第2話 ダンジョンが現れた地球
地球にダンジョンが出現して約30年。人類はレベルとジョブ、スキルとステータスを手に入れていた。
とある日、突然全人類の脳内に何処かから声が届いた。声の主は神を名乗った。その神はこう言った。
『我らの娯楽に付き合え。其方らにはレベルとジョブ、スキル、そしてステータスを与えよう。そして各地にダンジョンを出現させる。出現したダンジョンは其方らに利をもたらし、時には牙を剥くだろう。其方らがどうするかを楽しみにしている』
それだけ伝えていった。とある者は歓喜し、とある者は困惑し、世界は混乱に包まれた。
各国がその声に対応せざるを得なかった。国の中枢が無視しても民衆はそうはいかなかった。近くのダンジョンを発見し中に入る者や騒ぎ立てる一部の宗教団体。そう言った者たちが多数おり国は対応せざるを得ない。
とある日の丸の国の一部の民衆だけは異常に順応が早かった。「ステータス」と言えば自身の半透明のステータス画面が見られることもすぐに発見していた。ステータスには神が与えると言っていたレベル、ジョブ、スキルが確認でき、自身の能力も見ることができた。レベルは全員1から始まりジョブとスキルは各々で異なり多種多様なジョブとスキルがインターネット上に書き込まれた。
インターネットを通して民衆の独自調査が進む中、ほとんどの国がダンジョンに軍を投入し調査を行った。ダンジョンの中は迷宮のようになっている場所や、神殿や洞窟のような場所、草原、渓谷、浜辺等多種多様な場所に繋がっていた。
そしてダンジョンには異形の生き物が多数おり、調査に入った軍に襲いかかってきた。武装している軍の相手にはならなかったが異形の生き物は息絶えると粒子となり消えてしまい、消えた後には小さな石が落ちていた。後にダンジョンに出る生き物は魔物と呼ばれ、落ちた石は後に魔石と呼ばれ世界のエネルギー産業を席巻することになる。
各国からダンジョンの調査結果が公表されて民衆は良くも悪くも沸いた。
とある日の丸の国だけは恐ろしい速さで民衆が順応した。民衆の順応に釣られ仕事の遅い国の中枢も異常な速さで順応した。それに釣られるように各国対応していった。
しばらくして軍だけでなく、一般にもダンジョンは開放されダンジョンの調査は急速に進んでいく。とあるダンジョンでは魔物を倒すとレアメタルが現れたり、武器や防具、宝石なども現れることもあり一攫千金を狙うものが数多く現れダンジョンは人で混雑した。
時が経つにつれジョブやスキルの調査結果が出てき始めた頃、ダンジョンにも変化があった。魔物の種類や強さが変わっているダンジョンが現れ始めた。これは人類のレベルが上がるに連れてダンジョンも変化しているのだろうと推測された。
また、神が『娯楽に付き合え』と言っていたことからも神々の娯楽として難易度調整が入ったのだろうと、とある日の丸の国の者たちは言い、世界中のダンジョンで同様のことが起きているため難易度調整節が有力とされた。
20年程度経った頃にはダンジョンによって難易度にかなりバラつきがあり調査結果に基づき人類はそれぞれのダンジョンに難易度を設定している。難易度の低いGランクから難易度の高いAランク、そして最高難易度のSランクにまで分けられるようになった。30年経った今ではこの難易度設定が世界的に標準とされている。
ダンジョンに入る者たちは探索者と呼ばれ、こちらは実力に応じてGランクからSランクに分けられている。
ダンジョンにはダンジョン主と呼ばれるボスモンスターがいる。難易度調整がされていっている中で、当時の最難関と呼ばれていたダンジョンのボスモンスターを倒した時に今までにはないことが起きた。
宙に浮く神と思しき筋骨隆々とした男性が探索者たちの前に現れたのだ。神はこう言った。
『よくやった。褒美を与えよう。願いを言え』
探索者たちは思い思いに願いを言った。だが、叶った願いと叶わなかった願いがあった。叶った願いに神は『よかろう』と答えていたが、叶わなかった願いには無言だった。このことから願いには制限があるということがわかった。「怪我を治して欲しい」や「○○が欲しい」と言った願いは叶えられた。「○○が欲しい」と言った願いには制限があるようだった。とある者は「1メートル四方のダイヤモンドが欲しい」と言ったが叶えてもらえなかった。質問をしても無言のままであった。
このように制限はあるものの、この情報が公開された際にはまた世界が沸いた。神に会うものが多くなりインターネットには神の情報が書かれてそれぞれ容姿が異なることが判明した。一部の者たちは『女神』という単語に反応してこぞってダンジョンへと足を進めた。
そしてとある者がこんな願いをした。
「若返らせて欲しい」
と。すると今まで『よかろう!』か『よろしい』、もしくは無言だった神が
『ここでは其方らで言うところの1年が限界だ。それでも構わぬか?』
人類が初めて神々と会話をした瞬間だった。探索者は驚き咄嗟に「はい」と答えてしまったため『よかろう!』と返答されてしまった。
この情報は世界を震撼させた。
願いの内容によっては会話が可能で情報を聞き出せる点。
若返ることが事実かどうかという点
『ここでは』と言ったことから他のダンジョンならばもっと若返らせることができるのかという点
この3点は世界中の探索者たちはもちろんのこと、ダンジョンに興味のない者たちの気も引いた。
情報を引き出すと言うことに関しては進展は得られなかったが、若返りが事実かどうかと言う点は医学的にも証明されたことによりダンジョンはさらに活気に満ちていくことになった。
30年経った現在。ダンジョンに入り魔石や宝石などを取ってくること生業とした企業もあれば、高難易度ダンジョンに入り武器や宝石などのドロップアイテムを狙う者、若返るために探索者を雇う者等がおり、ダンジョンは日常の1つとなっていた。
◇
日本は世界でも有数のダンジョン密集地だった。東京23区には12ヶ所もある。各ダンジョンは防衛省と探索者協会が管理する建物の中にあり、ダンジョンに入る探索者たちを管理している。
他にもダンジョンによってドロップアイテムが違うため、探索者でない者からの依頼も受け付けている。ダンジョンが日常となった今、各ダンジョンの建物は人で賑わっている。
そしてお台場にあるダンジョンでも人が賑わっている。交通の便も良くとあるアニメの実物大ロボットが展示されており観光地としても賑わい、ダンジョンの難易度はEランクのため数多くの人がいた。
そんな中、お台場ダンジョンの受付前は騒然とした。
青みがかった銀色の髪をし、風変わりな格好でガントレット等の防具を装備している耳の尖った少女が気を失った状態で突然現れた。
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