第23話 約束

私は約束を守る子。

だから絶対戻る。


「ワレちゃん!風夏ちゃん!どこー!」


ゲホッ、ゲホッ、


煙が…


「志乃!?」


「ワレちゃん!?どこにいます??」


ドンッ


「今音がした所にいる!」


「了解です!」


ゲホッ、ゲホッ、


こっちは煙がすごいな。


「志乃こっちだ!」


微かに見えるワレちゃんの影。

そしてその隣にも影がある。


「ワレちゃんと風夏ちゃん!」


「風夏連れてここまで来れたんだけど、足くじいちゃって…志乃が来てくれて良かった!」


「私なんかあんまり役に耐えないかもだけど、」


私には力がない。

大人になれば大丈夫だと思ってた。

けど、そうじゃなかった。

私の理想の自分になれなかった。

こんなマイナスな感情は久々だな。


ドカーンッ


「また爆発!?これはヤバいって!」


「私を置いて逃げて下さい。」


「それはダメだって!」


「そうです!そんなのダメです!」


そういえばここは煙が少ない。

もしかして風夏ちゃんが能力を使い続けているからなのかな?

ワレちゃんもここまで風夏ちゃん連れて必死に逃げてきたんだよね?

助けたい。

助けなきゃ。

せめて私がワレちゃんの足を直せたら…


「痛いの痛いの飛んでけ!」


志乃は柄木の足を撫でた。

治れと念じながら撫でた。


「えっ!?痛みが引いていく…」


「志乃さんの能力は癒しなのかもしれません。」


「私が癒し能力!?そういえば雪斗と戦う前、疲れていたはずなのに戦えた!それも志乃の能力のおかげ??」


「確かにあの時、私はワレちゃんの肩を叩いてたかもしれないです!頑張れって意味を込めて!」


「やっぱりか!あっ、もう大丈夫みたいだから行くぞー!志乃、ありがとう!」


柄木は風夏と志乃を抱き抱えると前へ前へと足を走らせた。

風夏の風能力で煙を払い、志乃の癒し能力で体力の消耗を抑えた連携プレーだ。


タッ、タッ、タッ


「もうすぐです。」


「よし!このまま一気に駆け抜ける!」


「ワレちゃん行っちゃえー!」


ドカーンッ


柄木達がたどり着いたと同時にまた大きな爆発が起こった。

まさに危機一髪だった。


「みっちゃん先輩、ただいまです!」

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