第5話 魔術師の御仁(門番)

何だったんだ・・ あの男は。 平凡極まりない顔をして あれほどの魔力…

魔力の余波で漏ら・・してはいないが。


私だってエルフの里の出身であり、生まれた頃より己の魔術を磨いてきたが

あれを目の前にするとその自信と‘’白銀級‘’魔術師の肩書きも霞む


実力を隠蔽していたようだから、あまり礼を伝えようとするのもどうかと思うが…


目立ちたくはないのだろうが誇り高いエルフで

構成されている‘’緑の使徒‘’の私たちが礼を欠くことなどできるはずもない


なんとかあの平凡そうな御仁の名前だけでも・・・


「アリア。 今のに介入した勇気は大したもんだ。 父親として鼻が高い、、、

 だが、明らかに自分と力量が離れているやつ同士の争いに介入することは時として

 悲しい人間を増やすことにつながるだけだ。 

 偉そうに言ってるパパも俺も何もできなかった、、 」


あ・・ えっと・・ 聞いておきたいことが… そういう空気では…


「パパ、、、」


えっと・・ 嫌、今は話かけれる感じでは・・・

いや・・ 今を逃すわけにはいかない


「あの・・・ 家族の感動シーンに水を差して悪いのだが

 一つ尋ねてたいことがあるんだが・・」


「なんだ姉ちゃん・・・ いや、さっきは本当にすまなかった・・・・

 姉ちゃんとあいつらの実力の差に気がついていながら、

 あいつらを止めることができなかった情けないオヤジを・・許さなくてもいい。。   ただ、俺の贖罪として・・ 何か… 今度特別に美味い飯をご馳走させてくれ」


「いや・・ 冒険者同士の争いには介入しないことが鉄則だ・・

 私たちの実力不足が招いたことだ・・ 

 そこのお嬢さんも巻き込んですまない・・ だが、ありがとう」


「そんな“” 何もしてないんですけど、力になれたみたいでよかったです。

 お姉さんもあのオオカミさんから守ってくれましたよね・・?」


・・・! 見えていたのか・・ そうか。あの店主の娘か。 

いい目を持ったな・・・


「後、私アリアって言います。」


ふふ・・ ここまで綺麗な目は久しぶりに見た。 

先ほどまでの不快感が洗い流されるようだ・・・


「店主、すばらしい美しいお嬢さんを持ったな」


「ええ・・! そんな  綺麗だなんて・・・」


「ガハハ!! うちの娘が可愛いのは当然だが

 姉ちゃんみたいな別嬪さんに褒められると嬉しいもんだ! 俺はガルフだ」


「そうか・・ 失礼した。私はリリスという。 エルフの里から来た

 ここはいい店だ。 改めてよろしくな、アリア、ガルス。」


「はい」「おう、こちらこそな」


ふふ。 一時はどうなることかと思ったが、良き出会いもあるものだ。

はっ… 目的を忘れていたわけではないぞ・ これはコミュニケーションをだな…


「店主。一つ尋ねておきたいことがあってな・・」


「うん? どうした? 

 ご馳走のメニューのことか? 安心しろ、メンバー全員部作るよ」


何・・・・! うちには大食らいがいるから助かるな・・


「(ジュル・・)それはいただきます!! じゃなくて!

 

・・ 今日助太刀してくれた男のことだ・・王都の名高い冒険者か?」


「ああ! 嬢ちゃんはあいつが初めてだったか! ガハハ! 

 あいつは普段門番をしているんだが・・

 そうか、あいつがいない時だったか。 ・・・あいつはなあ。 何というか」


「すっごく頼りになって優しいサム兄ちゃんだよ!」


ふふ・・ 可愛いな。 

ふむ 煮え切らない感じだが・・ あまり踏み込むべきではなかったか?


「ガルス、言いにくいなら無理に言わなくとも・・」


「いや・・ そういうわけじゃねえんだ・・・ 

 ねえんだが・・ なあ、あんた・・」


「ちょっとパパ! リリスさんでしょ!」

「あ、ああ すまないアリア。そうだな。 

 えっと、リリスさんよ。 あんたあいつを見てどう思った?」


どう思った・・?  見た目? いやこれはそういう雰囲気ではないな。 


「ああ、すまねえ。 答えであいつのことを教えねえとかいう意地悪はしねえよ。

 俺たちは付き合いが長くてな・・  客観的な意見が欲しいのよ」


ふむ・・。 率直な意見を言った方がよさそうだな。

あったのも今日が初めてだし、多くは知らないが・・ ああ・・


「少し、寂しそうに見えたな・・」


「パパ・・・」


「そうだよなあ・・ 俺も何となく気がついちゃいたんだが・・」


「リリス。 今日時間あるか? いい酒を出そう」


「ええ〜 パパとリリスさんずるい!!! アリアのジュースも!!!」


「わかった。わかった。 だがアリアは亥の刻までには寝ろよ!」


「やだよ! もうアリア大人だもん!!!」


「はいはいっと・ お・・ あったあったこれだ」


ほう・・  麒麟島か・・! これだけの酒を飲む機会はそうそうない。 

全く今日は厄日だったが、良い形で終わりそうで良かった。


「わかった。わかった。 もう大人ですねっと。 リリス、これは・・」


「麒麟島だろ? それだけの名酒を見て寝るわけにはいかないな。 是非」


「ほうほう! 知ってるのか! さすがエルフの冒険者だな。伊達に年を・・・・」


「ガルス・・・・??」


「!!! いやいや、伊達にと・・峠を! 

 人生の峠を越えてねえなってな! ははは…

 よーし、いい酒を飲むんだ。 俺はつまみを軽く作ってくるよ!」

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真面目に門番をしているだけなのにやたらと褒められるんだが おもち @kikukawa-kei

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