第二部 The Pleasures of Life PART II

PREFACE 序文、再び

そして、書かれたものは書かれたものだ、

それは、より価値のあるものだろうか。

——バイロン



***



 まず初めに結論を申し上げる。

 おそらく、第二部を発表するのは賢明ではないだろう。

 第一部(The Pleasures of Life)はかなり好意的に受け入れられたので、続編を付け加えることはリスクをともなう。


 しかし、第一部の序文で、「かつての(悲観的だった)私が、慰めと喜びを感じた考え方や引用が、他の人たちにも役立つことを願っている」と述べた。


 この点で、最低限の望みは充分すぎるほど達成している。

 本作の第一部は、二年足らずで13刷を重ね、そればかりか、私が受け取った多くの読者からの手紙はとても喜ばしいものだった。


 第一部に目をとめてくださった読者諸氏の中には、二種類の批判を繰り返された方がおられる。


 ひとつめの批判は、「著者の人生は例外的に明るく充実したものだったのだ。だから、あなたには他人をジャッジする権利はない」という内容だ。


 私は他人にジャッジを下そうと思ったことはない。私はこれまでに与えられたすべての恩恵を忘れてないし、感謝の気持ちも忘れてないと思う。

 それに、もし私の人生が大きな恩恵を受けてきたのなら、なおのこと、本書の「人生を楽しむ(The Pleasures of Life)」というテーマについて掘り下げる資格があるのではないだろうか。

 さらに、私は……、誰にでもあることだが、私独自の不幸や悲しみを抱えている。


 ふたつめの批判は、「引用が多すぎる。著者自身の言葉が少なすぎる」という指摘だ。実のところ、私はこの指摘を大きな賛辞だと受け止めている。私は自分がオリジナルになりたいわけではない。


 多くの読者が証言してくださったように、この本が誰かの慰めとなり、暗闇の時間に励ましを与えることができたなら、それは本当に十分な見返りであり、私が望んでいた最大限の成果なのだ。


ケント州ダウン村ハイエルムスにて

一八八九年四月

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