王都へ

――昔、勇者が救えなかった街を再建したらしい。


よろこびが窓あかりにはあるような、いかなる旅も王都へいたる



次はどこへ行きたい?との声 美しさをいともたやすく告げる物売り



ひとびとが眩しくやすむ広場では城を眺めるおしゃべりがある



水をつくって両手をぬらす少年の初めて立ったような横顔



「悪い子は竜がさらう」とむかしから子ども騙しに言ったものだが



パレードの司祭はどうも嘘っぽくほがらかに建国をたたえる



林檎酒の香りにつられ話しだすきっとすてきな冒険譚を



飽きもせず犬を見ていた少年と犬は静かな場所へ向かった



工房を昇る煙のゆるやかに鉄の時間が繁茂している



商人が従者を乗せて馬を出すどこか遠くへ逃げだすように

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