彼女を誘う

『え!? いいの!?』

「うん。お姉ちゃんが誘え、って」


 通話でカリンさんにホテルの誘いをした。

 家族旅行に連れて行く、というのは気まずいところがあるかな、と思ったけど、カリンさんは声の感じを聞くに、ウキウキとした様子だ。


『お母さんは、一緒?』

「ううん。とお姉ちゃんとボクだけ」

『ふ、ふ~ん』


 カリンさんは、何か言いたげだった。


『ラン様も、来るんだ……』

「嫌?」

『嫌ではないけど。あの人、……ん、あー、ダメだ。あの人のこと考えると、股が疼くっていうか。変な感じ』


 安城さん直々にお仕置きを食らった事があるのだった。

 その時のことを思い出している風だ。


『でも、うん。分かった。行く』

「お姉ちゃんに伝えておくね」


 通話を切る。

 後ろを振り向くと、お姉ちゃんがにっこりと笑って立っていた。

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