連携

「爆破!?」


アナウンスを聞いて色人達は青ざめたが、安藤は冷静だった。


「・・・そうだ。この施設は、緊急事態が発生したら、自動で施設内のシャッターが降り、十五分後にこの施設ごと全て爆破する仕組みになっている」

「な、何でそんな危険なこと」

「この施設の存在は決して世間に知られてはならない。あんな化け物を外に出すわけにはいかないだろ?だから、何か緊急事態が起きたときには、施設ごと奴らを処理しようって考えさ」

「そ、そんな~」


「・・・ここで働いてる人間の人権なんか考えちゃない。まあ、俺たちもそれを承知で、知的好奇心の為にここで働いていた。・・・狂っているのは、俺たちも同じだ」

「・・・・・・・・」

「前はこんな機能なかったが、藤吉がお前らを持ちだしたことで、チェックが厳しくなった」


「・・・爆破を止める方法はないのデスカ?」

「・・・・まずは全フロアのシャッターを解除して、あの奥の部屋のなかにある解除コードを入力する必要があるが・・・その前であの化け物達が暴れてやがる。・・・十五分では無理だろ」


「俺がやる」


名乗り出たのはアオだった。


「ええ?」


「この中で俺が一番スピードが早い。お前らがあの毛むくじゃら達の気を引いて、そのスキに俺がシャッターを解除して、爆弾も止める」

「シャッターを解除してそのまま逃げればよくない~?」

「それだとあの被験者達が死ぬ。十五分足らずで全員外へ連れ出すのは無理だろ」


「ハア?アイツらもを助けるつもりデスカ?!」

「・・・あいつらも人間だ。そうだろ?」


そう言って、アオは安藤を見た。


「・・・・そうだが、でもお前らと違って自我が・・・」

「・・・ハカセが俺たちを助けてくれなかったら、俺たちが、ああなってたかもしれない」

「・・・・アオ」

「おい、解除コードを教えろ。俺がシャッターを解除するまでに、あの被験者達をどこか開いてる部屋に閉じ込めて、シャッターが解除されたら、お前たちはとりあえず外に避難しろ。俺は爆破を止めたら合流する」


「・・・アイツらはどうやって保護するんデスカ?」

「それは全員助かってから考える。今はそんなこと考えてる時間はないし、とにかく絶対殺すな」

「・・・・それはいいけど、アオは今人間なんじゃないか?」


「・・・これを見ろ」

「?」

シロに指摘されて、アオは自分のつむじを指さした。アオの髪の根本は、黒くなっていた。


「・・・なにこれ~?」

「徐々に根本から黒くなってる。おそらく、髪の色や瞳が黒くなれば、俺は人間に戻る。つっても、あいつが半色人みたいなもんだったから、完全な人間ではないと思うが」

「・・・・そうなんだ~」


「・・・先にこれ、渡しておく」


そう言って、アオはキイロに小さい瓶を手渡した。


「ここ来るまでに採取した俺の血液だ。これを培養すれば、お前たちも人間に近づける。完全な人間になる方法は、助かってからコイツに死ぬ気で調べさせる。それくらいやってくれるよな?」


アオは安藤を見て、安藤は静かに頷いた。


「・・・・・・・・・・・わかった。でも、解除コードは、幹部の指紋認証がいる。俺も解除に立ち会う必要がある」

「わかった。とにかく時間がない。開けるぞ」


ドアを開けた瞬間、毛がアオに向かってきた。

「・・・・っ」

寸前で毛を避け、アオは安藤を連れて解除室へ走った。


そのアオの動きに反応してアオへ矛先を向けるが、緑の硬質な塗料がアオをガードし、その毛に茶色の塗料が巻きついた。


「よくやりマシタ、チャイロ。そのままおさえてて下サイ。シロ!クロ!」

「クロ、手を貸して」

「・・・うんっ」


シロはクロと手をつなぎ、白と黒の塗料を拳銃の形に変形させた。


「チャイロの能力の効果が切れるまでデス。よく狙って下サイ」


灰色の銃は被験者の足元に向かって発砲され、足を撃たれた被験者はその場でうずくまった。自我がないとはいえ、痛覚はあるらしい。


「や、やったあ、シロっ」

「ありがとう!クロ、やっぱり僕たちは最高だ!」

「//////」


シロはクロに抱きつき、クロは顔を赤面させた。


「次の獲物いきマス!」


この連携で、色人達は被験者を無効化させて、個室へと運んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・ここだ。解除室」

アオと安藤は解除室にたどり着き、安藤は解除キーを入力し、シャッターを解除した。


「爆弾はどこだ」

「この後ろの階段を降りた一階の奥の部屋にある。その中に埋め込まれてる」


安藤は後ろのドアを指し、解除キーを入力してドアを開けた。


「・・・これか」

ドアの中には、大きな爆弾装置が設置されていた。


「・・・これに解除キーを入力すれば・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「遅いな~アオ・・・」


被験者達を個室に閉じ込め、キイロ達は外へ避難していた。


「あ、あれあれっ・・・!」


施設の中から、人が出てきた。


安藤だった。


「ア、アオは・・・?」


「彼は・・・・・戻って、来ない」

「え、ええ!何で?」


「爆弾が解除・・・できなかった」

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