　数学の授業を受けていると、校庭にお姉ちゃんの姿を見かけた。

　体育の授業があったのか。

　体操着姿のお姉ちゃんと、他の先輩たちの姿が見える。

　三人くらいで仲良く話をしていて、笑い合っていた。

　楽しそうだなぁ。

　他の人に対しては、あんな笑顔で笑うのに、ボクにはいつも意地悪だ。

　先生の声に耳を傾けつつ、ボクは思った。

　どうして、お姉ちゃんはボクに意地悪なんだろう。

　嫌いなんだろうか。

　だとしたら、ボクを養子に迎え入れようなんて、おじさんに提案しないはずだ。

　笑っているお姉ちゃんを見ていると、少しだけ寂しい気分になってしまう。

　住む世界が違う。

　今はかろうじて、同じ屋根の下に住んでいて、接点がある。

　例え、意地悪をされる、なんて歪な関係でも、ボクに関わる人間がいる。

　そこから少し先の未来を想像すると、ボクの隣には誰がいるのか。

　考えただけで、怖くなってきた。

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