集え!!神樹のもとへ!!!

takeyagu矢口竹一(やぐちたけかず

第1話

今口竹三いまぐちたけぞうは、自分を呼ぶ声にまどろみからふわふわと浮き上がり、目を開けた。

「おい、今口、大丈夫か?」

 この声は・・・担任の有坂東子ありさかとうこだった、はず。

口調通りボーイッシュで快活な永遠の17歳である。されど体型は女性的である。

って、何を考えているんだろうか。ごほんごほん。


 周りを見渡すと、誰も居ないし、空間の全てが石らしき壁に囲まれている。するとあの声はどこから?隙間もないのに・・・もしかして幻聴?    

 いや、ここはどこだろう?ドッキリ?

そも、学校にいたのに、しかも寝た覚えはないのに、と思うところはあるが、あの流行りの異世界転移・召喚というものだろうか。

 ふと、自分が寝ていた(?)場所を見ると、いつの間にか紙らしきものがある。

何か書いてあるようだ・・・『あなたは異世界から召喚されました!!』

 ブオンッという音と共に、テレビジョンのようなモノも現れた。

・・・はい、異世界決定!!

 

 召喚ということは、誰に連れられてきたのだろうか?王様?魔術師?神?善良な誰かだと良いのだが。でも1番は、帰れるかどうか。恋人は居なかったが(作らなかっただけだい!)家族などに思い入れはある。というか早く本を読みたい。折角昨日古本市で大量にもらってきたんだ、読まずに死ねるものか!

 そんなことを考えていると、先程のテレビ(仮)から光が漏れ出した。

な、なんだ⁉︎そして声が漏れ出す。


「あーあー、本日の天気は分かりません」

・・・マイクテスト?

しかしなんだか、聞き覚えがある声でもある。 声が続く。

「君達は完全に包囲されている!抵抗はやめなさい!」

達?僕以外にも召喚されたんだろうか?

「みんな〜ヤッホ〜お茶目な皆のアイドル、放送委員会の姫だよ〜」

 

 ・・・誰か確信した。そうだ、こいつはこんな奴だった・・・

 我らが高校の放送委員が一人、姫山鳴夜ひめやまなきよだ。彼女は夜鳴鳥ナイチンゲールの様な声を持つ歌姫である。彼女は若いながら武道館まであと三歩の所まで上り詰めた。しかしそれで学業を疎かにする事無く、我がクラスメイトや先生方にも支持されている。


「わたしは〜誕生日が4月2日だから〜先生の次に目が覚めました〜!」


誕生日・・・先生の次・・・人生経験で適応するのが早くなるという事だろうか?

すると僕は3月13日生まれ・・・自分のクラスでは最後だ。


「テレビと放送機材を放送委員会の亀鳥かめとり君が出してくれて〜私が声流してます!紙とテレビは〜奇術部の戸陸とりくさんが送ってくれました〜」

 少なくとも僕の他に4人は召喚された様だ。

しかも、何やら特殊能力がある様だ。もしくは、召喚側が地球の技術を再現した?

 どちらなのだろうか。僕は美化委員で、帰宅部だったが・・・

 自分が何かできるなら、厨二心がくすぐられる。

 いや、厨二病だったわけではない!!! 


 ・・・まあ、物は試し、レッツ・チャレンジ!!

「ステータス・オープン!!!」

・・・何も起きない。 ・・・鹿おどしが鳴りそうである。  カコーン・・・


リトライ!!  三度目の正直!!! 再々挑戦!!!! ・・・


ハァ、ハァ、何度試みても画面が現れるでもないし、脳内に音声が流れたりしない。これは諦めるべきだろう・・・

僕の羞恥心を返せ!!!!!


しかし現れないということは・・・体制の違い?僕だけが見れない?謎は深まるばかりだ・・・


そんなことをしていると、意識をなくした。



・・・またも自分を呼ぶ声に目が覚める。意識を強制的に途切れさせるなんて、人体に有害である。もしかしたら、召喚側の力を、誇示しているのかもしれない。

本当に心配になってきた。

 目を開けると、暗い場所に立っている。されど、一点の光が見える。用心しながら、歩き出す。

 長い。大分長い。随分と歩いた。しかし、いつまた意識を刈り取られるか分からないが、進むしかない。進むしかないのだ。


ついに、とてつもない苦労の末、光まであと10歩程のところまでやってきた。具体的に言うと、出口(仮)まであと20歩程まできた時、50歩程後方に移動した。正直愕然とした。誰かを呪った。何歩か進めば後ろへ。何歩か進めば後退。試しに後ろへ進んでみたが前方に移動することはなかった。チクショウ。


 そんなこんなで進んできた。光まで、あと一歩だ!!


瞬間。不思議な空間に居た。と、声が響く。


「君たちの冒険は、これからだ!!!」



・・・僕たちの冒険は、これから、らしい。


続く!!!


              続きませんby作者

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