2 超能力者と夕焼けの信号機 ‐1
――7月29日・19時42分――
洸太:明後日勉強会するんだけど来ない?
ミチル☆:1人でやった方が効率いいと思うけど
洸太:俺とゆうひにそれ言う?
ミチル☆:そのメンバーか…なら2人でやっても一緒でしょ
洸太:ひどい
ミチル☆:自分で言ったくせに
ミチル☆:そもそもなんで私が
ミチル☆:証は?
洸太:あかしは来ないって
ミチル☆:じゃあ私も
洸太:深散
ミチル☆:?
洸太:ラーニングピラミッドって知ってる?
ミチル☆:知らん。何それ
洸太:学習方法と学習定着率の関係を示したもので、
洸太:講義→5%、読書→10%、視聴覚→20%、
洸太:デモンストレーション→30%、グループ討論→50%、
洸太:体験→75%、他の人に教える→90%
洸太:…の、知識が定着するらしい
ミチル☆:あーそれか
ミチル☆:教えるのが一番覚えられるよってやつどっかで聞いた
ミチル☆:そんな名前あったんだ
ミチル☆:で、それがなに?
洸太:勉強会来て俺たちの宿題手伝ってくれたら、
洸太:俺たちは助かるし深散も知識が定着するよってこと
洸太:WIN-WIN
ミチル☆:…行くか
ミチル☆:君たちにつく知識は5%か、あって20%だけどね
ミチル☆:当日どこ集合?
洸太:学校の図書室、開放日らしいから使う
洸太:2時に着て
ミチル☆:わかった
ミチル☆:あと図書室は服じゃない笑
洸太:来て、だった
ミチル☆:ところで
洸太:なに?
ミチル☆:さっきの話誰に聞いた?
ミチル☆:ピラミッドの
洸太:ゆうひ
洸太:深散に拒否られそうになったらこれコピペで使えって
ミチル☆:やっぱり。洸太が言いそうなことじゃないもんね
ミチル☆:てか釣られた!
ミチル☆:相変わらず妙な知識は多いな夕陽
洸太:興味のあることはめっちゃ覚えてるね
ミチル☆:興味のあること「は」ね
ミチル☆:勉強に興味持ったらすごそうなのに
ミチル☆:あ、そうだ
ミチル☆:明後日何の教科やるの?
洸太:英語教えてほしいかな
ミチル☆:前のテストはちょっとアレだったもんね~
洸太:言わないで
ミチル☆:あはは、ごめんごめん
ミチル☆:じゃあ問題集持ってくね
ミチル☆:英語ならまかせろ!!
洸太:よろしく
ミチル☆:それじゃまたね
洸太:おやすみー
――7月29日・20時14分――既読
もう明日から八月か。教科書と問題集をありったけリュックサックに詰め込みながら、ふと思う。
こんなに詰めたら背負って歩くのはキツいな。でもまあ、今日やっておかなかったらこの後もやる気起きなくて夏休み後半まで持ち越すんだし、それにせっかくコータがミチルを呼んで(オレの考えた方法で釣って)くれたんだから、この機会は逃しちゃいけない。
引き戸を開け、「瀬名」と書かれた表札を横目に外へ出る。学校まではかなりの距離があり、車で送ってもらうか自転車を使うかしたいところだが、うちは父親は単身赴任中、母親は夜勤で昼は寝ているし、自転車は昨日点検したらパンクが発覚したため、使えそうにない(ちなみにこんな田舎に電車なんてもんは通っていない。オレは普段はスクールバスで学校に通っているのだ。このせいで自転車の点検を怠っていたわけだが)。
というわけでオレは歩くしかない。時間はかかりそうだから早めに出ることにしよう。
漬物石が入っていそうな重さのリュックサックに顔をしかめつつ、オレは学校への遠い道のりを歩き出した。
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