第12話 ワレの出番だ

みんな声も出ないくらい驚いてるみたいだ。

そりゃそうだよね。

だってナイフ両手に持ってこっち向かって来るんだもんね。

こんなの見たら誰だって…


タッタッタッタッ


「えっ、柄木!?」


「あのお化けに比べたら怖くないなあ!」


シュバッ


「消えろー!」


ガシッ…


ワレの蹴りを片手で掴んだ!?

しかもビクともしない!?

これは厄介だ。

でも今ので1つナイフを落とした。

もうひと蹴り!


バシッ


やった!当たった!


「自ら近づいてくれてありがとうね。さよなら。」


バシッ…


みぞおちが痛い。

こんな蹴りを受けたのは生まれて初めてだ。

初めてだからこそこのままじゃ終われない。


「ワレを甘く見るなよ…」


ガンッッッ


敵の顎に蹴りを入れた。


グハッ…


「ハア、ハア…痛いことするわね。」


「お互い様だ、」


今がチャンスかもしれん。

ワレの見せ場がここにはある。


「3人はワレを置いて先にいけ!出口が無いならこじ開けろ!」


「「「…」」」


ワレかっこいいこと言えたよね??

みんなしてワレの言葉無視するの、えっ!?

まぁ、とりあえず今だけは集中しないとダメだな。


ダダッ


なんだこの子…

さっきまで距離を保ってたのに、こんなにすぐ目の前に来るなんて、


でも…


「私はあなたを含め、このお嬢ちゃんたちを殺さないといけないの。その為だけに私は今日まで特訓してきたのよ。お願いだからそこを動かないで…」


「わかった!ワレはここを動かないから、かかって来なよ!その代わりアンタを倒したらここから動くからな!」


「ありがとう。いい子ね、すぐ殺してあげる。」


ハァー…


敵の息を吐く音が聞こえる。

それ以外は何も聞こえない。

ワレの心臓の音さえも聞き取ることは出来ない。

ただ、目の前の景色はハッキリと見える。

見えるからこそワレはこんな状況でも戦えると思う。


「本当にさよならだね。あなたと戦えて楽しかったよ。来世では私の最高のライバルになってね。」


ガンッッッ

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