第3話 浮上のヒント
週明け月曜日の生徒たちの足取りは妙に重たい。辛い平日から解放される金曜日の放課後とはまるで真逆である。
だが、例外も存在する。――例えば、彼女。
「おはよ、朔翔」
「あぁ。おはよう」
今日も今日とて朝練上がりの咲楽と玄関で遭遇した。
彼女のように土日ともに一日中部活の生徒にとってみれば、休日と平日に大差はないだろう。むしろ疲労度からすれば、練習試合などもあることから休日の方が大変なはず。休日が休日になってないようにすら思う。
しかし、咲楽はいつ会っても疲弊している様子を見せない。それが例え大会の時期であっても、考査期間であっても、またその両方が重なる夏頃であっても。品行方正で真面目な桜美咲楽という人間性は、いかなる時も決して崩れることがない。
今もまた、遭遇した友達と顔を合わせると、笑顔を振りまきながら挨拶を交わす。
「そういえばそろそろ蔦屋祭だよね。来週末だっけ?」
咲楽はそう問いながら、靴を履き替え終わるのを待っていた俺の方へと歩いてくる。それに合わせ、横並びになって教室へと向かう。
「だな。今年も色々やるのか?」
「そのつもりだよ。もういくつか決まってる」
学業成績、部活動成績はもちろんのこと、咲楽は大体のことを実に器用にこなす。おまけに容姿端麗というまさに完璧超人であるため、様々な催し事が開催される蔦屋祭というのはまさに彼女のためにあると言ってもいい。
昨年はクラスの出し物で劇の主演を務め、ミスコンでは一年生ながら準優勝、将棋部開催の将棋大会で部長相手に短時間で勝利し、卓球部開催のエキシビションマッチで県優勝の部員と互角にやり合うなど、咲楽の噂は行く先々で耳にした。
「今年も咲楽の名前は轟きそうだな。いや、『完全無欠の準プリンセス』という称号が」
「朔翔~?」
「いや、ごめんごめん」
咲楽はむっとした表情で俺を睨みつける。
彼女の独擅場となった昨年の蔦屋祭にて、誰が言い出したか分からないこの異名だが、咲楽は非常に気に食わなかったらしい。
まぁ俺が咲楽でも嫌だけどな、語呂悪いし。それに何より――。
「大体矛盾してるよね、完全無欠の準プリンセスって」
「付けたやつもそうだけど、広めたやつもどうかと思うぞ……」
完全無欠なのに準プリンセス――準優勝ということは少なくとも敗れているのである。これを完全無欠と言っていいのだろうかという違和感がどうも気持ち悪い。
だが、言いたいことは分からないでもない。
確かに彼女は文武のみならず、秀麗さに器用さまで持ち合わせている。彼女との付き合いはそこそこ長いが、俺も彼女の欠点らしい欠点を見つけたことがなく、まさに完全無欠と呼ぶには相応しいのかもしれない。
「まぁ、今年プリンスになればその矛盾も解消されて、晴れて『完全無欠のプリンセス』になれるわけだけどな」
「私はその名前無くなってくれるのが一番嬉しいんだけどね……」
「……だろうな」
単なるニックネームとは違って愛嬌もない上、やたらとプレッシャーものしかかる。
『レジェンド』とか『神様』とか『皇帝』とか、そんな異名の付けられる各業界のエキスパートたちの苦労は本当に計り知れない。
「ところで、『必殺遊び人』は今年も色々回るの?」
「誰だよ、その『必殺遊び人』って。語呂はいいけど」
「e-sports部部長との直接対決で、見事勝利を収めた廃人さんのこと」
「……咲楽ってそんな毒舌だっけ?」
「仕返しだよ、仕返し」
咲楽はしてやったりといった表情で笑みを溢す。
因みに、咲楽の言ったことは紛れもない事実だ。
昨年の蔦屋祭、俺と泰史はe-sports部が開催したイベントに参加した。内容はe-sports部の部員と比較的シンプルな格闘ゲームで対決をするというもの。予めそのゲーム内容は知らされていたため、俺と泰史は無双するべくe-sports部員並みの練習を積んで当日を迎えていた。そして当日、部で一番強いという部長と対戦することになったのだが、俺と泰史はそれぞれ勝利を収めたのであった。
因みに、俺は辛勝で接戦と言うに相応しかったが、泰史に至っては部長の面目が潰れるまでの滅多打ちであった。結果、その部長はそれ以降そのゲームをやらなくなってしまったと噂で聞いた。何だか申し訳ない気持ちになったので、今年も開催されるであろう同イベントには、今のところ参加しないつもりだ。
「大体な、その異名が相応しいのは泰史の方だろ」
「ううん。小紫の異名は――」
「いや言わなくていい。何となく方向性の予想がつく」
咲楽の口から出るに相応しくない異名が出かねないので、さすがに自重させた。それこそ、俺が想定しているよりも何倍もやばい、倫理的に危ういものだったに違いない……。
そんな話をしている内にF組の教室に辿り着いた。
比較的遅い時間ということもあり、教室内にはほとんどの生徒が既に来ていて、俺たち同様談笑している様子が外から伺える。俺たちも教室の中に入ると、それぞれの席の方へと向かった。
廊下側最前列の自席に腰を下ろし、一限に向けて教科書や筆記用具の準備に入る。
「e-sports部のイベント行かないとなると、今年はどうしようかな……」
そんなことを考えながら、俺は週明け一発目の授業開始を待ち呆けるのであった。
* * *
四限が終わると、教室内に弛緩した空気が流れ始める。
それを合図に、ある人は早々に弁当をその場で広げ、ある人は弁当を持って教室の外へ、ある人は食べるより先に談笑のために口が開く。俺はそんな流れを呑気に見ながら、ゆっくりと立ち上がる。そして、昼食のパンを買いに購買へと向かった。
なぜ、マイペースに人の様子を観察してから席を立ったのか。それは案外単純な話だ。
いくら購買と言えどもパンの在庫の量が限られているため、カレーパンやメロンパンといった人気のものを買うためにはその争奪戦を制さなければならない。故に、四限終了してすぐの購買というのは、バーゲンセールでもやっているのかという押し合い圧し合いが発生するのだ。俺はそれを避けるため、こうして時間をずらして大体落ち着くであろうタイミングを狙って向かっている。
嬉しそうに人気パンを片手に教室に戻っていく生徒たちとすれ違いながら、東側一階にある購買に辿り着くと、案の定人の数は落ち着いていた。コンビニを縮小したような内装をしていて、俺は目的のパン類が置かれた商品棚の前に立つ。
悪天候で物流が滞った時、もしくは深夜帯かのようなガランとした商品棚。当然、あの争奪戦に参加して惨敗を喫した場合には、何も食べないわけにもいかないので他の商品を手に取っていくことになる。つまりあの混雑が収まったころには、大半のパンが品切れとなってしまうのである。
だが、それは承知の上であり予想の範疇である。目の前にあるこのパン――この商品棚の中で最も不人気なノーマルコッペパンさえあればそれでいいのだ。俺はそっとそのパンへと手を伸ばした。
「あっ、すいません」
すると、こつんと誰かの手とぶつかり、すぐさま謝る声が隣から聞かれた。
「いえ、お先にどうぞ」
不人気故に在庫はかなりある。別に慌てているわけでもないので、少し退いてその人に先を譲った。
しかし、お隣の人が伸ばしいていた手は止まったままだった。
「……酢漿さん?」
そう名前を呼ばれて初めて、そのお隣さんの顔を見る。キョトンとした表情で俺の顔を見つめていた。
「桐花?」
おそらく俺も、今の桐花と同じような表情をしていることだろう。予想外の人と予想外の場所で出くわしたことに正直驚いた。
「いつも買いに来るのか?」
「いえ。普段は弁当を持参しているのですが、今日は忘れてしまって。……あの、酢漿さん」
「うん?」
桐花が改まって自分の名前を呼ぶので、俺は軽く首を傾げた。
「実は、お話したいことがあるんです」
桐花がこうして自分から何かを言い出すことは今回が初めてだ。とても珍しいなと思いつつ、その内容とは何かが気になった。
だが、ここは購買の中。すぐに済むような話ならわざわざこんな切り出し方はしないだろうし、場所は変えた方がいいだろう。
「分かった。丁度昼時だし、一緒に食べながら聞くよ」
「ありがとうございます」
俺たちはそれぞれで買い物を済ませると、ロの字型の校舎中心にある中庭へと向かった。
蔦屋高校の中庭は随分広く、その中央には噴水つきの立派な水槽がある。中を泳ぐ色鮮やかな錦鯉は、この学校の優雅さを象徴する存在であり、彩りと癒しをもたらしてくれる。その水槽を囲むようにして置かれたベンチのうちの一つに横並びで腰掛けると、俺たちは先ほど買ったコッペパンを口にする。
当たり前だが、コッペパンはいつも通りの味。純粋な小麦の香りと、パン本来のフワッとした口当たり。付属するパキッと折って出す苺ジャム&マーガリンをつけて食べるのだが、偶にはブルーベリーとかマーマレードとかピーナッツバターとか別の味のものに変えてくれると言うことないんだけどなぁ。
「それで、話って?」
パンを半分ほど食べ進めたところで、先ほど桐花が言っていたことを切り出す。
「はい。お話……と言いますか、一つ酢漿さんにお願いしたいことがあるんです」
「うん。そのお願いって?」
問うと、桐花は一度軽く俯いた後、再び俺と目を合わせる。その目には少し、緊張の色があった。
「――もし、酢漿さんがよかったらなのですが……。今後も、私に勉強を教えて頂けませんか?」
「えっ……」
驚き、嬉しさ、そして安堵。それらが入り混じった複雑な心境に、思わずそんな声が出てしまった。
でもそれが、ちょっとした拒絶と捉えられてしまったのかもしれない。
「もしかして嫌、でしたか? もしそうでしたら……」
彼女は露骨に、悲しさと申し訳なさを表情に滲ませた。
「いやいや違う違う。むしろ、こんな俺でよかったら喜んで協力するよ」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
余程嬉しかったのだろうか。感情の起伏が比較的少ない彼女の見せた笑顔は、飛びっきり輝いているように映った。
初めて会ったあの日、桐花に上手く教えられていたのかという点には正直自信がなかった。
やるのと教えるのは別だというのは言い得て妙だ。
答えそのものを直接教えるのではなく、それに繋がるようにヒントを与えて誘導する。時折基礎に立ち返り、点と点を結び付けるようにして理解が深まるように努める。教師の仕事の難しさというのを肌で感じていた。
それでも彼女は、俺の教え方に一定の評価をしてくれたのだ。直接はそう言っていないけれど、次を求めたということがそれを裏付けている。そのことが驚きでもあり、とても嬉しかった。
「あ、そうでした。さっそくで申し訳ないのですが……」
「うん?」
思い出したかのように制服のスカートのポケットから何かを取り出し始める。擦れるクシャっという音からそれが紙だと分かった途端、俺は思わず笑みが零れてしまう。
「ここ、分からなくて……。酢漿さん?」
「ううん。何でもない」
開かれたのは中間考査の問題用紙だった。こういう所にまで持ち歩いているところは、実に彼女らしいなと思う。
そしてまた、あの時下した自分の判断は間違ってなかったと再認識した。
「ペン、持ってる?」
「はい!」
こうして俺たちは青空の下、途中だった昼食はそっちのけで、勉強会が始まったのであった。
* * *
平日最終日、あっという間に金曜日を迎えていた。
あれから、放課後には特別教室での勉強会が恒例となった。
桐花が横で勉強している間、静かに待機しつつ、彼女から教えを乞われたら丁寧に解説する。そんな風に下校時刻まで勉強会をした後は、彼女を家の近くまで送ってから帰途に就く。
俺は既に、この新たな放課後の過ごし方に慣れ始めていた。一年以上続いた日常の感覚は段々と薄れ、次第に窓の外に映る夕焼けの印象が強くなっている。何事も失うのは一瞬だとは言い得て妙である。
だが、決して名残惜しさを感じているわけではない。
二人だけの教室に充溢する静謐さと、適度に張り詰めた空気感。その中で一段と良く聞こえるペンを走らせる音と紙を捲る音はとても心地がいい。そして何より、理解を深めて嬉しそうにする桐花を見るとこちらまで嬉しくなる。そんな過ごし方にはこれまでとは別種の充実感を抱いていた。
特別教室に茜色の明かりが差し始めた放課後。
「悪い、ちょっと席外すな」
「分かりました」
俺は桐花に断りを入れてから席を立ち一度特別教室を離れた。
本来はすぐ近く――A組の隣にトイレがあるのだが、水道点検で放課後立ち入り禁止のため、そのトイレは使えない状態にあった。そのため仕方なく、次点で近い東側校舎のトイレへと足を進める。
ここ数日、桐花の勉強を見ていて、一つ分かったことがある。
それは、良くも悪くも真面目過ぎるということだ。
そのことは初日に気づいた問題の解き方に表れているだけでなく、勉強法そのものにも問題として表れていた。付箋をたくさん張っていたり、マーカーでたくさん線を引いているのは、一見いい勉強法に見えてあまり適当とは言えない。
大切なのは要点を纏めることだ。
そうすることで覚えるものが最小限となり、時間的な効率を上げることにも繋がる。これまでは、彼女がどのように勉強を進めるのかを見極めるために一切その点に触れてこなかったが、そろそろ着手すべきタイミングだろうか。
そんなことを考えながら歩いていると、校舎東側の曲がり角である人とばったりと遭遇する。俺は若干の気まずさから目線を逸らしてしまった。
「酢漿君? 別に、私は怒っていないわよ?」
蘭先生は俺の様子を見て気を遣ったのだろう。あまり気を遣わせるのは嫌なので彼女としっかりと向き合った。そして、改めて問う。
「本当に先生は、これでいいと思ってますか?」
先日、蘭先生は俺のやり方――すなわち桐花に勉強を教えるというやり方を否定した。
成績が芳しくなく、学校の勉強についていくために努力を重ねる桐花。その努力が報われて欲しいと願い、俺は勉強を教えるという決断を下した。そしてここ最近、彼女が成績を上げるのに大切な要素を一つ見つけ、ようやく浮上の兆しが見えてきていた。
だが、教えるという立場において、蘭先生は何枚も上手だ。そんな彼女が、俺でも気づくような点を見逃しているのだろうか。
――否、彼女はおそらくこれも知っているはずだ。
ならば猶更、はっきりと解決方法の見える中で、この手段を取らなかったことには疑問が生じる。だからこそ、改めて問うたのだ。
「えぇ」
蘭先生は静かに瞼を閉じ、どこか悟ったように肯定を口にした。
「……そうですか。それでは僕はこれで」
これ以上、何も話すことなんてない。
自分がなぜその選択を取っているのかについては答えない――知りたいならば自分で見つけ出せと、この前彼女は言っていた。それ以前に、自分のやり方を貫くと決め、その判断に間違いはなかったと確信したばかり。今更それを聞いても意味のないことだ。
俺はその場を離れようと彼女の横を通り過ぎる。
「…………? 気のせい、だよな」
振り返った時にはもう、彼女の背中は遠退いていた。
一瞬視界に映った、ほんの僅かな違和感。
相も変わらず凛とした雰囲気の中に、どこか儚げで寂しさを抱いた。
窓の外にそっと目をやれば、迫り来る夜の面影。
きっとそのせいに違いないと、俺は静かに飲み込んだ。
* * *
その日、いつも通りに帰宅し、自分の部屋で鞄を開けた際のこと。
「……あれ?」
俺は自分の筆記用具の中に、桐花のシャーペンが入っていることに気が付いた。
「間違えて入れたのか……」
いつもいつも桐花の使っているペンを貸してもらうというのはどこか気を遣うところがあるので、近頃は自分の筆記用具を使っていた。ただそれでも、近くに置いてある桐花のペンをつい手にすることがあり、きっと今回はそれが原因になったのだろう。片づける際、誤って自分の筆箱に入れてしまったのである。
白色無地で細い、すぐに折れてしまいそうなこのペンは、まるで持ち主を彷彿とさせた。長く使っているのか、よく見ると細かな傷が無数確認できた。
ちらり、カレンダーを見る。
今日は金曜日――すなわちここから二日間の休日を迎える。シャーペンなので予備があったりするかもしれないが、常に胸ポケットに入れて持ち歩いていることから、今頃探し回っている可能性もあった。
故に俺は、早々にスマホを手に取ると、桐花の元へと一通のメールを送信する。念のため、と連絡先を交換しておいてよかった。
『ごめん。間違えて桐花のシャーペン持ち帰ってしまったんだ。すぐに返したいんだけど、どうしたらいい?』
正直、彼女の返信が早いとは到底思えない。
連絡先を交換した際を除くと、彼女がスマホを手にしたところは見たこともないし、交換した時も覚束ない手で操作していた記憶がある。
となると、メールは悪手だっただろうか。そう思い、直接電話をかけようと思った時に一件の通知が届く。
『そうだったんですね。シャーペンであれば後日、月曜日の勉強会の時でも構いません。替えがあるので』
予想外に早い返信に少し驚きつつも、俺は冷静に返信する。
『いつも使ってるし、使い慣れてるものの方がやっぱりいいだろ?』
『そうかもしれません』
『だからこそ、今すぐ返したいんだ。今から少し出てこられるか?』
俺がそう送信してから、これまでの二通より長い間が流れる。
長考しているのか、もしくは長文か。約五分ほどして返ってきたメッセージは、思いの外短文であった。
『すいません。今から出るのは少し難しいです』
勉強会から帰ってきて現在時刻は七時過ぎ。カーテンの隙間から覗く光は、暗闇を照らす仄かな街灯の光だ。
こんな時間、女の子が一人で不用意に外を出歩くのはあまり良いとは言えない。少し配慮に欠ける部分があったな、と先ほどあった間の意味を推し量り自省する。
『分かった。それじゃあ桐花の家まで行くから、家の場所だけ教えて欲しい』
『今から、ですか?』
『うん。もしかして、何かまずかったりする?』
『いえ。ただ、わざわざ酢漿さんに来てもらうというのは申し訳なくて……』
『気にしなくていいよ。どうせ明日は休みだし』
『本当に申し訳ないです。では、住所をお送りしますね』
そんな彼女の返信の後、彼女の家の正確な住所が送られてくる。俺はそれを元に彼女の家の場所までの道のりを確認すると、彼女に倣って制服の胸ポケットにシャーペンを挿し、外へと向かった。
勉強会後、俺は桐花の家の近くまで送っていくことが多い。今日もそうしていたので、同じ道を僅か数十分ぶりに通っていく。とはいえ、空模様はその時よりも深々とした闇に染まり、家々から洩れる光がより一層強く感じられるように、まるで違う道を通っているような感覚になる。
いや。違うのは時間のせいだけじゃない。
いつもは隣を歩く彼女と、ほぼ一方通行的な会話しながら歩く道。こうしてまじまじと辺りを見渡すことがなかった故に、どこか新鮮さのようなものを感じるのだろう。
そんな風に思っている内に、いつも彼女と別れる場所を通り過ぎていた。そこから徒歩一分ほどして、彼女が送ってきた住所が指し示す家の前へと辿り着いた。
近代風で黒を基調とした建築で、カーポートには白い自動車が一台止まっている。玄関先に掲げられた表札から分かるが、間違いなく桐花の家だ。
人の家を訪ねることは決して珍しいことではない。近頃は行っていないが、泰史の家には何度もお邪魔していた。
だとしたらなぜ、インターホンを鳴らそうとする右腕が少し重たく感じるのだろう。
……もしかして、女子の家を訪れるということに今更恥じらいを感じているというのか? だからと言って、ここまで来ておいて引き返すのか?
自分の中で問答を繰り返した俺は、意を決して大きく息を吐く。そして、小刻みに震える手を制しながらボタンを押し込んだ。
ピンポーン、とお馴染みの呼び出し音が鳴る。それからしばらくして、鍵がかかっていたらしい玄関の扉が、ガチャリと音を立てた。
「こんばんは」
分厚い扉をそっと押し開けながら、その隙間から顔を覗かせたのは制服姿の……。
「桐花……、だよな?」
「そうです、けど。どうかしましたか?」
彼女は俺の反応に対して、困ったように首を傾げる。
「いや、眼鏡姿は初めて見たからさ。目、悪かったんだな」
俺がそう言うと、若干驚いたように眼鏡のフレーム部分を触って確かめる。眼鏡は
身体の一部と表現することもあるように、ついついかけていることを忘れてしまうものなのかもしれない。
「すいません、隠してたつもりはなかったのですが……。普段はコンタクトで、家でだけかけているんです」
「そういうことだったのか」
コンタクトレンズは、カラーコンタクトでもない限りは一見つけているのかどうかの判断がつかない。逆に判断がつくなら、そいつの視力の方が異常まである。
つい見慣れない風貌に驚いてしまったが、俺はここに来た目的を思い出し、改めて話を切り出す。
「悪かったな、こんな遅くに」
「いえ。こちらこそすいません。大切な自分の持ち物なのに確認しなかった上、酢漿さんが気付くまで気付かないなんて……」
申し訳なさそうに俯く彼女の視線の先に映るよう、俺は胸ポケットからシャーペンを取り出して見せる。
けれど、申し訳ないのはむしろこちらの方だ。今の言葉を聞いて、申し訳なさはさらに募っていた。
「大切なもの、だったんだな」
「はい。これは昔、私の父がくれたものです」
あまり自分のことを語らない彼女としては珍しく、自ずからペンの詳細を打ち明けた。それだけ、このペンには思い入れがあったのかもしれない。
「そっか。だったら、今持ってきてよかったよ」
「わざわざ、ありがとうございました」
そう言って彼女は、ようやく俺が差し出したシャーペンに手をかけた。
「……ですが――」
「燈佳? お客さん?」
桐花の声を遮るようにして突然、家の奥の方から声が聞こえてくる。
背後から突然大きな声がして驚いたのか、桐花が肩をビクッと震わせたと同時に、ペンが手から滑り落ちた。地面に転がり、カラカラッと軽く乾いた音を響かせる。
「燈佳が出るのは珍しいから、誰かなと思って来たんだけど……ってあら、イケメン君じゃないの!」
シャーペンを取ろうと桐花がしゃがみ込んだことで、俺はその声の主と目が合う。
薄茶色の髪に円らな瞳。そこに桐花と共通する部分が確認できる。だがそれに加えて、大人びた艶美なオーラと、出る所は出て引っ込むところは引っ込んだ女性が抱く理想体型。口調からも分かることだが、それらは桐花と正反対ともとれる。
それでも一目瞭然、彼女が桐花の母親であると分かった。
「……すいません、夜遅くに」
俺は腰を低く据え、ペコリと軽くお辞儀をする。すると、桐花の母親はニコリと微笑む。
「いいのいいの、気にしないで。ただ、この子のお友達が家に来るなんて珍しいことだから。それに――」
今度はお返しと言わんばかりに、落ちてしまったシャーペンを拾い終えた桐花が母親の視線を遮った。その桐花の表情はいつもと変わらないようにも見えたが、どこか母親への怒りのようなものも垣間見える。
「わざわざ届けて頂いてありがとうございました。休日中も勉強、頑張ります」
「お、おぅ。じゃあ俺は帰るよ」
「あら? 帰っちゃうの?」
俺たちの会話を聞いて、桐花の母親が桐花の肩口から顔を覗かせる。
「はい。桐花さん……、燈佳さんの忘れ物を届けに来ただけなので」
「そうだったのね。わざわざありがとう、イケメン君」
「いえ。それじゃあ――」
――自分はこれで。
そう言って帰宅の途に就こうとした時、桐花の母親が唐突にとんでもないことを言い出す。
「そのお礼と言っては何だけど、良かったら泊っていかない?」
『え!?』
俺も桐花も、その衝撃的な提案には驚くしかない。声がぴったり重なる。
「お母さん、何言ってるの……」
「いいじゃない、丁度。私は今から留守にして多分明日まで帰ってこないし、高校生の男女水入らずで楽しんでよ」
そう呑気に話す桐花の母親だが、まさにそれが問題だということをこの人は知らないのだろうか……。
こんなやり取りが日常茶飯事に行われているのか、桐花は右手で目を覆い、呆れてものも言えない様子。こうなったら、俺が何とかするしかない。
「家までそこまで遠くないですし。またの機会ということで……」
「あら~? いいのかなぁ。幼気な女の子を家に一人で残した状況で帰るなんてー」
「鍵をかけて家から出なければ、セキュリティー的には問題ないと思いますが……」
「もしかしたら窓ガラスを割って侵入してくるかもしれないよ?」
そのもしもを対策した一軒家は、そう多くないと思うんだけどな……。大体その理論で行くと、世間一般家庭においてのお留守番は危険極まりないじゃないか。
おそらく、この先何を言おうと結論が変わることはないだろう。あらゆる攻撃が無効化されるとか、とんでもない強敵。それこそ蘭先生にも匹敵する。
こうなった以上、もう俺の方が折れるしかない。
「……分かりました。一晩泊っていきます」
「よかった~! これで私、安心して出かけられるわ。ささ、上がって上がって~」
嬉々として、俺を家の中に迎え入れる桐花の母親。そのままステップしながら、家の奥の方へと姿を消していった。
靴を脱ぎ、家に上がろうとした時。俺は桐花の違和感に気づく。
「……桐花?」
先ほどから桐花は、ずっと同じ体勢のまま動かない。
「すいません、酢漿さん。こんなことになってしまって」
申し訳なさを滲ませた小さな声で、桐花は謝罪の言葉を述べる。
「桐花のせいじゃないだろ。それにこれもいい機会だ」
「機会、ですか?」
桐花は振り返り、俺の方を見て軽く小首を捻った。
「勉強会、出張編の開幕だ」
「……いいんですか?」
「そりゃもちろん」
「ありがとうございます!」
怪我の功名というべきだろうか。
元々は週明けにやろうと思っていた、勉強方法の修正。週末という纏まった勉強時間が取れる前にやれるというのは、幸い都合がよかった。
「あの……、酢漿さん」
「うん?」
「泊っていくのであれば、まずは着替えませんか? さすがにずっと制服姿というのは居心地悪いと思いますし」
「それはそうなんだけど……」
とはいえ、これは完全に想定外の出来事。宿泊のための用意など何一つしておらず、身ぐるみは制服、持ち物は携帯だけという始末だ。
「そう思ったから、先に用意しておいたわ。そのまま廊下を真っすぐに言って突き当りに浴室があるから、お風呂の後に着替えてね。着替えは夫のものを拝借したけど、多分サイズは合ってると思うから」
そう言うのを見越していたらしく、一度姿を消した桐花の母親が戻ってきてそう言った。
「すいません、何から何まで」
「全然気にしないでよ。用心棒をお願いしたのは私の方なんだから」
そういう所は気が利くのに、どうして肝心のデリカシーさには欠けるのだろうか、この人は……。
* * *
自宅よりも少し広く、バラの香り漂うお風呂を堪能した後、俺は桐花の母親が用意した紺色のジャージと白のTシャツ服に袖を通す。下着ばっかりは止むを得ないので、もう一度同じものを着用した。
桐花の母親が言っていた通り、確かにサイズはジャスト。しかし、他人が普段使いしている服というのは少々着心地が悪いものだ。まぁ借りている手前、文句は言えないけど。
そうして俺は、「私は先に着替えて、部屋で待っています」と言っていた桐花の部屋の方へと向かう。
「確か、階段を上って右側の部屋って言ってたよな……」
彼女が言っていたことを思い出しながら、俺はその場所の前へと立つ。
風呂から上がったばかりなのに、握った拳にも額にも、じんわりと汗が滲む。極力意識しないように努めていたが、こうして部屋の前に立つとどうしても意識せざるを得ない。
俺は大きく息を吐くと、おそらく中にいるであろう桐花との間を隔てる扉をノックする。俺がお風呂に入って着替えられるだけの時間が経過している。まだ着替え終わっていないということはないだろうが、もしものこともあるので念のためだ。
「はい。どうぞ」
中から若干こもった声で、そう返事が来る。
俺は意を決してドアノブに手をかけ、そーっと押し込む。
「…………」
初めからそんな気はしていたのだ。
俺の知る桐花燈佳という人物の部屋が、華やかで見栄えのするレイアウトにしているはずもない。
無機質な壁には何も飾られておらず、カーテンは黒色無地。構成する家具は、シンプルなベットに本棚、勉強机と椅子のセット、そして部屋の中央に置かれたダークブラウンのテーブル。彼女らしいと言えば彼女らしい、必要最低限かつ機能重視で選ばれた家具の数々だった。
俺がそんな華々しさとは無縁の部屋模様を見て呆然と立ち尽くしていると、それをどうしていいか分からない様子と受け取ったらしい桐花が、気を遣ってくれた。
「どうぞ、そこに座ってください」
そう言って指差された先――足の低いテーブルの前に俺はゆっくりと腰を下ろす。
一方の彼女は、早速勉強会を始めようと、勉強道具の支度にかかる。シンプル過ぎる――言ってしまえば見応えの薄い部屋故に、俺はその間部屋を見渡すこともなく、彼女の様子をぼーっと眺めて待つことにした。
初めて見る制服姿以外の彼女の服装。綿素材でVネックが特徴的な紺色のルームウェアもまた、どことなく彼女らしいなと感じる。
「すいません、お待たせしました」
筆記用具に参考書やノート類など、多くの荷物をドサッと机の上に置くと、彼女は俺の向かい側に正座した。
「……なんか、変な感じするな」
「居心地、悪かったらすいません」
「い、いや、そういう意味じゃなくてさ。やることは変わらないのに、いつもの教室じゃないってだけでこんなにも違う感じがするんだなって」
「そうですね」
桐花の家の、桐花の部屋という特殊な環境。故に生じる違和感がそう感じさせているというのは確かにある。
けれど何よりも、圧倒的に違う点が一つ。
『…………』
会話が途切れてた途端、俺はそっぽを向いて、桐花は目下に視線を落とし、互いに視線を逸らしてしまう。どことない、気恥ずかしさ故にだ。
これまでは隣の席同士で行ってきた勉強会が、初めて向かい合って行われる。その点の違和感が、お互い禁じ得ないのである。
「……始めましょうか」
桐花はそのまま視線を上げることなく、少し忙しなく用意を始めた。
「そう、だな」
きっと集中してしまえば、次第にそんなことは気にならなくなるだろう。
そんなことを思いながら、彼女が勉強を始めるのを待っていたその時だ。
「待った」
俺は思い出したようにそう言い、いつも通り問題集を開いて勉強を始めようとする桐花の手を止めさせる。
「……?」
俺を見上げた彼女は、当然首を傾げた。
「ちょっと、根本的に改善した方がいい点を見つけたんだ」
成績向上を目指す彼女にとっては、是非とも聞いておきたくなるような言い方をしたことで、桐花の目がキリっと据わった。
俺はそれを見て、その改善点を打ち明ける。
「端的に言ってしまうなら、問題の点はそれだな」
俺はある場所をビシッと指差す。その先にあるのは――。
「辞典、ですか?」
「厳密にいえば、その辞典に刺さってる付箋だ」
桐花の手元に置かれた英和辞典を彩る、色とりどりの付箋。
一見、それは勤勉さを象徴し、褒められるべき点だと思われる。実際、俺も彼女と出会ったあの日、そう感じていたのだ。
だがそれは、彼女にとっては却って逆効果になっていたのかもしれない。
「置いていかれないように、必死に喰らいつこうとすることが悪いと言うわけじゃない。だけど、それが結果的に、桐花に回り道をさせる結果になってた」
「どういう、ことですか?」
要領を得ない様子の桐花に、俺はさらに詳細を語る。
「あれも、これも、全部覚えないといけない。そんな焦りのせいで、あれもこれもの記憶が定着しない状態になっていた」
付箋の量だけではない。教科書に引かれたマーカー線も同様。これらがヒントになっていたと早々に気づくべきだった。
彼女がこれまでやってきた勉強方法は、全てを同時に学習しようとする方法だった。要するに彼女は、全部を一気に覚えようとするがあまり、全て中途半端にしか記憶できなくなっていたのだ。残念ながらそれは、俺にもできないし、きっと学年一位の咲楽にもできないだろう。
もちろん、最終的には全てを学習しておかなくてはならない。
しかしそのために要点を抑えたり、重要性の順位付けをしたり、一つ一つがどのようにして繋がっているか見極めるなど、成績優秀な人間は並外れた記憶能力を持たずしても、自然とそんな効率的な学習方法を見つけ出し、実践しているのである。
すなわち彼女に最も欠けていて、必要なこと。
それは――。
「整理して纏めること。それが桐花の課題だ」
俺がはっきり、そう告げると、彼女は目を丸くしていた。
「そんな大切なことを、私は忘れてしまっていたなんて……」
その口ぶりから、始めのうちはきちんと意識していたのかもしれない。
けれど、彼女の置かれた立場が彼女の視界を奪い、いつしか結果ばかりに目が眩むようになって。そうして、勉強量をとにかく増やして覚えることが近道だと思い、罠に陥った。
『急がば回れ』とはよく言ったものだが、今回の話に至ってはかなり不憫に思う。
このことを指摘できる人間がいるとするならば、それは教師だ。だが大抵の教師は結果と勉強量ばかりを見ることが多く、裏側ともいえるどのようにして勉強しているのかについて触れることは少ない。つまり桐花に対しては、結果が出ずとも、勉強はきちんとやっているから、後は結果が出るのを期待するだけという状況が生まれてしまうのだ。
例外は蘭先生だ。彼女は努力をしても報われない人間に対して思うところがあるが故に、まずどうしてそうなっているのかを第一に確認しただろう。そしておそらく、彼女はこのことに気づいた――が、なぜかその点を彼女は指摘しなかった。故に桐花は今日に至るまで、その重要な点を見過ごすことになってしまった。
益々、蘭先生への不満が募るばかり。それでも今は、目の前のことだ。
桐花はこれまでを悔やんだ様子で俯いたまま。
長い年月をかけて努力をしてきた彼女に、それは遠回りだったと宣告するのは、随分と胸が痛む。今日の放課後、勉強会の時に言い出せず、結果月曜日にずらすことになったのはそれを躊躇ったためだった。
しばらく、そっとしておいた方がいいのかもしれない。そう思った時、彼女の手が英和辞典の方へと伸びた。
「っ……!」
「駄目だ」
俺はそんな桐花の細い腕を取って制止する。――彼女が感情任せに、付箋を引き抜こうとするのを止めさせるために。
その制止を、彼女は力づくで振り払おうとする。それでも俺は、決して離したりしない。
普段、感情の起伏が薄い彼女としては珍しく、はっきりと表立って見える苛立ちは、それだけこれまで自分がしてきたことに対しての後悔が強い証拠なのだろう。
だけど、それを――これまでの努力の全てを否定して欲しくない。
俺はあの日、そんな彼女の姿に感銘を受けたのだから――。
「全部……、全部、無駄、だった……」
独り言のように、桐花は訥々と呟く。
「無駄じゃない」
「一体私は……、今まで何を……」
「桐花」
「これからどうしたら……」
「桐花!」
「……っ!」
少し大きな声で彼女の名を呼んで初めて、彼女は俺の方を見る。零れてはいないものの、涙が僅かに瞳を濡らしているように見えた。
そんな彼女を再び、俺が魅せられたあの頃に戻すために。
かけるべき言葉を脳内で紡ぎ合わせ、慎重に口にしていく。
「これまで、桐花がやってきたことが無駄かどうか……いや、無駄になるかどうかは、これからの桐花の行動で決まる。これを機に再び道を歩むか、それともここで折れて諦めるか。それは俺に決められることじゃないから、桐花の努力は『無駄じゃない』なんて、本当は言えた質じゃないかもしれない。……だけどさ」
俺は腕を掴んでいた自分の手をスライドさせ、彼女の手を掴む。そうして少し、自分の元へと手繰り寄せる。
ほんのちょっとのきっかけで溢れ出しそうだった潤んだ瞳が、今の衝撃で揺れて、涙を堪えんとする桐花の自制を振り切って僅かに零れた。
「俺は無駄にしてほしくない。そう思うから、はっきりと言ったんだよ」
振り返ってしまえば、目を覆ってしまいたいくらい恥ずかしくて、真っ直ぐな言葉。
今できることがあるとしたら、論理的な説得よりも、感情的な訴えだと思った。そこに根拠などなくて、本当に直感的だった。
桐花はその言葉を聞いて俯く。頬を伝っていた涙の雫が、一滴、二滴と英和辞典に滴り落ちる。
「――分かりました」
その言葉を聞いて、俺は掴んでいた手をそっと離した。
桐花はその離された手で涙を拭うと、顔を上げた。
「もう一度、もう一回、頑張ります。なので、よろしくお願いします、酢漿さん」
目尻に残る雫の欠片が、部屋の照明に照らされてキラリと光った。――いやもしくは、彼女自身の眩いくらいの笑みによる反射なのかもしれない。
「よし。それじゃあ頑張るか」
「はい!」
白色のペンを握り、テキストに目をやる桐花。問題を読み、解いてスラスラ書き込んでいく。その姿はまた、いつも通りを取り戻していた。
気づけば、初めの頃に感じていた違和感など消え去り、勉強会は夜遅くまで続くのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます