魔女と修道女と目覚ましチキン
商品が山のように積まれた店内で、とんがり帽子を被った女性は椅子に座っていた。
うつらうつらと舟を漕いでいた彼女だったが、ふと目を覚まして、気だるそうに足を組んだ。
少ししてから店の扉が開く。修道服を着た白髪の女性が店に入ってきた。
気だるそうにとんがり帽子を被った女性が来訪者に問いかける。
「孤児院のシスターが、何の用だい?」
「最近、起こしに行ってもなかなか起きない子がいて困っているんです。何か解決方法は御座いませんか?」
「そうだねぇ……要は、起こせばいいんだろう?」
「はい、その通りです」
フウッとため息をついた気だるげな女性は、机の上に置いてあった短い杖を片手で振る。
すると、彼女の後ろにあったとても大きな棚の引き出しの一つが開いて、中から物が出てきた。
ニワトリを模したようなぬいぐるみのようだ。
そのニワトリのぬいぐるみは、なぜか体が黄色く、羽は一つもついていない。びっくりしたように真ん丸の目に、口を大きく開けている。
「これは?」
「目覚ましチキンって言う名前の魔道具さね。魔勅を流しながら適当に体を押し込むと」
「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛~~……」
「とまあ、こんな感じで声が出るのさ。この音には強制的に起こす魔法が込められてるのさ」
「なるほど……?」
「おかげで私の眠気も飛んじまったよ。面倒だけど、掃除でもするかねぇ」
スッと立ち上がったとんがり帽子を被った女性は山のように積まれた商品の仕分けをし始めた。
本当にそのような効果が込められているのか疑問に感じていたシスターだったが、結局それを買っていった。
後日、孤児から冒険者になった者がやってきて、『目覚ましチキン』を仲間の数だけ買っていった。
「スリープウィードと戦う時に使えるからな。これを押しながら進めばいつの間にか眠らされてるなんて事ねぇだろ?」
「私は売れれば何でもいいわ」
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