第6話

第六話 旅の始まり

「白い光のなーかにー山並みは燃えてー」

懐かしい鼻歌を歌いながら村人達からもらった地図を眺める。


「ふむふむ、なるほど。西の方角にルビラスタ王国の首都キャメリアがあるのか、、、まずはそこに行ってみようかな、、、」


王国ってことは、独裁、、いや王政のはずだ。そしたら民主主義過激派の解放連合を知っている人の一人や二人はいるかもしれない。


「まずはそこから情報収集だな。」


俺は地図を落とさぬようバッグにしまったあと、のんびり空を散歩する。

下の地上を眺めているとちらほら建物が多くなり始めた。


すると

「きゃ~~~ーー」


後ろから箒に乗った女の子がすごい勢いで突進してきた。


「いてて、、、」


俺は無事だったが、女の子は箒から落ち、重力に従って落下していく。


「大変だあ!」


俺は急いで急降下し、其の女の子を下に回り込んでキャッチするが、、、

これお姫様抱っこ?


女の子は頰を赤らめてすぐに視線を逸らす。俺も恥ずかしくなってすぐに視線をそらした。

俺は翼の一つを使って彼女の箒を回収すると、

其の女の子をゆっくりと地面におろした。


俺は箒を渡した後、

「じゃ、じゃあそういうことで、、、」

恥ずかしくて逃げようとしたその時、


「待って!」


とその少女に手を引かれる。

白くて華奢な手で柔らかい。


「貴方の魔術のことを教えてくれる?助けてくれたお礼も兼ねて、、、」


少女に促されるまま、まるで秘密基地みたいな研究室に案内される。


「わぁ、すごいな。いろいろある、、、」


「ちょっと待ってて、、、お茶を用意してくるから、、、」


と少女は奥に消えていく。


「うーん。他人の家は落ち着かないなぁ。」


俺は挙動不審に、視線を色んなところにやっていると、、、


「お待たせー、いろいろお話聞かせてくれる?」


と少女が勢いよく入ってくる。

お茶が落ちそうで冷や冷やしていると、少女はお茶を差し出すと

椅子に座る。


俺は「いただきます。」と言ってからお茶を口にした。


お茶を一口飲んだのを確認してから少女は話を切り出す。

「さっきは助けてくれてありがとう!それで私の不注意で、ぶつかってごめんなさい。私はハミー、ハミー・グランツェルっていうの、、、よろしくね?君は何ていうの?」


いつも自己紹介する時に恥ずかしい思いをするなぁと思いつつ、

「私は、ダークエネルギー、、、っていいます。」と

告げた。


「早速なんだけど、貴方の竜巻のような翼?すごくかっこいいわね。それはどんな魔術を使っているの?」


少女は好奇心旺盛に目を輝かせながら聞いてくる。

魔術?そんなこと言われても魔術の仕組みなんて全然知らないし、、、


「実は、、、えーと、俺は自分の名前を覚えていないんだ。ダークエネルギーは自分の使っている力の名前で、、、うーん、、、なんて言おうか、、、最初から使えていて、魔術とかそういう仕組みは実は一切知らないんだ、、、」


少女は驚いた顔をすると、

「君、元々力を持って生まれたの?そういう人もごく少数いるって聞いたことがあるけど、、、実際にそういう人は初めて見たよ。すごいね。私なんてそんなに頭も良くないし、魔術もそんなに使えない。羨ましいなぁ。そんな力があって。」


「、、、ダークエネルギーは宇宙空間に満たされているエネルギーなんだ。そこから力を得ていることは分かるんだけど、、、」


俺は分かることだけでも伝えようと頑張る。


「自然魔力?ってこと?」


「自然魔力?」


「自然魔力は自然にある魔力のことで、人間が元々持っている魔力を解放するのが今までの魔術だったんだけど、自然にある魔力を利用してさらに強力な力を得ようとしているのが今の魔術学なの。私は自分の持っている魔力が少ないから、それを学ぼうと思ってるんだけど、、、」


「難しいんだ?」


「そう。だから貴方に少しでも教わることができればいいと思ったんだけど、、、」


なるほどねぇ

苦労してるんだなぁ


「あんまり教えられなくてごめんなさい。でも私はあなたのことを応援してるから。」


「ありがとう!私も頑張る!」


少女は元気よく返す。が、

バシュウウウウウ


突然外で大きな音がした。












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