第17話 ここに連れてこられた理由

「はい、じゃあね美少年!」


グハッ…

バタッ…


この蹴りは酷すぎる。

僕のお腹に蹴りを1発。

1発なのにこの威力。

さすがは…


「おーい。起きろー。」


ワレやりすぎたかな。


「雪斗!起きろ!」


下の名前で呼んでしまった。

何か言われるだろうか。


「僕は起きてる。雪斗って呼んでくれたのは君と母だけだよ。」


「そ、そうなんだ!」


なんて返せばいいのか分からなかった。


「率直に聞くけど、私たちがここに連れてこられた理由ってなに?」


みっちゃんそれ覚えてたんだ。

さすがって感じだ。

ワレが褒めてやるぞ。


「僕たちはアッパーと呼ばれる組織だ。」


「アッパー?」


「能力の引き出しを目的とした組織だ。僕みたいな能力者の力を最大限に引き出そうとする組織でもあり、まだ能力が眠ったままの力を呼び起こす組織でもある。」


「うむ。じゃあみっちゃん先輩は物忘れの能力者ってことですか??」


「ちょっと志乃ちゃん、バカなこと言わないで!」


「しのちゃんって、ばかなの??」


「どうだろうね??」と笑いながら言うみっちゃん。


「話がズレてる!ワレたちはその組織に関連してるってことか?」


「そうだ。ここに連れてこられた理由は君たちが能力者だからだ。」


「まさか、みっちゃん先輩は本当に忘れ物の…」


「それは違うと思う。僕にも誰がなんの能力を持っているのか分からない。」


その後も話を聞いたけど、分かったのは、私たちが能力者であること。

眠った能力を引き出す為に連れてこられたこと。

能力引き出しの為に死へと追い込むつもりだということ。

そして、その組織の名はアッパーであり、能力者の集まりだということだけだった。

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