第9話 ミーヨ・ザ・キッド ・・・

 ☆ ♪ネコの子トラの子ミーヨの介は、どこーがおうちかわからない

   クルクル目玉に四角い顔してひょこーりひょっこりやってきた ♪ ☆


 真っ赤な夕陽を背に受けて、やって来たのは荒野のお尋ね者

 ミーヨ・ザ・キッド である。

 しましまミーヨはさすらい者だ。

 ちびたしっぽをゆらゆらさせて、カウボーイハットに二丁拳銃。

 あの街この街、どの街まで行くのやら。


 ひなびた街のある酒場。

 ミーヨ・ザ・キッドが飲み干すは、

 アイス・ミルクのストレート。

 「お前はミーヨ・ザ・キッドだな?」

 振り返るそこにいるのは、保安缶バッジをつけたブル保安官。

 「ここで会ったが百年目、100万ドルのお尋ね者よ。飛んで火に入る夏の虫。

 あ、こいつは春から縁起がいいわ」

 指差す先に、「お尋ね者」のポスターが。


 ポスターなんて始めっから承知の介だ。

 さしずめ、誰かが垂れ込んだ。

 

 バキューン!!


 電光石火の早業で、保安官の帽子を吹っ飛ばす。

 クルクルクル、と3回転した保安官、

 ドタンと倒れてのびの介。

 ミーヨ・ザ・キッドはもういない。

 

 バーテンダーのチワワワン、

 おしぼりパタパタ保安官をあおいでる。

 ブッフッフ、と気がつく保安官。

 逃げられちまっちゃあ仕方がない。

 ミーヨ・ザ・キッドは神出鬼没。

 憂さ晴らしだよ、一杯よこせとバーテンに、

 開けたチュウハイラッパ飲み。

 

 ───『臨時ニュースを申し上げます。

     本日未明、ダックス知事の秘書であるレディ・金魚さんが豪華金魚鉢ごと

     誘拐されました。当局は、犯人はミーヨ・ザ・キッドであると見て捜査を

     進めています』───


     ミーヨ・ザ・キッドは正義の味方

     街のみんなは知っている。

     金持ち屋敷を襲っては、

     お金をみんなにばら撒くの。

     ミーヨ・ザ・キッドがやって来た!


     それでわざと捕まって、脱獄しては、懸賞金。

     銀行から保安官事務所に運ばれる懸賞金。

     それを奪ってまたばら撒く。


     街のみんなは期待してる。

     脱獄たんびに上がっていく懸賞金。

     吊り上げさせろよ懸賞金。

     上げてどんどこばら撒いて。


 ミーヨ・ザ・キッドは知っていた。

 ダックス知事の悪行を。

 レディ・金魚は愛魚あいざかな

 税金ガボガボ貢いでた。

     

 レディ・金魚が拐われた。

 もちろん、犯人はミーヨ・ザ・キッド。

 ダックス知事に身代金。

 レディ・金魚は文句を言った。

 「50万ドルとは安売りね」

  

 どこから嗅ぎつけたのか、

 ドラネコ一味が忍び込み、

 「あ〜〜れ〜〜」

 レディ・金魚をまた拐い。

 そのまま一味はトンズラよ!


 ハスキー刑事が踏み込んだ。

 「レディ・金魚さんはどこだ!?」

 ミーヨ・ザ・キッドは明後日あさって向いて、

 「ドラネコ一味に拐われた」


 嘘を言うなとハスキー刑事

 ポリチュウたちとガサ入れだ。

 あちこち探すがどこにもいない。

 ミーヨ・ザ・キッドももういない。


 レディ・金魚は無事なのか?

 ついに懸賞金は100万ドルに!

 

 レディ・金魚はどこ行った?

 ミーヨ・ザ・キッドも探してる。

 ドラネコ一味はどこなんだ?

 50万ドルばら撒き損ね、

 しょーがないなとミーヨ・ザ・キッド

 100万ドルにするしかないかと

 あの酒場に入ったのだった。 

 

 いくら何でも100万ドルだ。

 簡単に捕まっちゃあ面白くない。

 ブル保安官を振り飛ばし、 

 ミーヨ・ザ・キッドは消えたのさ。

 

 レディ・金魚を助けなきゃ。

 ミーヨ・ザ・キッドは駆け回る。

 うっと殴られ、のびの助

 気がついたらば、ドラネコ一味の隠れ家に。

 

 なんと!


 そこには

 レディ・金魚とダックス知事も!

 も一つおまけにハスキー刑事。

 みんなツルツルつるんでた!


 ミーヨを突き出すダックス知事。

 100万ドルはダックス知事に。

 ハスキー刑事がレディ・金魚を

 ものの見事に救出だ!

 

 ブタ箱入ったミーヨ・ザ・キッド

 そこはニャンコの離れ技

 格子をスリスリすり抜けて、

 ものの見事に脱獄だ!


 来るよ来る来る100万ドルが。

 保安官事務所にやって来る。

 悠々やってきたダックス知事。

 バッチリ正装蝶ネクタイ。

 来たよ来た来たミーヨ・ザ・キッド

 現金輸送車ぶっ飛ばし、

 100万ドルはもういない。


 降るよ降る降る100万ドルが。

 街の夜空に降りそそぐ。

 みんなワイワイ集まって、

 天晴れミーヨが大盤振る舞い。


 星降る夜空を背に広げ、

 ミーヨ・ザ・キッドは去って行く。

 あの街この街、どの街へ?

 それは誰にもわからない。

 ミーヨ・ザ・キッドは仮の姿

 その正体は、

 『ネズミ小僧』であった───



                  ─── END ───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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