お姉ちゃんが見たもの

 まどろみの中で、お姉ちゃん達が話していた。


「安城。やっぱり、あいつ黒ね」

「不自然に転ぶ生徒がいましたね」

「靴ひも。靴ベラ。あとは、ヌルヌルするとか。泣いてる子がいたわ」

「……赤色以外、ですね」


 寝返りを打ち、ボクは大きな胸にしがみ付く。

 すると、後頭部を撫でられ、「よしよし」と甘やかしてくれた。


「監視していたけど、何回か姿を消してるのよね。あとあり得るのは、体育祭が始まる直前かしら」

「誰もいない時、ですか」

「……予想以上ね」


 ぎゅ、と抱きしめられ、心地の良い温もりが伝わってきた。


「レンは絶対に渡さないわ」

「ランも協力しますよ。悪い虫は、払わないといけませんので」


 そして、眠りについた。

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