親殺しのパラドックス
ボクが死んだのはコロナ禍の2022年11月で、タコさんが向かったのは1999年の7月。
「……ボクの末路、確認できなくない?」
送り出す前に気付けよ。
ぬああああーと頭を抱えていたら「アンゴルモアを信じましょう」と大佐から肩を叩かれた。
これは〜そうじゃなくて〜ボクが〜1999年じゃあなくて2022年11月に侵略しますって〜ノストラダムス師に言っておけばよかったなって〜。
世紀末のほうがそれっぽいかなってカッコ付けたのが悪い。
戻ってきてタコさん。
作戦変更しよう。
タ・コ・さーん!
「待てよ」
タコさんの侵略が成功していたら、今ここにいるボクはどうなるんだろう?
一般市民たるボクの預かり知らぬところで侵略が進んでいた、ってとこ?
ボクらの侵略、人類を滅亡させる方向性から人類を生かしつつうまいこと甘い蜜だけをすすっていく作戦に変更させたから。
別にボクは人類を滅亡させようとは今のところ思ってなくてー。
タコさんが無理そうって判断したらその時に作戦を変更して……7の月終わっちゃう……。
大佐は断固反対してきた。武力でゴリ押ししたかったらしい。あれだけ兵器を所持していたら自慢したいよね。世界各国の基地を破壊して終わりにできる。
でも参謀とタコさんがボクに賛成してくれたおかげで友好路線を貫けた。
普通の人たちが知らないだけで、地球上の人間の一部はエイリアンに成り代わっている。
――そういう映画を観たことある。
金曜ロードショーか何かで。タイトルを思い出せないが、ハリウッド映画。
ボクの初恋の文ちゃんも、クラスのマドンナの伊代さんも、本当はタコさんみたいな姿だったとしたら。
世界はタコさんまみれだけど、その事実を知っているのは一部だけ。
「おおこわ」
「?」
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