第5話
ポンッ!
「よしセレン、行くぞ!」
「はい!
最初にモンスターとやったときのように火矢を避ける。
「クロス斬り!」
クロス斬りをしてからモンスターが弱った隙にすかさず技をかます。
「乱斬り!」
グゴォ
「よし、セレンも強くなってきたなぁ」
「えへへ、イオリ様に言われると照れちゃいます」
珍しくセレンが赤くなっている。
「さ、セレン、もっとモンスター狩るぞ!」
「はいっ!」
「……ねえねえ」
「?」
モンスターが出現するまで街の方に歩いていると、突然誰かに声をかけられた。
「君たち、勇者?」
「え、あ、うん」
「じゃあ、こっち来て。」
結構強い口調で話してくる。
見た感じは6、7才あたりの女子に見える。
女子に連れて行かれたところには、ダンジョンがあった。
「ここはランダムダンジョン。その日ごとに場所が変わるんだ。」
「うん。」
「君たちはここでモンスターたちと戦ってもらいまーす。」
「は?」
「あ、あたしはリヌ。このダンジョンはモンスターがいっぱいいるから頑張って。じゃあね」
「え」
リヌはさっさとダンジョンへ入ってしまった。
ランダムダンジョンは滅多に出会えない。
「セ、セレン、入ってみるか…」
「はい!」
タッタッタッ。
ダンジョンの中は薄暗く、洞窟のようにひんやりしている。
靴の音が響く。
「あ、イオリ様、モンスターがいます!」
「そうだな!行くぞ!」
「…マテ」
「ん?」
「マダ攻撃スルナ。」
「イオリ様、モンスターが喋ってます!」
「本当だ。」
「オレハモンスタージャナイ。」
「え?」
「オレハオマエラト同ジ旅人ダ。
リヌ二モンスターニサレタ」
「本当か?」
「本当ダ。オレニ火ノ魔法ヲ撃ッテクレ」
「セレン、頼む。」
「
セレンが火矢を撃つと、モンスターの皮膚が溶けて一人の人間になった。
「ありがとう。君たち。」
「え」
「?イオリ様、どうしました?」
出てきたのは、大剣を持った女の人だった。
イレギュラーワールドにはこんなcpuは居なかったはずだ。
しかも、見たことある。
私の推しの配信者の……。
瀬那 楽兎がやっているアバターだ。
瀬那 楽兎は主にゲーム配信をしていた。
イレギュラーワールドもたくさんやっていたはずだ。
もしかして、瀬那君も転生してきた…?
「あ、あのっ」
「ん?なんだい?」
声は少し高い。
でも、瀬那君は女キャラでプレイしてみます!って言ってキャラ設定をしてたから、瀬那君の可能性が高い。
思い切って聞いてみようか。
いや、今聞くと、怪しがられるかな。
とりあえず仲間になって欲しいと言ってみよう。
「仲間になってくれませんか?」
「あ、うん。いいよ!」
「あの、お名前は…?」
ここで「ラク」と答えたら瀬那君の可能性がもっと高まる。
配信のときに、ラクのほうが呼びやすいからラクにする!って言っていた。
「ラク!もう普通に呼び捨てでいいからね!
君たちは?」
「あ、イオリです。」
「セレンです。」
よしっ!仲間を見つけたかもしれない。
しかも推し……!
すごく嬉しい!
「そうかそうか!私のパートナーもいるんだけど、ルーカスもリヌに連れて行かれてて。
あ、名前ルーカスね。」
「そうなんですか。」
「イオリ君、敬語じゃなくていいんだよ!」
「あっ、ハイ!」
「だから〜!」
ラクが私の頭をぐりぐりしてきた。
でもあまり痛くない。
逆に、推しにぐりぐりされているっていう嬉しい感情が湧き出してくる。
推しと仲良くなれるなんて。
ここに転生してきてよかった。
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