第3話

第三話 異世界の村でのんびり生活

俺はしれっと村を救ってしまった。

俺は突如として最強な力を手にしてしまったが、世界征服なんだのとやる度胸はない。

そして俺はごく当然の疑問に気づく。


「俺、家無くね。何なら食べ物もないし、そういえば喉も乾いていたし、服も被験体のときの変な服だし、、、」


そうすると村長と思われる御老体が現れる。

「あなたは我等の恩人です。どうか恩返しをさせてください。何かお望みのものはありますか?」

御老体はしゃがれた声でそう語りかける。


俺はとりあえずこうお願いする。

「すんません。お願いなんで服を見繕ってくれませんか?寒いんです。」

しばらく沈黙が場を支配し、


「プッフフフ、ハハハハハ、アハハハハ!」


村人の間で笑いが起こる。

俺もつられて苦笑いをしてしまう。

「あんちゃんはおもしれぇな。いいぜ、見繕ってやるよ。その間俺のお下がりを貸してやる。いいですよね村長!」


村長は頷き、「みんなダークエネルギー様の服を見繕ってくれ、大至急な。」

するとみんな


「はーい!」と


返事をする。

ダークエネルギー、改めて言われると気恥ずかしい。もうちょっとマシな名前にしとけばよかったか、、、

その後、村の広場?のような場所に連れて行かれ、祭り上げられる。


「ダークエネルギー様にカンパ〜イ!」


村のみんなに祝福される。


それからしばらくの後、この村に住ませてもらうことに、いや、むしろ歓迎されのんびり暮らさせてもらっている。


「おはよう!」

「おはようございます。」


そんなこんなで村にも馴染め、平和で平凡な暮らしをしている。


「なんだかなぁ。平和なのはいいことだけど、、、もうちょっといい刺激が欲しいなぁ。」


そんな欲も呟いてみるが、

「何言ってるんだあんちゃん?」


「いーやいやいや、大丈夫です。」

今のは聞かれたらちょっとまずいかも、、、

あっそうだ!

「おやっさん!ちょっと修練に行ってきていいかい?」

「いいが、、、どこに行くんだ?」

「まぁ村に迷惑がかからないどこかですかね、、、」


「まぁいいが、突然消えていなくなるなんて辛気臭いことすんなよ。」

おやっさんは保険をかけてくるが、

「もちろんです。では行ってきます!」と元気よく返事をすると、


俺は重力波の翼を背中から4本広げ、家から出る。

そこから一気に翼を竜巻のように巨大にすると、勢いよく飛び出していく。


俺は一瞬で空中に浮かんで、手頃な場所をとさがす。


とある実験で空間を支配する力を手にしてしまった俺は、力だめしをしてみたかった。


「うーん、どこかいい場所いい場所、、?ないかな~。」


そう呟いていると、大地を突っ切って走る機関車が見える。


「懐かし〜、小さい頃は電車大好きだったなぁ。ちょっくら見ていっても世話ないだろう。」


そう納得して、空から一気に急降下する。そして地面スレスレで低空飛行に切り替えると、機関車と並走しながら機関車を眺める。


大地からは機関車と、そして俺の翼による強烈な砂埃が巻き上がる。


「どちらかというとヨーロッパでありそうな機関車、、、だなぁ。まぁヨーロッパの機関車のことは詳しく知らないけど、、、」


俺はよくわかんない感想を述べながら乗車しているお客さんに向かって手を振る。


「こんちは~。元気ですかー?」


「きゃーーー」


客車からは悲鳴が上がり、驚愕の目で見つめられる。

「まぁ、そりゃそうなるよな。」

俺は後ろの方へと少しずつ移動していき、客を眺める。

「あんまりいい趣味とは言えないなぁ。だから変人って言われるんだろなぁ。」


すると最後尾に座っている女性に目を奪われる。

「王女様?」

そこに座っているのはお硬そうなそれでいて美人のそしてきれいなドレスを着た人だった。


「わーキレー。」


するとお付きの人達は慌てた様子で駆け回る。

その王女様っぽい女性は不思議そうな目つきでこちらを見つめている。


俺は王女様に向かって、手を小さく振ってみた。

その王女様は少し困ったように手を振る。


すると近衛らしき人影が現れ、窓を開けてくる。

「貴様、何者だ!?」

「私?私は、、、、、、しがない村の、、、えぇ~と、、、ダークエネルギーです(笑)」


「ふざけてんのか?てめぇ?」

そう言って銃を取り出し、こちらに発砲してくる。

俺は遅延防壁を発動し、その弾を空中に止める。

「あっぶないあっぶないあっぶない!」

俺は遅延防壁があるとはいえ銃の存在に少し恐怖を覚える。

「なんてこった。なんで無傷なんだ?」

そう言って近衛が銃をさらに発射するが、

それも空間の密度を増やし、俺の正面の空間の時間の流れ方を通常の0.1%にして躱す。


「流石にもうちょっかいかけるのはやめといたほうがいいな。」


そう言って離れようとしたその時だった。














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