第3話

――カラカラ


「失礼します」

「鍛錬場へようこそ!あなたは何使いですか?」

「短剣使いです。」

「かしこまりました!では、この中のどれを習得しますか?」

『クロス斬り

 剣投げブーメラン

 千斬り

 千突き

 乱切り』

「全部お願いします!」

「!」



「やあ君が短剣使いのイオリ君だね?」

「はい!」

「じゃあクロス斬りからやってみよう。

まず右から斜めにシュッ

次に左から斜めにシュッ

ほら、やってみて!」


ヒュンヒュン!

私の剣は空を斬った。


「凄いね!

次は的を用意してみよう!」


ズサッズサッ!


「凄いね!

普通の人は30分かかるのに!

よし、この調子で剣投げブーメランも行ってみよう!」


ヒュンヒュン!

シュシュシュシュ!

スササササ!

ザザザザッ!


こんな調子で全て習得できた。


「イオリ君、すごい!

 こんな短時間で習得したね!

 またきてね!」

「はい!」



ガラッ

「ただいま〜」

「おかえりなさいませ、イオリ様。」

「あぁぇえ?!」

「どうかしましたか?」

「いや、寒くないの?」

「別に、快適温度ですが。」


セレン―彼女は、た、たぶん風呂出てから、下着だけで過ごしているらしかった。

大事な部分は隠されているけど、上着も服も着ていないからすごく寒そうだ。


「…セレン、なんか着なよ…」

「…そんなに言うなら着て差し上げますわ」

「お、おう。あ、じゃあ風呂入ってくるわ…」

「行ってらっしゃいませ。」

「ああ。」



チャプン


「はー。」

異世界の風呂も気持ちいいんだなあ。

でも、未だに男になっている感じが気持ち悪い。

ゲームの世界だからかトイレがなく、ずっと食べてなくても腹はもつらしい。

だから余計に違和感がある。

までも、学校もないし、課題も宿題もないし、うるさいお母さんもいないし、自由に過ごせていいなあ。あと一週間くらいはここで過ごしてたい。

自分で食材とかも調達しなきゃだけど、短剣使いスキルでなんとかなるだろう。



ブオオオン

髪の毛、めっちゃ乾かしやすい。

髪の毛短いからその分寒いけど乾かしやすい。


「風呂上がったよ〜」

「お待ちしていました。イオリ様。」

「おお〜!これ、セレンが作ったのか!?」

「いえ、ここのシェフにお願いしました。」


宿の机の上には、豪華なご馳走が並んでいた。

今日初めて見たゴブリンの肉も美味しそうに調理されていた。


「ゴブリンのステーキ、魔草のサラダ、魔獣の角のスープです」

「いただきます!」



「ごちそうさまでしたっ!」

異世界のご飯も以外と美味しい。

最初はゴブリンの肉とか美味しくなさそうと思ったけど、やっぱ以外にも美味しい。

今はまだあっちに帰りたくない。

こっちはスマホもないし、ゲームもないし、なにかと不便だけど、普通じゃ体験できないことが体験できる。

ご飯食べてから、やることもあんまりないので、すぐに布団に入った。

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