第5話

第五話 運命の旅路

俺は空を飛びながら、さきの出来事を振り返る。

「あのお姫様はどうあれ、アンチマターって言ってたな。それはいったい誰なんだ。解放連合っていったい、、、この世界の主義、思想も勉強しないとな、、、」


俺はそう呟くと、一つの決意をかためる。


俺は村を視界に収め、少しずつ高度を下げていく。


地面に飛び立つと真っ直ぐ村の公民館へと向かった。


俺は村長に挨拶する。

「ご無沙汰してます。」


「おぉ~ダークエネルギー様。今回はどんなご要件で?」


「実は折り入ってお願いがあるんです。」


「、、、と言いますと?」


「俺は旅に出たいんです。」


村長は怪訝な顔をする。


「まだこちらで休まれてもいいのでは?」


村長はそう言うが、、、


「皆さんが自分達の安全を保障してくれる存在を失うのが不安なのは分かります。ですが、私は自らの同胞を探すという目的ができました。

私はその同胞を見つけたいのです。」


「同胞ですか?それなら我々の手で、、、」


「そうも行かないのです。その同胞は政治的思想を持つ過激派の長。いつあなた方に危険を及ぼすか分かりません。」


「しかし、、、」


「お願いです。行かせてください。定期的にはこちらに戻ってきますので。」


村長は溜息をつくと、


「確かに、ダークエネルギー様にはダークエネルギー様の人生があります。しかし我らにも我らの人生があるのです。我らにもしものことがあったときダークエネルギー様がそばにいないのは非常に残念です。でも、」


村長はそう前置きを置くと、


「私達にはダークエネルギー様に救われた恩があります。我々はそれを一生を懸けて返さなければなりません。我々はいつも貴方のことを待っています。どうか我々のことを忘れないでください。」


そう村長は話してくれた。

俺は村長の手を握り、


「勿論です。私は貴方がたのことを忘れることなどありません。何かあればすぐ戻ってきます。」


そう言うと、村長は安心したように


「私達はいつでもダークエネルギー様の味方です。気をつけて行ってらしてください。」


とエールを送ってくれた。


その晩、村で出発前のお別れ会が開かれた。

「あんちゃんがいなくなるなんて寂しいぜ。時々は顔出せよ。」


そうおやっさんは呟く。


「勿論です。そうさせていただきます。」


その後、村の人達が旅支度を整えてくれ、バッグとその中に何日かの食料。旅費、服や寝袋を詰めてくれた。


俺は早朝、村の入口でみんなが集合する中、各々に挨拶し、

「じゃあ。行ってきます。」


そう告げると、みんなが

「行ってらっしゃーい!」「ばいばーい!」「気をつけてー!」「頑張れー!」

と応援してくれる。

転生前の人生でここまで人の温もりを感じたことがあっただろうか。


俺は笑顔で応えると手を大きく振りながら、翼を広げ、急上昇する。


村人達はその衝撃に耐えた後、空を飛ぶ俺に手を振り続けてくれた。


俺は再度手を振ると地平線目がけて加速していった。






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