026 枯草の海原に眠りこむ

  ◆2023年3月13日

フクロウの声にめざめたのに、もう夜は明けてました。

足のだるさ、腰の痛みを感じながらでした。

放置畑再興に防獣用のフェンスを仮設しだしたせいです。


といって作業はちっともはかどってません。すぐにくたびれ、休んでばかりだから。

春は神経バランスの乱れで疲れやすいそうで、しかも花粉症婆さんなら尚のこと。常になんとなしだるいというか……。


それで一昨日なんか物騒にも、猪のヌタ場近くだと気にしながらも、つい地面で眠りこんだのでした。




あの日は汗が目にしみてばかりなバカ陽気で、山頂側の名知らず桜もすっかり散ってました。元の畑がチガヤの枯原と化してる惨状でなければ、初夏と思えたくらいに。

だから急な暑さもこたえたらしく、何度も腰を下ろしてた枯草のやわらぎに横たわりたくなってしまったんですね。

のどかな海原へとなびいてる一面のチガヤの葉波──。

 たちまち寝入ったことでした。




その折のやすらかなめざめ、全身があたたかな光にほぐれてた心地よさを、この二日思い返してばかりいます。

昨日はまた疲れて。今日は雨で働かずすんでるのに。



明日は気温は低めながら晴れるようです。のらくらでも、囲い作業は続けねば。


物騒でもある眠りにまたおちいってはならないけれど、あの滔々とうとうと広がる海原にこそ眠りたゆたってたような至福の時に……、度々めざめたいものだと願うようになりました。






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