人外魔境
いろんな野菜と肉をごった煮にしたようなものをタコさんの六本の腕――残りの二本は足のようにその身体を支えている――で食べさせられて、あとは「寝ろ!」と言わんばかりに消灯したので仕方なく寝た。
味は、……まあまあかな。素材の味がしっかり出ている。調味料がほしい。
寝て起きたら二日目が始まっている。
まだ続けるのかこのドッキリ。
玉座のそばにはタコさんが侍っていて、寝る前に食べたものと大して見た目の変わらない食べ物が既に用意されていた。
「夕飯とおなじやないかい!」
ボクはツッコんだ。
カンペは出ていないが、こんなのツッコメと言われているようなもんやないか!
『やはり昨日からおかしい。何があったのかを、我には話してください』
「君はなんだね! 着ぐるみを脱いで、正体をあらわしたまえよ!」
タコさんのぬめぬめとした胴体をグイグイ引っ張ってみたり、後で怒られるのは百も承知でパンチしてみたりした。
中に入っているスタッフの悲鳴は聞こえてこない。
代わりに「き、き、きみ……?」と意味のありそうな音の並びが出てくる。
「キミはキミだよ。そろそろ『ドッキリ大成功』って出てきてくれない?」
「ない?」
話の通じるスタッフはおらんのか。
ボクは立ち上がり、自室――うーん、なんていうか、王族の王室みたいな? それっぽく豪華絢爛な――の壁を全力で叩いたり、体当たりしてみたりする。
セットとして組まれているものなら倒れるはず。
『大王様が暴れていらっしゃる! 大佐ー! 参謀ー! 技師長ー!』
うんともすんとも言わない。
タコさんは慌てふためいた様子で何やら叫んでから、部屋の外に出て行ってしまった。
窓の外には、昔のウィンドウズの壁紙のような草原が広がっている。
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