エピソード7

前回までのあらすじ。

チュートリアルの一日目が終わった。街づくりスタート。

以上、では本編へ。


日が差し込んでいる。光が顔に当たるとあなたは目が覚めた。

―昨日まで長く眠っていたのに、朝になったら起きるってなんか新鮮だな。

あくびをしつつ、体をカプセルから起こす。

目を擦りながら周りを見ると、何と鼻毛マンが放心状態でカプセルの周りで寝ている。

―これは寝ているのか?それとも横になっているのか?

そんな鼻毛マンを尻目にオペ子の方へ行く。

「おはよう、オペ子。」

すぐに返事がないが、少し遅れて柱に光が点いてオペ子が表示された。

「おはようなの。思ったより起きるの早いの。」

オペ子も映像で目を擦っている。

―人間みたいな仕草をするんだな。

「明るいと目が覚めちゃうんだよ。」

「ふむ、健康的なの。まあ、顔でも洗ってご飯にするの。」

「おう。」

あなたは食糧庫の奥にある洗面所に向かった。

トイレもあったので大を済ませ、洗面所で顔と歯を洗い、洗面所から出ると食糧庫で食べるものを見繕って、部屋に戻り、オペ子のところへ今日のすることを確認しに行った。

「今日からやってもらうことはまず家を建てることなの。どうやって家を建てるか教えるの。まず家を加工部屋で作るの。できたらそこのモニターで操作して建てるの。操作の仕方はまず地図上の所に家を建てる場所を指定して家の向きを決めるの。指定したらロボアームが自動的に建ててくれるから待つの。わかった?」

「おう、わかった。」

「とりあえず、昨日集めた材料で建てられる家は3軒なの。3軒建ててみるの。でも注意することがあるの。それは家からの通り道と日当たりなの。家からの通り道が狭かったり、うまくつながっていなかったりすると、その家は使えないの。あとは日当たりが良くないとその家に住む鼻毛マンの生活が悪くなるの。」

「通り道はなんとなくわかったけど、日当たりってどう考えたらいいんだ?」

「太陽は東から西に沈むの。でどっちかというとこの辺りは日中は南側に寄るの。だから南、東に向くように家を建てるのが正解なの。」

「なるほど。わかった。やってみる。」

あなたはモニターのパネルをいじって家の座標を決めた。

モニターにはこの家の南側に扇状になるように配置されていた。

「いい感じなの。でも家だけではダメなの。食べ物と飲み物がいるの。そのためにまずは食べ物を保管する食糧庫がいるの。あとは飲み物のために井戸を掘るか、川から水路をつなぐかどちらかは必要なの。」

「食糧庫と水の確保か…よくわからんけど食糧庫はいるんだな、でも水はどっちがいいんだ?」

オペ子はモニターに井戸と水路の図を表示させて、ロボアームが棒をもって指し示した。

「井戸のメリットは比較的に天候に左右されないの。でも地下水がないとできないの。あとは井戸は地下から水を取るからゾンビからの対策がしやすいの。川からの水路のメリットは地下水がなくても川があればどこでも作れるの。でも雨が多かったり、逆に雨が降らなかったりすると、水がうまく取れないの。あとは川からゾンビが襲ってくることもあるの。」

「オペ子は質問なんだけど、この辺は地下水はあるのか?」

「地下水はあるの。川もちょっと離れているけどあるの。」

「んーじゃあ、井戸にしようかな。安全な方がいいと思うから。」

「じゃあ、井戸の作り方を教えるの。井戸は石と地下水までの縦穴がいるの。」

こんな感じと言いながら、モニターに作る過程が映し出された。

「大変だけど頑張ってなの。」

「よし、石集めに行ってくる。」

「オペ子はそれまでに家は作っておくの。」

「おう、じゃあ行ってくる。」

あなたは防御服に着替えて、鼻毛マンを引き連れて外へ向かった。

相変わらずダストシュートから外に出るのは慣れないが、着地は問題なくできた。

井戸作りに必要な石集めに向かうため、先日向かった場所へ行く。

昨日掘った穴は残っているが、不思議なことに昨日倒したゾンビの死体は残っていない。

―生き返った?そんなわけないか…でも何処へ?

周りを見渡したり、レーダーを見るが見当たらなかった。

あなたは不思議に感じたが、石集めを始めるために鼻毛マン達を集めた。

「昨日教えた通り、ピッケルで穴を掘っていくぞ。石にたどり着いたら石を取る。全員が集めたら、家に戻るぞ。いいか。」

鼻毛マンたちも黙々と作業を始めた。

―今のうちにゾンビが近くにいないか探しておくか。

あなたは鼻毛マンが見える範囲で円状に周りをぐるぐる移動してゾンビがいないか探してみた。かなり遠くにはちらほら見えるが狩りに行くほど近くはないため、安全が確保できていた。

戻る頃には鼻毛マン達は全員石を持って待機していた。

そのまま鼻毛マンを引き連れて家に戻った。

戻るとオペ子に石を回収されて、そのまま井戸を掘るように言われた。

鼻毛マンを伴って、街の中心になる場所に穴を掘り始めた。

掘った土や石を鼻毛マンに運ばせてどんどん掘っていくが、かなり固い場所に行き当たった。

「オペ子、固いんだがどうしたらいい?」

「じゃあ、ピッケルの石で強化したものを鼻毛マンに持って行かせるからそれを使って。」

しばらくすると鼻毛マンが石製のピッケルを持ってきた。

石製のピッケルでは思ったよりも簡単に掘ることができ、湿った土が出始めてきた。

「オペ子、どれくらい掘ればいいんだ。」

「水が染み出してきて下が水で浸るくらいまではずっと掘るの。」

「でもそろそろ出られないんだが。」

「じゃあ、先に作った釣瓶落としを設置するの。今回はオペ子が設置するから待つの。」

あなたは言われるまま穴を掘り続けていると、上でロボアームがが何か設置しているのが見える。

設置が終わると、桶が付いた釣瓶落としが降りてきた。

「鼻毛マンには釣瓶落としの使い方を教えておくから、どんどん掘るの。」

あなたはどんどん掘り進んでいく。

湿った土は増えてくるが、水が浸み出してくる様子はない。

まだまだ掘り進めるが水は出ない。かなりの時間が経ったがまだまだ水は出ない。

「オペ子、まだ水は出ないのか。」

「どんどん掘るの。でももうちょっとで夜だからそろそろ終わりなの。桶に乗って紐に掴まるの。」

そのまま釣瓶落としに引きずり上げられて外に出ることができた。

外はもう夕日が沈み始めていた。

「よし、鼻毛マン急いで帰るぞ。」

あなたは鼻毛マンを引き連れて家に走って帰った。


かくして街づくりが徐々に始まったのであった。

次に続く。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る