第九世界・「トンネル内のファイトクラブ」
────時刻は8時40分頃、東京湾の下を通る長い海底トンネル内にて。
三人と
ここに三人と一体はいる。
───トンネルなので少し薄暗いこの場所には異様な雰囲気が漂っている。
人が載っていない車が無数にあるからか、それともこの
この雰囲気を前にして、
しかし、この雰囲気に『
『
「お前らも感じてるこの
この
『闘志』…『強くなりたい、戦いたい』と言うのはここまで影響するのかと三人共通に思った。
しかしこちらも負けてられない。少し威圧されたが言葉を返したのは
「…へっ、てかそんなの少なくとも俺にはカンケーないね。てか要するに『ハッタリ』ってことだろ?」
それを見た『
その笑い声はトンネル内に響いた。
「…強そうだなロン毛チビ…女かと思ったら男だったとはな。だが性別は関係ない。俺は相手を過小評価しないのだ。過小評価はかえってコチラの戦力を損なわせる要因となるのだ。これが戦闘の知識…!!」
好戦的なそのカマキリの怪人は、鎌を前に突き出すように構えながら、
そしてその距離、間合いが腕を伸ばすと触れられると言うくらいになるという距離に近づくと、『
それはゆっくりの遅さゆえに、いつ攻撃が来るのか解らない…ゆっくりの中、こちらが攻撃すればカウンターが来て一手遅れるかもしれないという、推測からである。
そしてその鎌の腕が真上に伸びきったと言うその刹那、瞬間的高速、常人の目に見えるかギリギリと言うくらいのスピードで、
振り下ろす際のシュッと空気を斬るような音は、
「…『
『
この鎌は間一髪、
それを見て『
「受け止めたか!! やはりお前はやる男のようだな!! 俺とお前、この戦いを通しての『成長』が楽しみだ!!」
ガチガチと刃物が絡み合う音を発しながら鎌を掴む
口角を上げて『
「……せっかくコチラの間合いに入ってきてくれたんだ…このチャンス、逃すと思うか虫野郎。」
「The・『裏拳』!!!」
「ほほぉ!!俺の鎌を掴み射程外に出せなくし、この攻撃を放とうとしていたのか…!!」
これは『
右手で掴んでいるので、左手で攻撃するだろうというこの場の状況からの『理想』をくつがえした。
しかし、『
その裏拳は、『
ただ、防御時にぶつかり合い、ガチィンという大きな金属音を出しただけである。
それを後ろで見守っていた
「おーい!! 一人で行けンのかー? 俺達も参戦した方がいいだろー!」
「大丈夫だよ
一方ヴェントットは、自身の羽織るヒョウ柄のコート『
よく耳を傾けると、「これじゃねぇ、あれじゃねぇ」と必死に探している。
───
それは自分自身の
掌見みれば『手汗』がぐっしょりで、服の下も汗ばんでいる。
いくら海底トンネルとはいえ、異常な温度の変化…先程の『威圧』のせいとも、とても考えられないほど暑い。
「おいヴェントット…急激にクソ暑くなりすぎやしないか…? まさか、他にも
ヴェントットはそれに応えた。この暑さの原因を知っているような素振りで話す。
その際、トンネル内の上部に設置されている大きな『換気扇』を指さした。
「いや、恐らく…あのカマキリの野郎、このトンネル内の換気扇をぶっ壊しているな…長時間の戦い、つまり『
そしてトンネル内の非常出口のそばにある、壁に付いている温度計に目をやると、その温度計の数値は『45℃』と表記されていた。
その温度を見た瞬間、
汗の交じった唾をゴクリ、まさに固唾を飲み込むと
「
その叫び声を聞いた『
「やっと気がついたか…。そう、これは泥仕合を阻止するためにやったこと…長引けば俺もお前たちも、熱中症やらでどっちも倒れる!!! さぁ、ロン毛チビ…タイムリミットはあと『34分』!!! 俺を倒してここから出ろ!!!」
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