第11話
第十一話 ルーム姫
俺達はウェーブルーラーの案内で城内に入り、簡単な手荷物検査を受けたあと、応接間に通された。
「とっても緊張します!師匠!」
「こんなところ俺には場違いだな、、、」
豪華絢爛な絵画や陶器が並べられ、部屋はアンティークランプで柔らかく照らされていた。
そこから扉がゆっくりと開き、
「お久しぶりです。私のナイト様。」
そう微笑んでこの前の機関車横転の姫様が現れる。
俺達はソファから立ち上がり挨拶する。
ハミーは背筋がピンとたち、余計に緊張しているように見えた。
「改めまして、私はルビラスタ王国の第一王女、ルームです。」
「どうも、魔術師のような魔術師じゃないようなダークエネルギーです。」
「その弟子のハミー・グランツェルです!」
「あら、いつの間に弟子を取ったのですか?」
ルームは不思議そうに尋ねる。
「実は機関車襲撃事件のボスであるアンチマターに襲撃されてしまいまして、その時にこの子を助けたんです。」
ハミーは「どうも!」と頭をペコリと下げる。
「あなたも私と同じようにダークエネルギーに救われたのですね。」
そうルームは問いかける。
「はっはい!師匠がいなかったら、私は今頃、、、」
「そうなのですね。流石は私のナイト様。」
ルームは酷く感心した様子で俺を眺める。
「そこで、あなたに折り入って頼みたいことがあるのです。アンチマターを生け捕りにし、ここまで連れてきてほしいのです。」
「生け捕りですか?殺すんじゃなくて、、、」
「今の王政に不満が噴出しているのは聞いています。だからこそ、アンチマターの考えを聞き、今後の政に生かそうと思うのです。」
「陛下、犯罪者風情に政など、、、」
執事を口を挟む。
「事実我々の政治が欠点があるのは分かっていることなのですから、戦う前に話し合いをするべきでしょう。人心がアンチマターに掌握しきられてしまう前に、、、」
なんだか大変そうだなぁ。
でも、、、、
「残念ですがその話は、、、」
「いいですね !ダークエネルギーに任せましょう!」
ウェーブルーラーが悪戯な目で俺を見る。
「私もダークエネルギーにお供してサポートしますし、、、」
「いいでしょう。私のウェーブルーラーは魔術師の中でもトップクラスです。きっとナイト様のお力添えになるはずです。」
「いいえ、しかし、、、」俺はさらに断りを入れようとするが、
「良かったですね!師匠!ルーム姫様からに直々のお願いですよ!これで師匠の名も上がって私も誇らしいです。」
普通、逆じゃねっていうかハミー、、、余計なことを、、、
ウェーブルーラーは俺の様子を観察して楽しんでいる様子だった。
結局俺は空気に逆らえず、そのお願いを受けることになった。
王宮を出る道すがら俺はウェーブルーラーに苦情を言う。
「ウェーブルーラー、、、俺を変なことに巻き込むのはやめてくれないか?前にも言ったように、俺はのんびり人生をやり直したいんだ。」
「なんのことかな?それよりも私は君と一緒にこれから冒険できて嬉しいよ。」
ウェーブルーラーは澄んだ目でこちらを見る。
そんな目で見られたら、もう何も返せない。
ハミーも「これから頑張りましょう師匠!師匠には偉大になって欲しいです!」と乗り気だ。
「はぁあ。なんでこんなことになるんだか。」
俺は溜息をつく。
「ともかく、まずは情報収集だな。さっき宮内庁からもらった資料には何て?」
「いくつか、拠点らしきものはあるみたい。この城内にも、、、」
「なるほどな、、、とりあえず一番近いところから行ってみるか、、、」
「そんな、、、君は観光地を巡るみたいに、、、」
ウェーブルーラーは呆れると、「まぁアンチマターも二人がかりならコテンパンよね!」
とポジティブに捉えることにしたようだ。
「何か忘れられてるような気がするんですけど、、、」
ハミーはそう口を膨らませて、反論する。
「そ、そうだね、、忘れてた、、、君もいたね。ごめん。」
そうウェーブルーラーは謝罪する。
確かポロッと言った言葉がその人の本音だっていう言葉があったような、、、気のせいか、、、
まぁ、事実、ハミーは戦力外みたいなところあるからな。
そうこうしながら、俺達は怪しい路地へと足を踏み入れた。
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