夢のあるお年玉

第1話

男1「明けましておめでとう、健児」

男2「明けましておめでとう、おじさん」

男1「健児は、夢のあるお年玉と夢のないお年玉なら、どっちが良い？」

男2「んー、夢のないお年玉かな」

男1「そうか、そうか。それは残念だったなぁ。夢のあるお年玉を選んでいたら、7億円貰えたのに。ほら、すごいだろう？　宝くじの1等が当選したんだ」

男2「……おじさん」

男1「なんだ？　今さら訂正しても7億円はあげないぞ」

男2「おじさん起きて。現実を見て。これは夢だよ」

男1「い、いや、そんなはずはない」

男2「冷静に考えて、現実の世界で宝くじの1等が当たるわけないよ。それに、僕がここにいることもおかしいと思わなきゃ」

男1「へっ？」

男2「僕、去年のクリスマスに事故で死んだんだよ。おじさんも葬式に来てたじゃん。覚えてない？　だからこれは夢なんだよ」