第3話「現実と過去」


がやがやと騒がしい。


今日もたくさんの人で溢れて溢れて、誰も誰かを気にしないままにスタスタと歩く。


人、苦手だなぁ。

好きなんだけど、嫌い。そんな変な、矛盾したような気持ちで待ちゆく人を観察してみる。


朝まで飲んでいたであろう、酔っぱらって道端に寝ている人。

人の間を危なっかしく、ベビーカーを押す女の人。

時計を見ながら、速足で歩くサラリーマン。

スマホを見ながら我道を進まんとする学生。


私もその中の一人か、なんて思うとなんだか無償に寂しくなる。


夢が頭の中で何度も駆け巡る。

そのつかの間の夢の中で感じた幸せを何度も思い返しながら、会社につく。


「おはようございます」


少しだけ騒がしい社内。

ありきたりな会話をしながら横目に、通勤したての私の顔をじろじろと見てくる。


なんかしたっけ。私。


疑問に思いながら自分の作業机にたどり着く。

まだ視線が痛い。


視線にはあまりいい思い出がない。

小さい頃のオハナシなのだけれど。


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