第9話

第九話 謎の少女

俺はハミーという仲間を得て、ルビラスタ王国の首都キャメリアへと向かう。


俺は翼で飛びながら、、、、

ハミーは箒で飛びながら、、、、

ゆっくりと旅を楽しむ。


「師匠!今日はいい天気ですね。」


「そうだね。雨だったらその日は動けないしね。」


そんなことを言いながら、悠々と空を移動する。


「お昼が近いね?ご飯食べようか?」


俺はハミーに提案する。


「いいですよ。お師匠様!」


「じゃああそこにしようか。」


俺は街から少し離れた野原を指差す。


「了解です!」


ハミーの元気のいい返事を確認すると、ゆっくりと降下する。


野原の真ん中で深呼吸をしたあと、

布を広げ、調理の支度をしていく。


「師匠は待っていてください!私が全部作りますから!!」


「そっそう?分かった。、、、。」


ここはハミーに任せることにしよう。

俺は布の上に座ってハミーが調理する様子を眺める。


ハミーが味見するために汁を飲む。


「こう見ると、奥さんみたいだね。」


「ひゃい!?」


ハミーはびっくりとした様子でこちらを振り返る。


「ハミーはいい奥さんになれるんじゃないかな。」


ハミーはモゴモゴと口を動かしたあと、料理に集中するように鍋と向かい合う。


こういうのってセクハラに含まれるのかな。

まぁ、この世界にセクハラっていう概念が存在するのかどうかもわからないけど、、、


そんなことを考えながら寝転がると、日差しがなにかに遮られる。

よーく目を凝らすと、


「やほー!」


「ぇえっ?」


俺は勢いよく起き上がり、声の主の方へと振り返る。


そこには銀髪の貴族のような風貌の女の子が立っていた。


「失礼ですが、どなたなのでしょう?」


俺は突然現れたその少女にいまだ驚きで心臓が動悸をとめないまま尋ねる。


「さて、問題です!私の異能は何でしょう?」


その少女は虹色に輝く翼を広げ、俺に尋ねる。


全然質問に答えてくれなーい、、、

まぁ、とにかく異能、異能!?

異能って脳力のことか?それとも、、、この世界の魔術、、、ってやつ?

ともかく翼だけじゃ情報不足だな。


俺が「うーんうーん。」と悩む様子を謎の少女は面白そうに見ている。


「正解は、、、」


謎の少女は片側の髪を耳の上にかけたあと。こちらに顔を近づかせこう囁く。


「君、異世界転生してるよね?」


「えっ」


女の子特有のいい匂いがする。っていうか

近い。


「僕の名前は波長支配(ウェーブルーラー)。文字通りこの世界のすべての波の性質を持つものの波長を支配できる力さ。」


そう言って、俺の耳たぶを指で触る。


すると


「ストッーーープ!!!」


ハミーが俺とウェーブルーラーの間に入って引き剥がす。


「師匠にそんないかがわしいことしないでください!!」


「ただのスキンシップになにを熱くなってるのさ?」


そうウェーブルーラーは受け流す。


そして俺の肩の上に肘をのせると、ハミーにアピールしてくる。


ハミーは「何でそんな恥ずかしいことできるの?」と言わんばかりに、顔を赤らめ、ウェーブルーラーを見やる。


「あの、ハミーがびっくりするから、私にからむのはほどほどにしてもらえないか?」


俺はウェーブルーラーにそう伝える。


「つれないねぇ。君は。」


そう言って、彼女は俺から少し距離を取る。

「とにかく私は料理を続けますね!」


ハミーはそう言って台所に戻る。


その様子をウェーブルーラーは目で追う。


「君達。まだ料理を直でやってるの?魔術は使わないのかい?」


そうウェーブルーラーは尋ねる。


えっ?調理って魔術でできるの?


俺は咄嗟にハミーを見やるが、

ハミーは目線をそらして俺と目を合わせようとしない。

何か額に汗をかいてるような、、、


「まだ、異世界転移の新米なんだね。この世界ではちょっとひねった魔術を使ったら調理なんて簡単にできるんだよ。」


そう言ってウェーブルーラーは詠唱を始める。

そして魔法陣が現れ、そこから美味しそうなステーキが現れた。


「すごーい」

「すげぇ」


ウェーブルーラーは満足そうに胸をはる。

「あなた?魔術も使えるんですか?」


「異世界転移した場合のタイミングはそれぞれ違うみたいだね。私はあなたよりも先にこの世界に来て魔術を勉強したの。」


「なるほど。」


ハミーは目をキラキラさせながら料理を眺める。


「私生まれてからこんな豪華なもの見たことがないです!」


そう言ってウェーブルーラーに羨望の眼差しを向ける。


「私よりもウェーブルーラーのほうがハミーの師匠に向いてるかもしれないね。」


「いえいえ、私の師匠はダークエネルギーだけです!」


ハミーはそこは頑として譲るつもりはないみたいだ。


「君、魔術を志してるの?だったら僕が教えてあげようか?私、ルビラスタ王国の魔術顧問してるし、、、、」


「えっ、魔術顧問?」


ハミーは驚愕の表情でウェーブルーラーを見やる。


「そんなにすごいの、、、?」

俺はそんなことを尋ねるが、


「すごいなんてどころじゃないですよ、、、魔術師としては世界最高の栄誉です。」


「ウェーブルーラーってそんなすごい人なんだ。」


俺は偉い人なのは知っているけど具体的に何が偉いのか分からない子供のような返事をする。


「まぁ、これからよろしくね。」


そうウェーブルーラーは呼びかけた。

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