勇者パーティーと行く魔物退治は突然に

さて村人達の案内の元、その洞穴にたどり着いた俺達と勇者パーティー。

入口からも陰湿な雰囲気がじわじわと感じる、いかにも虫とかが好む雰囲気だ。

すると小生意気な女魔道士が口を開く、

「暗くてじめじめ…いかにも虫が巣食っていそうな洞穴ね…」

俺は口を開く

「なぁ…?明かりを灯せる物は無いか?」

すると小生意気な女魔道士が口を開く、

「持ってる訳ないじゃないのそんなのバカなの?」

その答えに俺は驚き、

「皆…?」

そう尋ねると…、

「皆よ…?」

俺は勇者パーティーの皆を見るが…、

「…(ふるふる」

「…(ふるふる」

「…(ふるふる」

勇者も僧侶も屈強な男戦士も首を横に振った…。

この時、俺は心からこの勇者パーティーは今までこういう洞穴とかどうやって攻略したのか…?と疑問を感じた。


「仕方ない俺のスマホを使うか…」

そう言ってズボンのポケットからスマホを取り出し電源を入れて懐中電灯モードをONにする。

そして広範囲を明るく照らす。

すると小生意気な女魔道士が言う、

「何よ?持ってたのなら言いなさいよ」

ヤレヤレ…、と心の奥でため息をつきながら、俺は先頭に立つ。

道中は特に大きなエンカウントも無く、小さな虫とかコウモリが出てくるだけだった。

そうして歩く事、数十分…、

拓けた場所に着く。

だが床に奇妙な模様が刻まれている…。

「これは何だ…?」

俺がそう呟くと、

「これは…、魔王がいた事を現す紋様です…」

勇者パーティーの1人である女僧侶が口を開く。

「ほんとか…?」

俺が尋ねるとライナが続けて言う、

「ほんとですよ…、でもこの紋様がこんな所に…」

俺は考えられる可能性を言う、

「魔王の紋様があるって事は騒ぎになってる、その虫とやらが魔王の使いとか…?」

そう言うと勇者パーティーの面々は…、

「ま、まさかこんな僻地にか…?」

最初に口を開いたのはイキリ勇者だ。

「そうよ…!それがほんとならあの村…ヤバいじゃない…!?」

そして小生意気な女魔道士。

「えぇ…近い内にあの村は襲撃されます…」

そして女僧侶。

「とんだ大当たりを引いたもんだな…」

次に屈強な男戦士。


「まぁどっちにしろ放っといたらいけないのは確実だろうな…?勇者パーティーの諸君…?」

俺も口を開く。

そして勇者が口を開く

「ま、魔王が関わっているのならしょうがない!なぁ!?みんな!」

そう言って勇者がパーティーの面々に言う。

しかし、偶然魔王とやらが関わっているとは言え、この身勝手な勇者パーティーが事の重大さに気付いたのは好都合だ…。

魔王とやらには感謝しなきゃな…。

ほんとは駄目だけども…。

と、その時、天井から巨大な何かが叫び声を挙げながら降ってくる。

それを懐中電灯で照らすと…、巨大な鎧のような長い体躯と長い触角と何本もの足が見えた…。

それは巨大なムカデだった…。

「おいおい…マジか…」

あまりの迫力に立ちすくむ俺…

巨大ムカデは耳を劈くような鳴き声を俺達に発し勢いよく飛び掛かってくる…俺は立ちすくむばかりで身体が動かない…。

「未知っ!!危ないっ!!」

ライナの叫び声と共にライナに横から突き飛ばされる。

そしてライナがそのまま巨大ムカデの突進を諸に受けた…。

その瞬間を見た俺は眼を見開き…、

抑えられない激情と共に雷光刀を抜き、雷の如く猛ダッシュでその巨大ムカデに向かう…。

「このやろおぉっ!!!!」

よくもよくもライナをっ!!!

激情に駆られるままにそのムカデの身体に一太刀…一太刀と雷の如く一閃し続けた、勇者パーティーも俺に続くように、その巨大ムカデの硬い身体に武器を振る。女魔道士は魔法を、女僧侶は血を流し倒れているライナに回復魔法を一生懸命にかけている…。

だがこの巨大ムカデは傷1つ付かない…、これが異世界の魔物なのか…!?

しかも心なしか自分の力も半分以上出せてない気がする…この床の紋様のせいなのか…?

すると勇者パーティーの面々が口々に、

「やっぱりおかしいわ!魔力が上手く練れないっ!!」

「ええ…!こっちも治療を施してますが魔力が上手く練れず治療できませんっ!」

「こっちも上手く力が入らないっ!」

「俺もだっ!何なんだこれっ!?」

女魔道士と女僧侶が言う…。

そして勇者と男戦士も同様だ…。

やっぱりこの異変は皆同じか…!

どうすればいいっ!?

この紋様が何かしらのデバフを俺達に付与してるのなら…。

「みんな!この場から離れるぞっ!!」

俺はそう言って勇者パーティーに号令する。

すると

「何でアンタが命令するのよ!?」

女魔道士が喚くがそれ以外が俺の号令に頷き

「分かったよ!」

勇者が不服そうに返事する。

そしたら巨大ムカデがそれを阻止するように出入口を塞ぐ。

「ちょっと!?これじゃ逃げられないじゃないっ!?」

この巨大ムカデも馬鹿じゃないか…!

俺は激情に駆られつつも勇者パーティーに号令する事に

「そこの男戦士!壁に人一人分の大きさの穴を開ける事は可能かっ!?」

すると男戦士は

「俺はディランだ!!可能だがそれがどうした…!?」

「可能なんだな…!?ならあのムカデから離れた壁に穴を開けてくれ!!」

ディランと名乗った男戦士は首を傾げつつ肯定する、続けて俺は女魔道士に聞く

「そこの女魔道士!この床をえぐり取るような強力な魔法は使えるか!?」

すると女魔道士は

「私はミアよ!!上手く魔力が練れないから時間かかるけど可能よ…!」

ミアと名乗った女魔道士は不服そうに肯定した。

続けて俺は女僧侶に尋ねる、

「そこの女僧侶!!ライナを背負いながら治療できるかっ!?」

すると女僧侶は

「私はソフィアですっ!!可能ですが…!?」

ソフィアと名乗った女僧侶は俺の指示に戸惑いながらも肯定する。

続けて俺は勇者にも指示を出す、

「勇者っ!お前は俺とこの巨大ムカデの足止めだっ!!ミアの詠唱を助けるんだっ!!」

「分かったよ!!」

勇者は不服そうに返事を返した。

そして各々役割を果たさんと行動を開始した。

俺と勇者は巨大ムカデに斬りつけ足止めをする、

そしてディランは巨大ムカデから離れた壁に渾身の力で壁に人1人分の穴を開ける。

「開けたぞ!!」

「よくやった!!」

ディランの声に俺は労いの言葉を掛け、そして懸命にライナに治療をする女僧侶ソフィアに声を掛ける

「ソフィアっ!!ライナを背負って、その穴に入るんだ!!」

俺は勇者と共に巨大ムカデに必死に斬りつけているが変わらず傷1つつかないだが足止めは今の所できている…!

と、その時、女魔道士のミアが声を掛ける

「用意できたわ!!アンタ達っ!!そのムカデから離れなさいっ!!」

そうして俺と勇者は巨大ムカデから離れる、

と、同時にミアが魔法を唱える

「イクスプロージョン!!」

広範囲に巨大な炎注が爆発するように巨大ムカデを飲み込む…、

だがその炎は俺達も飲み込むつもりだ、だが俺はそれを雷光刀の往なしで穴に入ったライナを背負う女僧侶ソフィアとその前に立ち武器を構える女魔道士ミアと男戦士のディランを守るように往なす。

勇者は伝説の盾を持っているらしいので守る必要は無い、この4人だけ守ればいい…。

さて、巨大ムカデはやっぱりと言うかピンピンしているだが狙いはそれじゃない…。

先の炎の爆発で抉れた床を見て思わず広角が上がる…、そして変化は唐突に訪れた、巨大ムカデの身体の光沢が目に見えて劣化している、

そして俺達にも変化が訪れる。

「な、何…?魔力が上手く練れる…!」

「治癒魔法もスムーズにっ…!」

女魔道士ミアと女僧侶ソフィアが上手く魔力を練れる事に驚いている

と言うことは俺達も…!

勝利を確信した俺達は一斉に巨大ムカデに向かう、

まずは俺だ…、先程とは比べ物にならないくらいに雷光刀が落雷の如く巨大ムカデの身体を一閃する。

そして勇者、剣が巨大ムカデの身体を縦横無尽に切り裂く…、

そして男戦士ディラン、力任せの斧の一撃が胴体をかち割る。

続けて女魔道士ミア、氷のトゲを無数に生み出すアイスニードルを巨大ムカデに浴びせる。

巨大ムカデも何とか応戦しようとするが今の俺達に敵わない。

そうして戦う事数十分…。

漸く巨大ムカデは力尽き崩れ落ちる、そして霧散する、と、同時に霧散したムカデの身体から紫色に輝く石と大量のお金らしき物が落ちた…。

そうしてこの瞬間俺達と勇者パーティーは巨大ムカデとの死闘に勝利を収めた。

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