第七世界・「ベビー・ハート・アタック Part2」
────巨大な赤ん坊の
四つん這いの『ミランダ・ド・ドウロ』を立たせるというのだ。
「ブラザー…とりあえず聞こう…。」
ヴェントットは今にも溶けきりそうな黒い傘、『
ニヤリと口角を上げる
「……あの赤ん坊は『
そして懐から三枚の『
「やってみるか!?」
「む、無謀だ……」
しかしそう言うヴェントットも満更ではなく、彼もニヤリと笑って、身につけたコート『
「ま、どうせ無謀と言ったところでブラザー、お前はやるんだろうけどな。」
ヴェントットはそのコートからまたも武器を取り出した。その武器は、皆が見た事のある現代兵器…そのまんま、フルオートの『自動小銃』である。
おもむろに『ミランダ・ド・ドウロ』の顔面に向けて構えると、ラタタタタと弾切れになるまで撃ち尽くした。
「ば、ばぶぅ!?」
だが、数百発撃ったところで『ミランダ・ド・ドウロ』の硬い皮膚を傷つけることも愚か、穴を開けることさえ出来なかった。
それを見た
「……まさかこれだけじゃないよな? 傷つけることできないと知ってぶっぱなした訳じゃないよな?」
ヴェントットは一息つき、銃を構えることを止めると、
「そりゃあ、何も考え無しに撃ったとおもうかよブラザー…この銃が放ったのは弾丸じゃねぇ……。」
そうヴェントットが話すと、その瞬間、『ミランダ・ド・ドウロ』の顔からパキパキパキという音がした。その音はまさに、何かが『凍る』ような音である。
その音が聞こえると、ヴェントットは話し続けた。
「この銃が放ったのは『冷気』…名ずけてこの銃は『捕獲用・
『ミランダ・ド・ドウロ』はパキパキパキと凍り続けた。
その冷気はかなり強く、その巨体の表面に青い氷の膜を張るほどの冷たさを誇っている。
そしてものの五分で完全に凍りつき、『酸の息』も治まった。
その目標は『ミランダ・ド・ドウロ』…の、『真下』である。
「チャンスだぜチャンス…! てか、俺は自分のプライドが傷つくのが嫌なんだ……誰にも舐められない男になるんだ!!!」
時国は、その目標にたどり着くと、その身体を小さくするようにしゃがみ込んだ。
そして上を向き、『ミランダ・ド・ドウロ』の首元へ目掛けてパシュっと大きくジャンプした。
「合わせろよ
「ンンばぶぅ!!!」
『異門獣』化した右腕による斬撃は、ジャキィンと、アッパーカットのように『ミランダ・ド・ドウロ』の顎を捉えた。
しかし先程の銃弾同様、傷はつけられない。だが今は傷つけることが目的ではない。
この巨体を『立たせる』ことが目的なのだ。
まるで産まれたての小鹿のように立ち上がった『ミランダ・ド・ドウロ』、その胸には
その『
「六番…『
するとその瞬間、
その縄は『ミランダ・ド・ドウロ』の首に素早く巻き付く。それを確認すると、
スーパーヒーローのように飛び『ミランダ・ド・ドウロ』の胸元まで来ると、二枚の『
「ばぶっ!?」
ドガッと鈍い音が鳴る。すると次の瞬間、『ミランダ・ド・ドウロ』は後方へ、バッコォンと吹き飛んだ。
真下にいた
「え……てか何だあのパンチの威力…!」
ヴェントットは後ろから
「なぁにスモールブラザー、よく見なってブラザーの拳をよ。」
「拳…?」
殴った際、一枚の『
後ろへ吹き飛び、よろめきながらエビゾリ状態の『ミランダ・ド・ドウロ』へ、
矢のように放たれた『
その高威力の爆発は、文字通り、いともたやくすハートを粉々にした。
「……『
『ミランダ・ド・ドウロ』は、チョークのように白い粉を撒き散らしながら、そのハートのように粉々に割れていった。
───時刻は16時00分……三人は、割れた『ミランダ・ド・ドウロ』を見た後、後ろにいる、『
『
「うぅ……な、なによ近づいて来ちゃって……我も始末する気でしょ? 早くやればいいじゃない。」
何をされるのか分からない様子の『
右半身の生首という、奇妙な姿になった『
「な、なんで頭だけを残したのよ!! そのまま殺せばいいはずじゃないの!!」
「クソ簡単な話だ。お前を『
その相手は、『
「もしもし」と
「ご苦労だな
電話は、それを
「こりゃ、またなにかクソ厄介事があるぜ……。」
海から照らす夕日は、三人をオレンジ色に染め上げた。
三人は、喫茶店の中へ入り、明日の朝に東京へ出発することを決めたのだった。
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