第13話

第十三話 カラビヤウとゲノムチェンジャー

俺はブラックホールとの戦闘終了後、兎に角逃げろと言って逃げていった、ハミーとウェーブルーラーの場所を探していた。


「あいつら一体どこまで行ったんだろう。」


俺は空中をくまなく見て探すも、なかなか見つからない。


「城壁を出ていったところまでは見たんだけど、、、」


城壁から遠のくうち、だんだん建物も少なくなってくる。


農家らしき人影が見える。


「ものは試しだ。あの人に聞いてみよう。」


そう言って俺は急降下する。


そしていつも通り寸止めの容量で地面スレスレでホバリングし、着地する。


農家の人はびっくりした様子でこちらを見てくる。

というか、かわいい。


てっきりご高齢の方かと思いきや、若い10代のおとなしめな女の子だった。


「たくましいですね、お若いのに畑仕事とは、、、。」


そう言うと、

「んんん。えへ。」


もじもじしながら目線をそらしてはにかむ。

実は俺はちょっとした変態だ。

具体的に言うと、

清楚でおとなしめなシャイな身長の低い女の子を見ると、イタズラして、困らせたくなってしまう。そういう感じだ。


まさに理想の嗜虐心のそそられる相手が眼の前にいる。

俺はとりあえず自分の名前を名乗ることにする。


「私の名前はダークエネルギー。よろしくおねがいします。」


「ゲノム、、、チェンジャー、、、、です。」


「ゲノムチェンジャー?遺伝子操作か。というか異世界転移か?余計親近感が湧く。じゃあこれからあなたはゲムちゃんね!」


「ゲムちゃん?えっ、えっと恥ずかしい、、、」


ゲムちゃんはまたもじもじする。

やっぱりかわいい。


「ゲムちゃんかわいい!」


「ふう!」


「ゲムちゃんベリーキュート!」


「ひぁ。」


ゲムちゃんは恥ずかしそうに上目遣いでこちらを見てくる。


そんな目で見られると壊したくなっちゃうぅううう。


「何してるんだい君。」


「へっ?」


俺はジト目でみてくるウェーブルーラーと、

驚愕の表情で立ちすくむハミーを見た。


「変態、、、」


「大丈夫ですよ、、、私はとんでもない変態さんでも、師匠は師匠です!」


「いや、これはちょっと調子に乗ったっていうか、、、先走ったっていうか、、、」


不味いつい調子に乗っちゃった、、、

俺の性癖がばれちゃううう


「それよりもさっきの怪我は大丈夫なのか、、、?」


俺は話題を逸らす。


「まぁ、君が超のつくド変態でも僕は構わないけどぉお、、、」


俺は冷や汗が垂れる。


「でもさっきは守ってくれてありがとう、、、」


ウェーブルーラーは不貞腐れたようにお礼を言う。というか少しデレてる?


「それで師匠!ブラックホールは?」


「何とか倒したよ、、、強かったけどね。」


「流石師匠!」


「やるね君。」


ゲムちゃんだけがこの会話に混ざれてないようだ。


「それで変態さん。ブラックホールって何?」


「ゲムちゃん!変態さんはやめ、、、いや、でも逆にこれはご褒美か、、、?」


そんなことを考えていると後ろから殺気を感じたような気がしたが、、、まぁいいだろう。


「ブラックホールは同じ異世界転移者でね。あらゆるグラヴィトンを操ることができるんだ。」


「グラヴィ、、、?トン?」


「まぁ、重力を自在に操れるってことさ。」


「へぇ。」


ゲノムチェンジャーはあんまり興味はなさそうだ。


「僕も聞いていいかな?ゲムちゃんっていうのはこの子のことかい?」


そう言ってゲノムチェンジャーを指差す。


「何でも。この子も異世界転移者らしいぞ。」


「そうなんだね。それにしてもかわいい子だね。」


ウェーブルーラーは舌舐めずりする。


「お前も人のこと言えないんじゃ、、、」


「なんか言った?」


「いえ、何も、、、」


ウェーブルーラーの覇気に黙らされる。


しかし、何か背筋がゾクッとするような違和感を感じる。


ウェーブルーラーとは別の異常な殺気。


「なぁなんかいや、、、」


バシュウウウウウ


空から謎の閃光が降り注ぐ。不味い、、、

だが閃光が俺達に到達する寸前に、横に広がっていく。だが俺達は無事なもののゲムちゃんの家は見事に蒸発した。


「何なの?脳力者?」


すると白い翼を広げた男、、、


「アンチマターか。」


執事のような服を着たアンチマターがゆっくりと空から降下してくる。


「まさか対消滅を回避するとは驚きました。新たな仲間ですか?」


俺は咄嗟にウェーブルーラーを見やる。

だがウェーブルーラーは困惑しているだけで、

次元を操作したわけではなさそうだ。


だがハミーが右手を出してニヤけている。


「もしかしてハミーがやったの?」


「あんた私の師匠に何してんだか?」


「何かキャラ変わってるし、、、」


ハミーは詠唱を始めると巨大な魔法陣が空中に現れる。


ハミーの後ろから漆黒の翼が現れ、ゆっくりと浮遊し始める。


「なるほど、魔術ですか、、、一度戦ってみたかったんですよ。」


アンチマターは戦闘態勢に入ると、白い翼がさらに生えていく。


「スバリリアカクトム!」


ハミーがそう呟くと魔法陣から黒いレーザーのような光線が一気にアンチマターめがけて発射される。


アンチマターも白い光線を発射する。


2つの光線は空中でぶつかり合い、衝撃波となってこちらに来る。家々は吹き飛び、畑は掘り返され、無惨な状態になる。


ウェーブルーラーと俺はそれぞれ翼で飛び立ち、ハミーに加勢する。


俺はハミーの異変が気になって、直接尋ねる。


「ハミーどうしちゃったの?」


「どうしたのってこれが私さ。」


ハミーはそう言うが明らかに目つきが違う。

「覚醒した?それとも二重人格?」


「な~にいってるんだか。まぁ見ててよ師匠!」


そう言ってアンチマターに漆黒の翼が伸び攻撃する。

アンチマターもそれを迎え撃ち、純白の翼で漆黒の翼を受け止める。


二人による翼の応戦が始まった。


「不思議な翼ですねぇ。私の反物質の翼に触れても消滅しないとは、、、」


「オラオラごちゃごちゃうるせぇぞ!」


だが、ハミーが息苦しそうに喉を押さえる。


「また酸素を別の物質に、、、ハミーが危ない。」


アンチマターは一瞬でハミーに近づくと右手を振り上げる。


俺は波動を右手から放ち、アンチマターを吹き飛ばした。


「観客風情が邪魔しないでください!」


そう言ってアンチマターは俺に翼で攻撃してくる。

バシュウウウウウ


俺も翼で攻撃しようとしたらウェーブルーラーに先を越された。


「行くよっダークエネルギー!」


ウェーブルーラーは虹色の翼でアンチマターに向かう。


「りょうかい!」


俺も翼で追いかけ、援護する。


アンチマターは複数の翼で俺達の攻撃を躱す。


が、必然的にハミーとウェーブルーラー、そして俺に囲まれ、実質的に三面楚歌の状況が生まれる。


「あなた達との決着はまた今度にしましょう。」


そう言って、アンチマターは巨大なエネルギー波を放つ。俺達はそれぞれの翼で自分を包むが、その隙に、アンチマターは逃走し、気づけばその場には俺達とゲムちゃん。そして、謎の男が一人、、、いた。







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