092 曙光は熟柿色

    ◆2023年9月11日

めざめたのはあけぼのの光に射られた5時10分過ぎのこと。

ベッド脇の窓に迫る木立を黒々と影絵にして、東の空が燃えだしてました。

それも上空部の水色と太い斜め縞をなして。まぶしく色鮮やかさを増しながら。


あわてて枕元のスマホを鷲掴わしづかみに起き、窓を網戸ごと開けて連写。

ボロロプレハブの四方の窓は通年カーテンを閉めてないので、気づけた幸運です。


夜明けが好きなのにネボスケなので、正に目に綾な僥倖ぎょうこうとなりました。




けれど、つかのまのこのスペクタクルを撮れど、曙の鮮烈さにはいつも及ばない。

決して夜明けの感動をとらえきれない。高額で高感度なカメラならそんなことはないのかしれないけど。


それで少しでも今さっきの色彩のオーケストラに近づけるよう、連写した中の一枚を懲りず画像加工しだすのね。毎度。

そしたら今朝の暁は、今年初めて食べた柿の色だったと気づいた。



1週間前に拾ってきた落ち柿、窓辺で日に当ててたらぷよぷよに熟したんです。

で昨日食べたらやたら水っぽかったけど、かすかな甘みは感じられた。


そのほんのわずかな甘みって、私には決してとらえようのない曙光しょこうに照らされた日々にかもされたもの────。


──だからそのとらえきれないはずだった曙の彩りばかりか、つかのまの刻をさえ、

食い意地汚い婆さん、胃の腑におさめ消化しきって今朝を迎えられてたことになる。




幸せ者んだなあ…私。いろいろあれこれあれど、とても大事な何かを実はしっかりもう得てるんだって気までしちゃった・・・。

だもんで結局、満ちたりた心地よさに今朝は再び眠りこみ、ちゃんと起きたのは正午近くでありました。






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