三話

見られて囁かれることがこんなにも負担に思う日が来るとは思わなかった。

私はそこまで要領は良くないし、頭も良くない。

失敗もよくする。

だから人の目に晒される事には慣れているつもりだったが今回のそれはとてもじゃないが耐え難かった。


冷や汗で濡れた手で手すりに捕まり扉が開くと同時に電車を飛び降りて駅のトイレに入った。


「………………」


やはり腕は3本生えている。


隠したい、見られたくない、必死にそう思った。


するとその腕はそう思うたびに短くなり何とかスーツの上着の背中辺りに隠せるまでになった。


私はトイレの扉をゆっくり開けて外へ出た。


到着予定より大幅に遅れ会社では冷ややかな目線を浴びたがそれからの私はそんなもの気にしている余裕は無かった





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