エピソード6

前回までのあらすじ。

鼻毛マンは優秀!石はピッケルで取る。家の材料は揃った。

あなたは鼻毛マンが自律的に材料集めができるように教育することとなった。

では本編へ。


家の外に鼻毛マンを連れて出た。

まずは鼻毛マンを連れて木がありそうな所へ向かう。

手ごろなサイズの木が生い茂った場所があった。

「よし、鼻毛マンたち。よく聞け。木を拾って前回教えたピッケルを作れ。」

鼻毛マンたちは手ごろなサイズの木の枝を拾い、ピッケルを作った。

―すごいな。忘れていないのか。

鼻毛マンの優秀さに脱帽しつつ、できたピッケルを受け取る。

「できたようだな。次は石取りをする。見てろ。こうやるんだ。わかったか。やってみろ。」

そういうと鼻毛マンはピッケルで石を掘り始めた。

「いいじゃんいいじゃん。これで僕も大変な木や石集めから解放されるのか。」

すると不意にモニターが映り、オペ子がヤンキの画像で現れてる。

「おうおう、オペ子様のお通りなの~。おい、兄ちゃん。まさかサボれるなんて思っちゃいないよなの?働かざること食うべからずなの。鼻毛マンとあなたの地位が逆転してもいいの?」

「い~…それはご勘弁ください。」

「じゃあ、いいこと教えるの。そろそろ夜になるの。夜になるとゾンビも増えてくるの。木や石集めたなら早めに戻るの。いい?」

「わ、わかった。もどるよ。」

「気を付けてなの。夜は本当に危ないの…。」

ブツっとモニターと音声は切れた。

―仕方ない。もうちょっとやりたいけど、オペ子の言い方は重大そうだし、戻ろう。

「よし、鼻毛マン。今集めた分を持って家に帰るぞ。」

指示を聞くと、鼻毛マンたちは石や木を持って家に戻っていく。

―全員戻っていったな。よし、僕も戻るか…。ん?

レーダーに反応が出た。しかも1つではなく、5つもある。しかもこっちに向かってくる。

レーダーに映った方向を見ると確かにそれらしきゾンビがこっちに向かってくる。

―やばい!?今まで気づく前に向かってくるなんてなかったぞ…。なんでこいつ…。考えている暇はない。鼻毛マンに急いで戻らせよう。

「鼻毛マン、急いで戻れ!」

鼻毛マンたちは小走りで家の方角へ向かう。

―僕はあいつらを倒すだけだ。まずは一番端にいる少し前に出ているやつから狙う。

あなたは弓矢を番えて一番突出したゾンビを狙った。

矢は頭に当たり、頭は胴から下にボトっと落ちた。

二体目を狙おうとしたが、思ったよりも近くに来ていたため、番えずに二体目には矢を頭めがけて突き刺した。

二体目の頭も突き刺さった勢いでグシャっと潰れていった。

しかし、残りはもうすぐ近くにいた。

ゾンビたちがあなたを掴んでくる。

―いいいいい!やばい。やばい。やばい!!

必死で振り払うが今度は噛みつこうとしてくる。

―逃げるしかない。

あなたは弓でゾンビたちを薙ぎ払うと弓矢を捨てて槍だけ持って逃げた。

しかし、ゾンビたちはどんどん追ってくる。今までのゾンビよりも足も速い。

あなたは一番足の遅い鼻毛マンに追いついた。

この鼻毛マンは他の鼻毛マンよりも大きな石も抱えているからだ。

―このまま逃げれば僕は助かる。でもこの鼻毛マンはやられる。やられた鼻毛マンはゾンビになる。見捨てれば僕は助かるけど…。いや、見捨てない。そのために僕はここにいる。

「うりゃああああああああああ!!!!!」

あなたは持てる力を込めて槍でゾンビを突いた。

一体は突かれた槍の威力で頭が捥げた。

残りの二体は仲間がやられたことなど気にせず襲ってくる。そのままゾンビに押し倒されてしまう。

「くそ~くらえ!」

もう一度槍を薙ぎ払うと薙ぎ払った槍の先端がゾンビの首に当たり、首が取れた。

しかし、もう一体のゾンビはあなたの上に馬乗りになった。

ゾンビの顔がパネル越しに近づいてくる。

すさまじい大きさに口を広げて蛆や黝ずみが見える歯で噛みつこうとしてくる。

咄嗟であった。「鼻毛マン!ゾンビに石を落とせ!」

グシャ。

その場にいた鼻毛マンは石をゾンビに投げた。ゾンビの頭は投げられた石と防御服のパネルとでサンドイッチになり、潰れたのであった。

「はあはあはあ…助かった…。鼻毛マン…助かったよ。家に戻るぞ。」

鼻毛マンは投げた石を拾うとすたすたと歩いて行った。

心なしか足取りが軽く見えたのは不思議であった。


モニター越しでそれを見ていたオペ子はほっと胸を撫でおろした。

―危なかった。防御服の防御力は高いと言ってもあの状況では本当に危なかった。人類の希望が失われる寸前であった。気を付けなければ…でも鼻毛マンが攻撃に転じることができたことは収穫であった。自律的な行動は制限があるが、指示があれば攻撃になることはわかった。ならば、次の助言はこうするか…。


あなたは家に戻ってきた。

ゾンビの体液でパネルが汚れた状態であった。

―汚いな…どうしよう。

防御服を脱ぐとオペ子のもとへ向かった。

「オペ子、夜ってやばいな。」

「い、いや。あなたは頑張ったの。逆にオペ子失敗。夜に近いのに外に出したのは失敗なの。ごめんなの…。と、とりあえず鼻毛マンの教育は完璧なの。とりあえずあなたは今日はお風呂に入って寝るの。いい?」

「わ、わかったよ。でもあの防御服汚れちゃったんだけど。」

「そんなのはいいの。とにかくお風呂に入ってくるの!お風呂は武器庫の奥の部屋なの。さあいったいった。」

あなたは言われるようにお風呂に向かった。

お風呂にはお湯が入っており、入ると疲れが取れるような気がした。

「ふう、疲れた…でもなんとかなったな。これから毎日こうなのか…というかさっきのオペ子変だったな…。いつもの雰囲気じゃなかった。むむむ…まあいいか。」

あなたは能天気に風呂に浸かっていった。

風呂から出ると新しい服が置いてあった。鼻毛マンに運ばせたようだ。

部屋に戻るとオペ子から早く寝るように急かされたので、寝ることにした。

明日は家を建てることになるそうだ。

―楽しみだ。


かくして鼻毛マン教育は思わぬ収穫をすることができた。

しかし、夜のゾンビの恐ろしさを痛感することにもなった。

明日は家を建てて街づくりの第一歩が始まる。どうなっていくか。

次回に続く。

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