第2話 頼みの筋

七海を送る間、さっきの奴らは現れなかった。

ただ、私たちと一緒にいるせいで周りの生徒から注目される七海は恥ずかしそうだった。


無事に送り届けた私と烈は、当たり前だけど自分たちの学校に登校しなくてはならない。

学校までの道すがら、私は今回の件を烈に尋ねた。

「あんな中学生がよく払えたね。殺し依頼の相場ってどれくらいなの?」

「相場は特に決めてませんよ。それから正確には依頼人はあの子の父親も含めた家族です」

「えっ?そうなの?」

「ええ。自分たちを狙う悪徳業者を始末してくれって」

「あいつらね」

「ええ。悪徳業者だけです」

烈はなぜか念を押すように言った。

「僕の予想では保証人を頼んだ友人っていうの……金融屋とグルだな。借金そのものも空借金でしょうね」

「ええっ!?友達がグルってどういうことよ!?」

「つまり端からそこの土地が狙いだったんですよ。普通に買収するより、架空の借金の保証人に仕立てあげれば無料で手に入るでしょう?」

「じゃあ保証人になった借金そのものが嘘だったってこと!?」

「保証人を頼んだ友人とやらも、弱みを握られて友を裏切ったのか?金に目が眩んだのか?それはまだ分かりませんが」

「汚たねえやつらだ!!許せないよ!!」

そんなことで一つの家族がばらばらにされて、生活……人生が破壊されるなんて!!

腹の底から煮えくり返ってきた。

「殺るのは今夜!?」

「いや」

「なんでよ!?すぐにでも取り立てにきた奴等の事務所に乗り込んで殺っちまえばいいじゃない?っていうか、今すぐ殺るべきよ!」

「唯愛さんはなんにもわかってないですね」

「なにがさ?」

「あいつらは事務所含めて使いパシリ。名前だけの会社ですよ。奴等を使ってる大本を突き止めないと」

「突き止めたら?」

「誘い出してまとめて片付ける。前にも言ったでしょう?」

「ゴミは一箇所にまとめたほうが効率良いんだっけ?」

「ええ」

「でも、それまであの子たちは嫌がらせされたりするんでしょ?かわいそう……」

私の言葉に烈は無言だった。

「唯愛さんは、それとなくあの子たちに注意しててください。なにかあれば僕に連絡を」

「わかった」

「それから、今日の放課後は空いてます?」

「放課後?特に予定ないけど」

「ならちょっと付き合ってください」

「えっ?誘ってんの!?」

もしかしてデート?

胸がドキッとする。

「僕に仕事を斡旋する人を紹介しときたいので」

「あっ…あ~!そっちの方ね!わかった」

「そっちの方って…他になにかあります?」

「ないないない!ないよね?」

「なに赤くなってるんですか?」

烈がまじまじと私の顔を見て首を傾げた。

「えっ!?いや、そうかな?日差しが暑いからじゃない?いやだなあ…ハハハ…」

と言ったけど、太陽は雲で隠れてた……






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