第61話 お金を稼ぐ -お金は大事ですね-
「鉱山の廃石でウハウハ作戦は微妙に残念な結果になったがよしとしよう!なんせ、金貨10枚にもなったからな」
亮二は独り言を呟きながら自宅の庭を眺めていた。
- セーフィリアでの生活は特に問題なく過ごせているし名誉騎士に任命され屋敷も支給された。なにより美少女のメイドが3名なのは素晴らしい!冒険者ランクも【D】になったので学院に行く条件も満たしている。これからの事だがイオルスから金はたんまりと貰っているとは言え無尽蔵にあるわけじゃ無いからな。廃石については思ったほど取れなかったが純鉄が取れたのはでかいよな。廃石再利用については今後も定期的にするとして後はどう金を稼いでいくかだな。アウレリオさんと約束しているポーション作りでもしておくか -
亮二は考えながら庭に右手を当てると【土】属性魔法を使って畑が耕すイメージを固めた。【土】属性魔法は亮二のイメージに答えるかの様に横5m、縦10mの種も蒔きやすいように通路も備えた畑に姿を変えていった。
「よしよし、これでポーションの材料になる素材が育てられるな。それにしても意外だったな、まさかポーションを作るのに必要な素材が花屋に売ってるなんてね」
そう言いながら畑に材料となる薬草の種を植え始めた。ポーションの材料についてはインタフェースを起動して、試しに検索画面で『ポーション 作り方 素材』で検索するとポーション作りに必要な素材の一覧が出てきたので街の花屋で大量に買ってきたのである。亮二が買ってきた種は通常は赤い花を咲かせるが【水】属性魔法を使って水を掛けると赤ではなく青い花が咲く。その花びらには魔力が含まれており、青い花を利用する事でポーションを作るのである。
「まずは、花を摘む必要があるよな。でも蒔いたばっかりだから花を咲かすまでに時間が掛かるな。童話みたいに「早く芽を出せ」って歌うか?」
実際に歌ってみて間違いなく芽が出ない事を確認した亮二は思案顔で考え始めた。若干顔が赤いのは気のせいとして自分の中で処理するようである。亮二は畑の端に立つと両手を広げて“芽が伸び”“葉を繁らせ”“青い花が咲く”イメージを固めると畑全体を囲むように魔力を流し始めた。魔力を流し続ける事5分。亮二が作った畑には青い花がところ狭しと咲き誇っていた。
「おぉ、やれば出来るもんだな。ひょっとしてこれでポーション作りが上手く行けば、ポーションの増産が簡単に出来るんじゃないか?」
亮二はそう言いながら【風】属性魔法を使って青い花だけを切り取るとストレージから出した大きな壷に入れはじめた。畑の5分の1程の青い花を壷に入れた後に【水】属性魔法で水を出して壷を満杯にすると【風】属性魔法で渦巻きをイメージして壺の中身を混ぜ始めた。5分ほど混ぜ続けていると壺の中の青い花は青い液体となって徐々に輝き始め、最大限に光った後は壷の8割位まで減った液体が残っていた。
「よし、これで完成のはず。後は用意した小さい瓶に入れてストレージにしまっとくか」
「最近、独り言が増えてきたな」と思いながらポーションを入れる為に用意した瓶に青い液体を入れて密封するとストレージに仕舞っていくのだった。
□◇□◇□◇
「おかえりなさいませ!リョージく…様」
シーヴの慣れないたどたどしい迎え入れに新鮮さを感じながら「ただいま」と答えて、お茶を持ってくるように伝えると亮二は居間に向かった。
「で、これがポーションなんだけど」
亮二はそう言いながらストレージから瓶を8本取り出すとテーブルの上に置いた。3人が覗き込むと瓶は煌めくような光を放ちながらどことなく高貴さを醸し出していた。
「リョージ様はこれをどうやって手に入れられたんですか?」
「ん、庭にポーション素材を育てて作ってみた」
「え?庭ってさっきまで何もなかったですよね?」
「畑も作って、魔法で成長促進させてみた!」
頑張ったんだよ、褒めて!と言わんばかりの顔でポーションが出来るまでの過程を嬉しそうに説明した亮二が、ふと3人を眺めると三者が三様の表情を浮かべていた。
「え?畑を魔法で作った?で、魔法で成長促進させた?ポーションの材料を知ってるって何で?門外不出のはずなんだけど?」
「パッと見ただけでも普通のポーションじゃないわよね?これってリョージさん、じゃなかった。これってリョージ様が持っている秘薬?」
「リョージ君はポーションが作れるんだ。私のお父さんに飲ませてくれた奴と同じかな?」
一同がポーションを眺めながら感想を述べると、代表してカレナリエンが質問を行った。
「リョージ様。ポーションの素材って何かご存じなのですか?」
「この種を蒔いて、青い花を咲かせたらいいんだよ」
「え?この花って赤い花しか咲きませんよ?」
「そこは、【水】属性魔法を掛けると青い花が咲くんだよね」
「ちょ、それって絶対に秘匿技術ですよ!どうやって手に入れたんですか!」
「ノリと勢い?」
あっけらかんと話す亮二に眩暈を感じながらもカレナリエンは亮二にポーションを作る事がどれだけ凄いかの説明を始めるのだった。
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