二話
ドキッとして飛び起きた、電話の着信音がなっていたので応答すると怒られた。
遅刻をした。
時計を見ると11時を回っていて私はすぐに床を出て支度を始めた。
朝食は抜き、適当に髭を剃って顔を洗わずスーツの上着を丸めて腕にかけて玄関から飛び出す。
いつもと違う時間帯の電車ではあるが何とか乗り込みつり革に掴まった。
こうして遅刻をすると慣れた通勤ラッシュとは反対に適度に空いた座席がなんとなく新鮮に見えた。
中には額の汗を拭う通勤客だけでなく旅行に行くであろうスーツケースを前に座る人もいた。
しばらく見ていると空いた座席が埋まり始めた。
座っている人が増えたわけではないので元々間を開けて座っていた人たちが間を詰めたのだろう。
前と後ろの座席だけが奇麗に空いた。
気が付くとほとんど全員が私を見ていてそれらはとにかく距離を置きたいがためにした行動だと気が付いた。
「………」
私は私に掴まれたつり革と同じ方向の手でスマホを持っていて背中辺りから生えたもう一本の腕はそのどちらかを担当していたようだった。
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