第17話
「おぉ。すごいね。良い趣味」とレナードは思わず呟いた。
ヒデさんに連れられた来たのは、町はずれのにある魔力列車の倉庫の一角だった。 広めの空室の一角の床と壁に化粧材を張り込んでまるでホテルのようにしてある。
中央には寝そべっても問題ないようなソファと大きなテーブルが置いてあり、ボトルとグラスが既に数脚置いてあった。。吊り下げる形の焚火台が数か所置かれていて、既に火が焚かれている。外は雪だというのに、暑いくらいだった。
ヒデさんは眉を下げながらだらしがなく笑い、「まぁまぁ。上着脱いじゃおうよ。もう直ぐ女の子たちも来るっていうからさ。どのみち真っ裸になるんでしょ? いやぁレナさん、助平なんだからもう」といい、仕立てのいいフードを脱いで、グラスを手に取ってさっそく酒を口にする。
「嫌だなぁ。そんないきなり脱がないよ。直ぐ脱ぐのはヒデさんんじゃないの。この間だって女の子がまだ上着も脱いでいないのに、もうパンツ一丁になッちゃってさ」
レナードがソファーに腰を掛けると、程よく腰の利いたいいソファだった。これならこの上で大暴れしても早々はヘタレまい。
「ヒデさん、結構お金かかってんじゃないの、この趣向は。お店じゃなくてこんな事だなんて思ってなかったよ」
「たまには良いじゃない。いつもお世話になっているから今日はおごりって事で」
「そりゃ、助かるけどさ。そんなお世話していないけどねぇ」
「ヒヒッ、この間いいお店紹介してくれたじゃない。ヒデさんの好みの感じだからって。こんなことになっちゃえば暫くは遊べないかもしれないじゃない。厄落とし厄落とし」と、ヒデさんは愛嬌のある目元に皺を寄せて言った。
レナードはいつの話だかいまいちわからなかったが、まぁ奢りって話だしと思い直した。これじゃ大枚どころじゃ追いつかない。この倉庫の借り賃や
「おッ。キタキタ。遅いじゃないの! 待っていたよぉ」とヒデさんが倉庫入り口を見ながら、数オクターブ高い奇声を上げた。こういう時のヒデさんは本当に嬉しそうだった。
見れば先頭にしょぼくれた灰色のマントを着てフードを被っている男がいる。それに連れられて毛皮で設えたマントを着た女性が三人歩いてきた。マントが短いので長い脚を丸出しになっている。足先にヒールの高い靴を履いているのが見え、レナードはときめいた。
ヒデさんが先頭の男(おそらく手配師なのだろう)に「あんた誰?」と言っているのが少し気になったが、女のまぶしさにレナードの目はすぐに奪われた。
赤毛の長身の女に、金髪が二名。皆、上背が高く、むき出しの足はミルク色の霧を纏っているように白い。
先頭の女が毛皮のマントをつるりと肩から落とすと、見事な均整の躰が露わになった。女は革製の黒いコルセットしか着てない。見事に張り出した胸と引き絞られた腰に思わず眼をやる。
「あらあら、良い男がいる。今日はツイていたわね」と女がやや低めの声を出しながら近づいてきた。レナードはこりゃいい女だと思いながら両手を広げてその体を抱きしめる。細い腰はすっぽりと抱えられそうな細さだった。
見れば金髪の二名はヒデさんの両腕をそれぞれ抱え込んでいる。
男は気を効かせてどこかに行ってしまったようだった。おそらく明朝にでも様子を見に来るに違いない。
「よそ見なんていい度胸だね」
赤毛の女に押されるようにしてレナードはソファに倒される。女は膝の上に乗ってレナードの顔を両手で覆った。エメラルドグリーンに輝く大きな瞳が半眼になり近づいてきて、レナードの口をそのふっくらとした柔らかい唇でふさぐ。レナードが張りのある臀に手をやると、ぬるりと女の舌が口を割って入り、レナードの舌を弄び始めた。
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