070 ボロロプレハブ傾いて
◆2023年7月24日
私が二階で暮らす錆と苔まみれの鉄骨ボロロプレハブは、外付けの横軸なんざボロボロスカスカ穴だらけ。一階だって建具ごと骨抜き過多に傾いてるから、どこの隙間からも虫や草木、ハタネズミまで侵入し放題。当然、隙間風&雨漏りにもね。
けれど、まるで山頂ホームレスと苦笑するしかない金欠病者には、これでも御殿。
それでボロボロでも愛着があり、語呂がいいボロロプレハブと名づけてました。
大風でいつ倒壊するかハラハラな建物と、なおのこと愛しんでね(ただし、ぐうたら婆さんゆえ手入れも掃除もしません)。
そんな私に質問がありました。ボロロプレハブはあなたの造語かと。
んで、うなずこうとしたところで、ふっと昭和歌謡「石狩挽歌」が浮かび、
オタモイ岬のにしん御殿も今じゃさびれてオンボロロ オンボロロ♪
その一節から私、ボロロプレハブにしたのか!
気づいたんです、一気に歌の情景がかもす心象に日本海の一漁村で育った自分の境涯がシンクロして。
太平洋とはいえ海が望める荒れ山で、昨日も笠戸丸ならぬ沖のタンカーとにしん曇りならぬ空にかすむ島影を見つめました。
今日なら、温暖地のうだる暑さにあえぐ胸底にまだ、雪しまく日本海の波音に夜更けめざめてしまう少女を潜めてたことにもね。
長いこと忘れてたこの懐メロが、人生を突き放したように歌う石原ミレイの姐御なやさぐれ感ごと、たちまち思い出されたんでした。
そしてその姿をもしかして私…、大人になるためのモデルイメージとして無意識に模倣してきたかも、とも思い至った。
が、本当にそうだったのかとYouTubeへ検討アクセスしたところ、
憂歌団-石狩挽歌 のブルースバージョンにこそ惹かれ、
継いで木村充輝20180429-どっぷり昭和町てなライヴにも聴き惚れちゃい、
若かった彼と老いてさらなる人間臭さこめた歌いぶり比べてたら、自分の方のはなんでもよくなっちゃった。
所詮、造語さえ自作じゃなかった脳なし骨なし。ただただ人生に流され来た海月。
そうとあらためて自認したら、もう昨日までのことはどーでもえーじゃないかって。
明日からの自分のありようを考えるだけでいいやって。
となるとですよ、くたばりかけ婆さんとはいえ、いつ倒壊してもおかしくないボロロプレハブにいつまで住めるのか──ということこそ、真剣に考えだすべきよね。
エーッ! 海月にゃ脳味噌ないって、さっき言ったばっかしなのに~!!
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