女騎士との入浴と告白…、月下の宴会は突然に
さて、目的は果たしたのでライナの治療状況を女僧侶ソフィアに尋ねる。
「ライナの治療は…?」
「ええ、あらかた損傷箇所は回復させました…、後はゆっくり休めば完全回復です…」
それを聞いた俺は安堵する…。
そして勇者から、
「ほら、受け取れよ…//」
勇者はそう言って恥ずかしそうに俺に金貨がたっぷり詰まった袋を俺に投げる…。
それはあの巨大ムカデが落としたと思われる物だった。
だが、あまりの量の
多さに驚く俺は
「良いのか…?」
そう言って勇者に確認する…。
「ああ…これまでの詫びだ…、それにお前が居なかったら、あの魔物を仕留める事も出来なかったしな…//」
俺は勇者のその態度に、嬉しくなり
「このこのっ♪勇者よぉ!少しはカワイイとこあるじゃねぇか!」
肘で勇者の鎧を小突きながらからかう。
「か、からかうなっ!!それとオレはレックスだ!!//」
勇者レックスは真っ赤になりながら俺の肘を払う。
そうしてると
女魔道士ミアがしびれを切らしたように俺達に言う
「それよりさー…?依頼も完遂したしこんなジメジメしたとこ早く出ましょうよ〜…」
それには大賛成だ、俺だってここから早く出たい。
「そうだな…」
そう言って俺は未だ目覚めないライナを背負いながら勇者パーティーと共に出口へと歩みを進める…。
光りが見えてきた、その先には沢山の村人達が出迎えてくれた。
村長らしき人物が前に出て俺に頭を下げ、
「この度は魔物討伐にご協力頂き誠にありがとうございます…本来ならば勇者一行が解決する筈だったのに見ず知らずの旅人にもご協力いただいて…」
俺はその先を言わせまいと手で制止し、そして俺は
「いえ…魔物はこちらが考えてるよりも強力な存在でした…なので勇者一行を責めるのは程々にしてください…」
すると勇者一行が、
「いや程々かよっ!?」
「そこは止めて下さいと言うべきでは…?」
とツッコミの嵐…。
だが、俺はそれに対して
「相手が強力であれお前等は村人達を見捨てようとしたんだから当然だろうが…」
…とため息混じりに言う。
すると勇者一行は黙って俯く。
まぁ根っからの悪ではない事はここ最近で分かってきたからな…。
だから責めるのは程々にしろと言う訳だ。
そして村長らしき人が
「分かりました…、旅人さんがそこまで言うならこれ以上は何も言いません、所で…背負われてる方は…?」
ライナの事を言ってるのだろう…。
俺は、
「ああ…、魔物との戦いで俺を庇って…」
そう言うと村長らしき人は
「なら今夜はこの村で一晩お休み下さい…、この村の恩人をこのまま帰す訳にはいきません…!」
こう言うので俺は、
「ありがとう御座います…なら遠慮なく世話になります!」
こう言って有り難く世話に事にした。
その晩は村の宿屋に泊まる事になった。
そして夜が明けて朝、小さな窓から朝日が差し込む光に邪魔される眠気…、微睡みながら寝返ると目の前にはワンピース姿のライナが立っている…。
その姿を見て思わず眼を開いた、
やっと目覚めたのか…、と思ってたら
「おはようございます、未知♪」
「おはよう…」
ライナの挨拶に、微睡みながらも挨拶を返す、するとライナが
「さぁ、さぁっ!この宿屋の主人がお風呂が沸いたと言ってましたよ!」
ここが宿屋という事も把握済みらしいな…、
「相変わらず早起きだねぇ〜…、お前、俺を庇って巨大ムカデの突進を諸に食らったんだぞ…?」
俺は呆れ返るように呟いた、がライナは
「はいっ!そして未知が勇者パーティーの皆さんと私を守ったんですよね?」
やだ…、この娘怖い…、俺が寝てる間に全て把握済み…?
俺はあまりの状況把握の早さに驚き、尋ねた、聞けばライナは俺が寝てすぐに目覚め、あの時の事を知っている勇者パーティーを探して気絶してからの状況を聞きだしたそうだ…。
そしてライナは1言呟く
「やっぱりこの世界でも英雄ですね…?////」
そう言うので俺は、
「ライナって、その"英雄"って言うの好きだよなぁ…?」
そう言うとライナは…、
「はいっ♪」
と、嬉しそうに返事を返し、
ベッドに座る俺に抱きつく、
俺はそんな彼女の頭を
「はいはい…」
と、微笑みながら撫でる。
彼女になら英雄と持て囃されるのも悪く無いと感じている自分がいる…。
なら英雄の名に恥じないように、この異世界での冒険を楽しもう…、この時俺は彼女の頭を撫でながら、そう決意する、そしてふと気が付いた。
「って俺風呂入ってないっ!!」
俺は抱きつくライナの腕を解きベッドから跳ね起きる、そして風呂のある1階へと降りて宿屋の主人に話し、脱衣所へと駆け足気味で入る。
そして少し汚れた普段着を脱ぎ風呂場へと足を踏み入れる、
そして、そのお風呂場の何と広いことか…とても村の宿屋とは思えない広さ…終始感動しながら身体を、石鹸を纏わせた備え付けのアカスリで洗い隅々まで洗う…、大きな胸から脇の下、股間の隅々まで洗う…、歳を取ると体臭がキツくなると言うからなましてや俺を英雄と慕ってくれるライナには嫌な思いはさせたくないしな!
そして身体の隅々まで洗い髪を洗おうとした、その瞬間…、声を掛けられる。
「あ、あの…、未知…髪を洗ってあげますよ…?///」
「ライナか…?お前、風呂入った筈じゃあ…?」
顔を上げると鏡に一糸まとわぬライナの姿がクッキリと映る…。
俺の三十代の身体とは対照的で若々しい神秘的な身体を晒すライナ…、同性であるというのに、こんなにもドキドキするのは何故なのか…、と言うかライナはどうしちゃたんだ…?元の世界では俺に裸を見られるのも嫌だというのに…ここに来て急に距離を詰めてくる…と、その時背後から抱きつくライナ…大きな胸の感触と20代のぴちぴちの肌が心地良く興奮さえ覚える…。
とその時ライナが口を開く…、
「お風呂には入ってないですよ…?さっきだって未知を誘おうとしたんですよ…それなのに、未知は1人で先行っちゃうから…///」
「そ、それは…ごめん…?//」
(トクン…トクン…)
そしてライナは大きな胸を俺の背中に押し付けて…俺の背中越しにライナの心臓の鼓動が伝わる…。
「私の心臓の鼓動…聴こえます…?//////」
「お、おい…?///他の客に見られるぞ…?///」
「今、この場には私達二人だけですよ…?///」
妙に色ぽっい声色で耳元に囁くライナ…。
まるで俺を色事へと誘うかのようだ…。
「ど、どうしちゃたんだ…?///ライナさん…?///」
するとライナがさっきよりも力を込めて抱き締める…ライナのハリのある豊かな胸が潰れそうなくらいに…、するとライナが口を開く…、
「もう抑えられないんですっ!////貴女が好きなんですっ!//////」
好きっ!?俺、女だぞっ…!?
「好きって友達としてか…?///」
確認の為、そう言うとライナは、不機嫌そうな顔をする…、
「いいえっ!!////1人の女性としてです!!/////」
そして、ライナは俺の顔を掴み…自らの顔を近づけ…、そのハリのあるプルプルな唇を俺の唇に重ねる…。
「これで分かって貰えました…?////」
ライナは顔を離すと、そう話す…。
ライナは俺の唇と唾液の橋を作りながらも顔を真っ赤にしている…、
多分、俺の顔も負けず劣らずに真っ赤だろう…。
それからはぼんやりとだが、ライナに髪を洗って貰い…二人で湯船に浸かり…、
そして俺は隣で湯船に浸かるライナを見る…。
ライナが俺を好き…?1人の女性として…?
俺は着換えながらもライナを見てしまう…着換える姿も綺麗だなぁ…、
そう呟きそうになるくらいに彼女に見惚れ…意識せざるを得ない…。
俺の人生、三十幾星霜…、ファーストキスがこんな形で奪われるとは…、
この日は眠れ無い夜になりそうだ…。
そうして村で過ごしていると村長から宴会をやると聞き俺達も同席する事になった。
そこでは村人達が俺達を主役に酒、俺の世界では見掛けないような動物の肉の焼肉などなど…豪勢な料理や酒が振る舞われた。
そして宴会の終盤皆が酔い騒ぎの中ライナの姿が無い…、俺は酒の入った木製のジョッキを二つ片手で持ち、もう片方には料理を盛り付けた皿を持ち、村外れの湖畔に向かう事にする…。
湖畔に着くとライナが湖を眺めながら1人草の絨毯に体育座りで腰掛けていた…、俺は静かにライナの横に座り…、
「騒がしいのは苦手か…?」
そう言って酒の入った木製のジョッキを渡す、
ライナは微笑みながらジョッキを受け取る、
そして苦笑いしながら口を開く…、
「あはは…ああいう騒がしいのはどうも苦手で…」
それに俺も苦笑いしながら口を開く…、
「同じくw…」
ふと俺達は夜空を見上げる…、
大きな月が湖畔を明るく照らす…、そんな光景に俺はふと呟く…、
「月が綺麗だなぁ…」
するとライナは頬を紅く染めて、こう返す…、
「死んでもいいです…///」
この時の俺には意味は分からなかった…なので…
「やめろよ〜…?縁起でも無い…」
と、こう返してしまった…。
「そう言う意味じゃないのに…///」
ライナが紅く染めた頬を膨らませて小さく呟いた、だが俺にはその呟きは聞こえ無かった…。
そうして今夜はライナと共に大きく丸い月と大きな湖を肴に料理をつまみ酒を飲み、二人だけの宴会をスタートするのだった…。
そして…、俺が何気なく発した言葉とライナの発した言葉の意味に気付くのはライナが俺の肩に寄り添いながら寝始めてからだった…。
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