた気弱そうな男子に声をかけていた。


「ねえってば!」

「えっあっ僕ですか?」


「そうだよ」


「僕になんか用でもあるんですか?お金なら持ってないですよ」


「お金じゃねーよ!」


「はいぃ!すみません.....」


「2日後に放課後校舎裏来て」


「え?」


「いいから絶対来てね!」


「え、」


「返事は!」


「は、はい!」


「よろしい!」


「絶対だからね!!」


そう言いギャルは走り去っていった。


おー!なるほどなるほど。そういう事ね。


2日後はバレンタイン、それに放課後の誰もいない校舎裏。思った通り分かりやすいな。


じゃあ学校にいる間はこのギャルの子について行こうかな。


って言ってももう約束してるし手伝うことない....


流石ギャル。


「おまたせー」


「おかえりー!」


「美絵はバレンタイン誰かにチョコ渡すのー?」


「えっ、いきなりー?」


「そう。誰かに渡すのかなって」


「うーん両親とあんたらぐらい?」


「えっ!あたしたちにもくれるの?」


「うん義理チョコ」


「ありがとー!」


「まあホワイトデー倍にして返してね!」


「クッキーなら作ってあげる」


「果穂クッキー作れんの?!」


「うん作れるよー」


「果穂料理とか全般上手いもんね」


「まじか、すごっ!」


「そっか美絵は.....」

「言わんくていい..言わんくていいから」


「料理はもちろんお菓子作るのも下手。あっ!ごっめーん言っちゃった!」


「わざと言いやがったくせに」


料理苦手なんだ。お菓子作りも。


「そうなんだ。良かったら教えてあげようか?」


「え!まじ!」


「じゃあ決定ね!13日、学校終わったら1回家帰って着替えて私の家に集合ね!」


「ありがとー!」


「果穂やっさしー」


「当たり前だよー」


お菓子作りか、手伝えそうだな。


僕の家族は甘いものが大好きだった。

特にお母さんが。だからお菓子作りは見ていたし手伝ってもいた。

まさかここで役立つとは思わなかったけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る