036 ビワの実食べた口元は

    ◆2023年5月31日

去年は大豊作だったビワ。ところが、1個も採らないうちにカラスめに食べつくされました。届かないだけ木が育ったのであきらめちゃいたものの、くやしかったなあ。だって、おやつ代にも事欠いて暮らしてるんですよ。

それで今年は、なんとか梯子はしごで届くのだけ採ったんです。

足悪で避けてた作業でしたが、食い意地を抑えきれなかった。


これまで施肥したことがないから小粒な実でしたが、数年ぶりだったからか本当においしかった。その最後の房を、今夜いただきます。



甲斐犬がいたころは朝からふたりして、樹下に落とした実をむさぼったものでした。私なんか朝飯代わりとはいえ、一気に30個以上たらげたりした。

開拓が一進一退の山頂暮らしには、めったにない山の恵み、思い出でした。



けれど幹肌までデコボコに喰いかじるシカのため、来年はもう梯子でも収穫は無理。そして梢高くでたわわな実は、一粒残らずカラスにやられてしまいます。


こ~なりゃ枯らそうが、思いきりバッサリ低く芯止めしてやるか! どうせ私が口にできないんなら、山の奴らにだけ良い思いさせてたまるか!!

…なんて腹立ちまぎれを考えはしても、あいつらを憎みきれるほどの気概すらなくなった、つくづくヘタレな婆さんとなりました。

それでもぐちぐち愚痴で尖らせた口元はというと、キュッと穴をすぼめたビワのお尻に、だんだんと似てまいりました。






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