第11話 死へと近づいてる気がした

「みんな!なかからこえがきこえるよ!」


壁に耳をつけてみると、声が聞こえた。

「みんなここから逃げて」と。


ガシャンガシャンガシャンガシャン


音は激しさを増した。


衝撃音も聞こえてくる。


バタバタと足音も鳴り響いている。


5分ほど経ってやっと無音になった。

なんの音も声も聞こえない状態だ。



「これはワレの想像でしかないが、今ので人が何人か死んだように聞こえた。最初の食器を割る音は、相手に向けて誰かが投げて落ちた時の音だと思う。少なくてもあの中には10人くらいいたのに、相手が相当強いからか逃げる音よりも衝撃音の方が多かった。一体あの中で何が起こっていたんだ。」


その日は、夜ご飯を食べることは無かった。

なぜなら夜ご飯の提供が行われなかったからだ。

もちろんその理由はあの出来事だ。

今までの何不自由ない暮らしから一気に悪い方へと変わってしまった4人は、これから何が起こるのか不安でたまらないだろう。


「腹減って死にそう…ワレはもう死ぬかもしれん、さらばだ…」


「夜ご飯抜いただけで死ぬなんてことは無いから大丈夫だと思うよ〜」


「みっちゃんちょっと怒ってる??」


「怒ってないよ〜」


やばい、これは完全に怒ってる。

頭では怒ってて今にも爆発しそうなんだ。

このままじゃ本当に死ぬぞワレは。


「なんか本格的に死へと近づいてきた感じがするね。どうするか考えよ。」


「みっちゃん先輩怖いですよ〜!そんなこと言わないでください!」


志乃ちゃんごめんね。

でもこれは言わなくちゃって思ったの。

みんなで帰る為には案を出さなくちゃ。


「ワレが何とかするから安心しろ!」


「おー!ワレちゃんたのもしいね!」


「そうだろ!エッヘン!」


絶対に何とかしてみせる!

まだ「悪役のヒーローごっこ」の最終回を見届けてない以上は絶対死ぬ訳にはいかない!


コツ、コツ、コツ、コツ


「誰か来る…」


コツ、コツ、コツ、コツ


「早く死になさいな。お嬢ちゃんたち。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る