#3 本の賛歌(感想)
『19世紀の異端科学者はかく語る』電子書籍化にともない、カクヨム版は序文を残して削除しました。規約の関係でURL載せませんが、書籍版タイトルは『十九世紀の異端科学者はかく語る: ダーウィンの愛弟子ラボックの思想と哲学 -The Pleasures of Life-』です。
電子書籍版を出したからといって、小説投稿サイトを軽んじるつもりはまったくなく、棲み分けしつつ執筆活動を展開したいと考えています。
そこで、ここから先は、翻訳文を引用しながら訳者主観で「感想と解説」を投稿しようかと。
「翻訳者だって、ひとりの読者として感想書きたい!」
そんな主旨で、好き勝手に語ります。
(※引用文は改稿前のもので、書籍版とは異なる場合があります)
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#3 本の賛歌(感想)
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前回までの「義務と幸せ」から離れて、読書と本の話がメインです。
> 十九世紀現在、私たちが享受している特権の中で、本へのアクセスが簡単になったこと以上に感謝すべきことはない。
> 私はしばしば、こんなに早くこの世に生まれなければよかったと思い、百年後の本、それも学校の教科書を一目見たいと思うことさえある。
著者の「本好き」がびしびし伝わってきて、ほほえましい。
ジョン・ラボックの生没年は1834年〜1913年。
つまり、彼が一目見たいと願った100年後の本は、現在流通している本ということになります。もし現代に生まれていたら、どんな本を貪り読んでいたのでしょうね。
> 百年前の本は非常に高価で煩わしいものであっただけでなく、最も楽しいものの多くはまだ生まれていなかった
ラボックがいうには、昔の本は「高価で煩わしい」もので、19世紀の本は「楽しいもの」だと自負してますが。
21世紀人の感覚としては、19世紀の本は「難しい」「とっつきにくい」のかなと感じています。翻訳して公開・電子書籍化してみたものの、エンタメ小説に比べて読者は非常に少なく、やっぱり一般受けする内容じゃないのだな……と再認識しているところ。
私個人はクラシックな味わいを楽しんでますが、同類は少ないようです。
なお、原著の『The Pleasures of Life』は1887年初版、1890年に改訂版を出版。改訂版の序文によると三年間で増版20刷だそうで。
日本では知られてませんが、欧米圏では今も出版されている名作エッセイのひとつです。
今回の章で、個人的にお気に入りの一節はこちら。
> 誰でも「静かな扉を開ける黄金の鍵を持ってくれば」、慰めと安らぎ、リフレッシュと幸福を得ることができる。
> ライブラリーは本物のフェアリーランドであり、喜びの宮殿であり、世の中の嵐や悩みごとから解放されるの安息の地である。
> 金持ちも貧乏人も同じように楽しむことができる。
> ここでは富は何の役にも立たないからだ。
ちなみに、ライブラリー(library)は図書館・図書室と訳しますが、蔵書という意味もあるそうで、文脈的に区別がつかない場合はそのままライブラリーと表記しています。
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