第24話 試験との名前の戦闘 -血が沸き立ちますね-
- そう言えば”ミスリルの剣”の効果を確認してなかったな -
亮二は心の中で呟くとインタフェースを解除する前に”ミスリルの剣”を検索してフレーバーテキストの確認を行った。
- ミスリルの剣 -
ミスリルを使って作られた剣である。ミスリルはセーフィリアの世界でも珍しいレアアイテムとなっており、大きさ次第では国宝として保管される場合もある。剣として加工した場合は軽さや切れ味は通常の武器とは比べ物にならない程であり、属性を付与した際には切れ味が倍増される。武器としてよりも造形の美しさから美術品としての価値も高い。
やっぱり剣士の最高峰といえば”ミスリルの剣”だよね。魔剣や聖剣なんかに比べると少し物哀しい感じがするけど、魔力を纏わせたら魔王ともいい勝負が出来る武器として使えるから頑張って!ゲームの終盤まで利用出来る逸品なんで活用するよーに!
- ん!安定のイオルスさん説明だね。後半はいつもの事だから置いとくとして、剣に魔力を纏わせる事で魔法剣に変わるのか。門の所でマルコがやっていたやつだよな。せっかく5匹も相手にするんだから一匹づつ違う属性で戦ってみたいな -
亮二は自分に向かって来る緑狼に視線を向けながら”ミスリルの剣”に水をイメージして魔力を纏わせると刀身が青く輝きだした。亮二は突っ込んできた先頭の緑狼に向かって軽く、だが力強く”ミスリルの剣”を振り下ろした。
マルコとカレナリエンの目に写っているのは職業適性検査でバルトロメインと戦っていた時以上の動きで緑狼を蹂躙している亮二の姿だった。”ミスリルの剣”に青色の魔力を纏わせると先頭の緑狼を撫で切りにし、返す刀で二陣として突っ込んできた2匹に対して一匹は兜割り一撃でその生命を奪い、もう一匹は前足を切り落として行動力を奪っていた。緑狼の2頭は先頭を走っていた2頭が絶命し、1頭が行動不能になったのを目の当たりにして「戦闘を継続する」か「逃走するか」と迷いが生じたが、その隙を亮二は見逃さなかった。”ミスリルの剣”の刀身を青色から金色に変更すると一瞬動きが止まった緑狼に対して一気に間合いを詰めて、その剣を振るい2頭の命を刈り取るのだった。
戦闘時間にすれば5分も経過しておらず、涼しい顔をしている亮二の目の前には5頭の緑狼が並べられており、その内の3頭は全身ずぶ濡れ状態で、残りの2頭は全ての毛が逆立った状態で絶命していた。
「リョージに実力が有るのは分かっているつもりだったが圧巻だな。まさか、5頭相手にアッサリと倒してしまうとは思わなかったわ」
「そうね。バルトロメインと戦ってた時以上に動きが軽やかだったし、それにあの剣って”ミスリルの剣”よね?あんなに綺麗に魔力を纏っている剣を初めて見たわ。”ミスリルの剣”自体を見るのも初めてなんだけどね」
マルコとカレナリエンは亮二の鮮やか過ぎる戦いに感心するような、呆れるような表情と声で感想を言い合っていると、亮二がマルコに対して問いかけてきた。
「これで“試練の洞窟”に入る為の試験は合格って事でいいよな?」
「そうだな。緑狼5匹相手にここまで完勝されると文句のつけようもないわ。ちなみにさっきは”ミスリルの剣”に魔力を纏わせて戦っていたが途中で色が変わったよな?」
亮二の質問に合格であることを伝えると共に、緑狼との戦闘中に疑問に思ったことを亮二に対して確認を行った。亮二はマルコの問いかけに対して満面の笑みを浮かべながらも残念そうな顔をして答えた。
「ああ、最初は5種類の属性を1匹づつ試そうとしたんだけど、キノコのお化け以外との初めての戦闘だったから
マルコは唖然としながらも非常識について亮二に説明するための説明を始めた。
「いいか、リョージ。分かっていないお前のために説明するが、普通は魔法使いが戦士の剣に魔力を纏わせて戦うんだぞ。しかも戦闘が終わるまでは1種類しか纏わせることは出来ないんだ。それを1人で両方やった上に、戦闘の途中で切り替える芸当なんてどうやってやったんだよ?」
マルコからのツッコミに似た質問に対して亮二は「ノリと勢い?」と真剣に答えたがマルコには全く伝わっておらず微妙な顔をされてしまった。そんなマルコの隣ではカレナリエンが「お金があって実力も有るなんてやっぱりリョージくんは超優良物件だね」と違う意味で真剣な顔をして呟いていた。
それぞれに会話が噛み合わないまま、亮二達は倒した緑狼をストレージにしまうと”試練の洞窟”に向けて馬を進めるのだった。
□◇□◇□◇
「結局、駐屯地に着くまでに意外と魔物と遭遇したな」
駐屯地に着くまでの30分ほどで亮二が倒した魔物の数は
緑狼×12
キノコのお化け×9
豚人×3
となっていた。
試験自体は問題なく終了していたが、戦闘経験を積む必要があると判断したマルコによって全て亮二が討伐し、練習も兼ねて倒した魔物を解体して魔石の取り出しも試していた。取り出した魔石に関しては、キノコのお化けの魔石は前見た通り枝豆だったが、緑狼の魔石は大きさこそは枝豆サイズだったが色は少し透き通った感じで、豚人についてはオハジキのような平べったい形で色は白色だった。
「魔石って千差万別なんだな」
魔石を眺めながらそう呟くとストレージに新規作成した魔物フォルダに仕舞いこむのだった。
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