024 山畑開墾の春景色
◆2023年2月26日
走り根植物のすさまじい生命力ったら!
反して体力不足な私は、開墾でヘットヘト。
作業に出るのを朝からぐずり、昼近くようやく働きだしてさえ、しょっちゅう休んでばかりです。日に畳1枚分しか切り開けません。
茨の根は1mも走ります。そこで育つとまた四方へ根を広げ、直根は深く潜るしで、本当に厄介です。細根も見逃さず除けたいのですが、先っちょの細根はちぎれて土中に残る。
これにからまり育つ竹の根もツルハシでガシガシほじくっては叩っ伐るのですが、やはり退治はしきれません。
そのうち、額からつたう汗が目にしみます。
嘆息しながら地面へ尻を落としてしまいます。
タオルで顔中拭きながら、下段の春景色をしばらくぼうと見下ろしちまいます。
たしかに海月山は、もう春。
今年の到来はつくづく早い。
小梅はすでに花が終わりかけ、白加賀も満開を過ぎようとしている。
海側の紅梅はまだ目につくけれど、あれでやっぱり散り急いでいるらしい。
十月桜のわずかな咲きようは、去年からの名残りか。それとも春再びの開花か。
昨春は三月半ばから咲きだした常磐万作る《ときわまんさく》も、すでにほころんだ枝がある──。
放置してた畑の再開墾に精を使いはたし、どれもじっくり眺めに行ける気力なんてないヘタレ婆さんな私。
けども、こんなざまでも二月が尽きるのが嬉しくもある。
だって、なんとか間に合ったんだもの。坂下の川津桜が満開なうちに、とうとうここへ戻れたんだもの。こうして数年ぶりの視界から、せっかちな今春を眺め下ろせているなんてねえ……。
そうやってしばらくは海月山の春を見渡してから、午後は山頂側の雛段をにらみました。防獣フェンスをどう仮設したら、下りてくる鹿や猪に倒されずにすむか。それには斜面をすっかり覆ってたチガヤの勢力も知っておかねばなりません。
そこで試しにと法面下側を崩しだして、驚きました。楊枝ほどの太さの白根がみっしり、植えたばかりのスナップエンドウの畝まで迫ってます! これも40cmはたやすく走る宿根で、根絶不能タイプ!!
三月までもう2日しかないのに、課題だけはどんどん増えるばかり────。
これじゃ、出芽しだしたジャガ芋の畝分ごと囲えるのは、いつのこと?
三月を目前にした海月山。うららかな陽光にぬくもる一進一退ぶりにあきれ、また婆さんは地べたへ尻を落とすことになりました。
今さらじたばたしたところでと、沖の島影が薄青い海ののどかさに、気がすむまで眺めるハメに……、なったのではありました。
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