第2話 異世界に行くには準備が必要です -お願いって尽きないよね-
「じゃあ、次の援助だけど。ストレージを持ちたい」
「ストレージってアイテムボックスとは違うんですか?」
(やっぱり、ストレージだけじゃあ伝わりにくいか。イオルスは記憶や考えが読めるからどんな感じかイメージしたら分かってくれるかな? ウェブストレージの感じのフォルダ構成で多階層に出来て、検索機能やドラッグ&ドロップを使って整理整頓出来れば最高だよな。あと、異世界モノでよく有るアイテムボックスに物を入れたら時間が進まないようにして、温かい物や冷たい物をいつでも出せるようにしたいな。出し入れはイメージだけで出来るようにすると間違って出し入れするかもしれないから一工夫が欲しいところだな)
「ちょ、ちょっと。亮二さん」
(それにしても、小説の主人公達はストレージを上手く使いこなしているよな。俺だったら『腹減った。スープ飲みたい』とイメージして、熱々のスープを出してこぼしそうだ。形はやっぱり布袋か?イオルスはアイテムボックスだと言っていたけど、セーフィリアの世界に有るアイテムボックスはどんな感じなんだ? どれくらい入る? 大きい物は入れられるのか? アイテムボックスは誰でも持っているのか? 俺のイメージしているストレージとして持てるなら、同じ種類だったら99個と
「ス、ストップ! 待って亮二さん! 一気に喋りすぎです!」
イオルスは考え込んでいる亮二を慌てて止めると、セーフィリアでのアイテムボックスについて説明を始める。
・アイテムボックスは冒険者や商人が持っている魔道具である
・アイテムの出し入れはキーワードが必要であり、本人の物である事が明確になっている必要がある
・出し入れは本人のみ可能
「……。こんな感じになります」
「なるほどね。アイテムボックスは分かったけど、俺がイメージしたストレージにすることは出来るのか?」
亮二の質問に『どうだろう? 出来るかな?』と小首を傾げながら暫く考え込んだイオルスが、力強く頷きながら答えを返す。
「分かりました! かなりチートなアイテムボックスになりますが良しとしましょう! ただし、生物は入れられませんよ。生肉は入るようにします」
「なんで生肉?」
「BBQとかしたいじゃないですか!」
「お前がする訳じゃないだろ……」
「きっと、役に立ちますって」
「まあ確かにな。じゃあ俺がいつも読んでる小説と同じ感じで頼む」
「ザックリな説明をされた! かなり難しいことを言ってるんですよ! 亮二さんは。セーフィリアの神である私だから出来るんです! その辺は分かってますか!」
大きく胸を張ってドヤ顔をしているイオルスに苦笑いをしながら感謝しつつ、次の援助について考える始める。
「ちなみにセーフィリアの貨幣って、どんな感じなの?」
金貨とかが出てくるのだろうかと、漠然と考えながら質問した亮二にイオルスが答える。
「そうですね。亮二さんがイメージされている通り金貨、銀貨、銅貨、賤貨って感じになります。一〇〇賤貨で一銅貨、一〇〇銅貨で1銀貨となります。銀貨からは10進法になると考えてください。ちなみに魔道具を除いた物価は全体的に安いんです。超お得です! 大量の金貨は重くて持ち運べないので、その際は宝石に換えますね」
「宝石に換えるって大丈夫なのか? 価値が分かりにくいから信用できないだろ?」
当時、彼女に宝石を希望されてプレゼントしたら『え?こんなに小さいの?それにアンタの彼女になったつもりも無いんだけど? もらえる物はもらっとくけど』と言われた過去を持つ亮二にとって、宝石は絶望的なトラウマを思い出させるアイテムであり、価値については懐疑的にならざるを得なかった。
「うん。うん。分かりますよ。亮二さん。涙ナシでは語れないトラウマな過去が有ったら、宝石に対して嫌悪感を持ちますよね!」
「心を読んでも口に出すなよ。人の古傷を
見るからに落ち込んだ亮二に、慌ててイオルスはフォローを入れる。
「大丈夫です! そんな懐疑的な目しか持てない亮二さんに朗報です! セーフィリアにはギルドに鑑定士が居ますから安心してください。鑑定士が出した値段はギルドが責任を持って貨幣に換えてくれますよ。金貨一〇〇枚で宝石一個って感じです。宝石の大きさで価値は変わりますが、金貨一〇〇枚単位だと思ってください」
「人を残念な人
「え? 異世界ライフのスタートがニートって……。つまり働きたくないでござ……」
「そんな訳ないだろ! 最後まで言わすかよ!」
イオルスにツッコミを入れると、金貨が欲しい理由の説明を始めた。
「いきなり異世界に放り込まれても、無一文じゃなにもできないだろ? セーフィリアでなにをするか決めるにも時間も欲しいし、遊んで暮らせる金じゃなくても構わないから、当座の生活費は欲しいんだよ」
「金額はどうされます? ストレージなら数量を気にする事なく入りますよ? 金貨×九九を一〇セットとか?」
「それでいいか。金は有っても困らないもんな。じゃあ、そんな感じで、金貨や銀貨なんかも入れといてくれ」
「さり気なく銀貨も追加してる」
「うるせえよ。市場で買い物する時に、金貨をいきなり出したら相手が困るかもしれないだろ?」
ちゃちゃを入れるイオルスに、ゲンナリしながら答える亮二であった。
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